4月1日の増税前には間に合わなかったが、さらなる引き上げが予定されている2015年10月(現行の8%→10%)までには、「マイホームを購入したい」と思っている人は多いだろう。そんな人に、今年中にマイホームを購入するメリットを紹介したい。それは、『住宅取得等資金の贈与税の非課税』という制度の存在だ。

 この、『住宅取得等資金の贈与税の非課税』は時限措置となっており、適用期間は平成24年1月1日から平成26年12月31日まで。つまり、今年の年末が最終期限となっている。肝心の内容は、上記期間中に、父母や祖父母などから、自分が住むための住宅の取得資金(増改築含む)の贈与を受けても、そのお金には贈与税がかからず非課税となる、というもの。非課税となる金額には上限があり、平成26年分は500万円まで。ただし、省エネ・耐震住宅を取得すれば、非課税枠は1000万円に拡大される。

 この非課税措置を受けるために最も注意すべき点は、贈与してもらった住宅資金を使う時期と、建築した住宅に居住する時期だ。まず、資金については、もらった年の翌年3月 15 日までに、全額を家屋の新築や取得、または増改築などで使い切ることが必要だ。そして、同じく3月 15 日までにその家屋に住んでいるか、あるいは、居住することが確実であると見込まれることが要件となっている。つまり、今年中に両親か祖父母から贈与をしてもらって、そのお金を来年(2015年)3月15日までに住宅資金として支払い、その後に建てたマイホームに住めばよいのである。

 仮に、3月15日までに工事が完了していなかったり、引っ越しが終わっていなくても、それほど心配することはない。「贈与を受けた年の翌年12月31日までに、その家屋に居住していないときは、新非課税制度は適用されず、修正申告が必要となる」とされていることから、制度的には来年12月31日までに居住すればいいことになる。家が完成していたり、工事が行われていれば、先の「居住することが確実であると見込まれること」という要件はクリアされるだろう。居住が、2015年10月の消費税増税時を過ぎていても、それ以前には契約が済んでいるため、+2%の増税を負担せずに済む。

【松岡賢治のマネーtab】今年中にマイホームを買うメリットとは

■相続税対策としても使える

 この『住宅取得等資金の贈与税の非課税』には、まだメリットがある。非課税措置を受けた後、贈与する側の資産の残額には、暦年課税の基礎控除(110 万円)が適用されるのだ。これは、毎年110万円までならお金をもらっても贈与税はゼロ、という控除枠である。したがって、省エネ・耐震住宅を取得するならば、最大1110万円の非課税枠が適用されることになる。

 さらに、この措置は、相続税対策としても活用できることを付け加えておきたい。2015年1月1日より、相続税が大改正される。その内容を簡単に言うと、相続税を課税する対象者を増やすと共に、高額の遺産がある人にはより多額の相続税を課税する、というもの。歴史的な大増税となっている。

 そこで、少しでも相続税の負担を軽くするために、これからはより多くの人が、さまざまな対策をとる必要があるのだが、この『住宅取得等資金の贈与税の非課税』は、適用条件がシンプルで、最大1000万円という効率の良い対策なっているため、かなりオススメなのである。改正される相続税法の下、新しく課税対象に含まれる層であれば、『住宅取得等資金の贈与税の非課税』で1000万円を贈与しておき、数年にわたってコツコツ暦年課税の非課税枠を積み上げておけば、多くの人が相続税を免れることができるだろう。

 これまで、マイホーム取得を促進する施策や優遇税制は、さまざまなものが実施され、時限的な制度であっても、たびたび延期されてきた経緯がある。この『住宅取得等資金の贈与税の非課税』も、来年以降、延長される可能性は無いとは言えない。

 また、非課税措置があるからといって住宅を購入するのは本末転倒といえ、ライフプランを狂わせることにもつながりかねない。しかし、両親または祖父母に相続税対策のニーズがあり、自分にマイホームを購入する予定があれば、真剣に考える余地はあるだろう。

文/松岡賢治

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。