日本史で「悪者」などマイナスのイメージがついている人物1位「吉良上野介」

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日本史に登場する人物の中には、「暴君」「裏切り者」「悪女」など、悪いイメージが定着している人がいますよね。しかし、じつは悪者ではなかったいう研究結果が発表されることも。みなさんは日本史で「悪者」などマイナスのイメージがついている人物といえば、誰を思い浮かべますか? 読者442名に挙げてもらいました。

Q.日本史で「悪者」などマイナスのイメージがついている人物を教えてください(複数回答)
1位 吉良上野介(『忠臣蔵』では赤穂浪士に討たれる悪役として描かれる) 29.4%
2位 明智光秀(本能寺の変で信長を討った) 28.5%
3位 蘇我入鹿(皇位継承を企てた) 14.5%
4位 田沼意次(賄賂政治家といわれることも) 12.2%
5位 徳川綱吉(「生類憐みの令」をはじめとする悪政で知られる) 11.8%

■吉良上野介
・「忠臣蔵は吉良が悪者としてしか描かれていないから、そう思い込んでいた。地元では信頼のある人だったとか」(45歳男性/電力・ガス・石油/技術職)
・「吉良殿は地元では名君ですよ」(23歳女性/医療・福祉/事務系専門職)
・「ドラマ等ではかなりの悪人として描かれているため。でも実際には名君として領民に慕われていたということを聞き、イメージが変わった」(26歳女性/医療・福祉/事務系専門職)

■明智光秀
・「織田信長の人気の高さの、裏返しですね」(41歳男性/ホテル・旅行・アミューズメント/営業職)
・「謀反人なので」(38歳男性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)
・「織田信長がヒーローっぽく取り上げられることが多いから」(25歳女性/小売店/販売職・サービス系)

■蘇我入鹿
・「ヒーロー的なイメージの聖徳太子に倒される悪役、というイメージがある」(33歳女性/医薬品・化粧品/事務系専門職)
・「児童向け日本史の漫画にも、悪役顔で描かれるから根は深い」(26歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「先日テレビで蘇我入鹿の実績を、実在しない聖徳太子の実績に移したのではないかという内容の番組を見た」(31歳男性/運輸・倉庫/事務系専門職)

■田沼意次
・「実際は有能な政治家なのに、賄賂のイメージしか持たれないのは残念」(27歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「田沼意次=賄賂というイメージが付いてしまっている」(34歳男性/情報・IT)
・「意外にいい政治をしているのに、悪名ばかり」(31歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)

■徳川綱吉
・「とんでもなくワガママな将軍だと歴史の先生が言っていた」(30歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)
・「犬は好きだが、生類憐みの令はやりすぎですね」(35歳男性/アパレル・繊維/技術職)
・「悪者というより、馬鹿というイメージを持ってしまう」(23歳女性/小売店/販売職・サービス系)

■番外編:日本史上の三大悪女と言われている人物も
・淀君(豊臣家を滅ぼした人物)「ヒステリックで無能な女上司の典型というイメージがある」(42歳女性/医療・福祉/専門職)
・北条政子(頼朝の側室の屋敷を破壊、尼将軍として君臨)「独裁者。しかも傀儡を立てて実権をにぎるやり方が嫌」(48歳男性/情報・IT/技術職)
・日野富子(戦乱で苦しむ庶民をよそに巨万の富を築いた)「実際に悪人だからしょうがない。常識がなかっただけとも取れるが……」(36歳男性/ソフトウェア/技術職)

●総評
1位は「吉良上野介」でした。忠臣蔵によって、日本史上、最も有名なヒールとなっていますが、彼の地元である愛知県西尾市をはじめ、名君として評価する声は少なくありません。

2位は主君、織田信長への謀反人として有名な「明智光秀」が挙がりました。ただ、当時の戦国武将の世界では、こうした下克上は決して「異常事態」というほどのことではありません。失敗に終わりましたが、同じく信長に謀反を起こした人物としては、戦国屈指の野心家として数々の非情な行為が伝えられる松永久秀がいますね。

3位は「蘇我入鹿」。一説には、大化の改新で政権を握った中大兄皇子(天智天皇)の正当性を強調するために、蘇我入鹿の実績を聖徳太子という架空の人物の功績とし、蘇我入鹿を悪人に仕立てあげたとも言われています。

4位には賄賂政治で有名な老中「田沼意次」、そして5位には天下の悪法「生類憐れみの令」で有名な「徳川綱吉」の名前が挙がりました。

ある出来事や人物をどう伝えるかは、結局、伝える人のさじ加減という面があります。「そういうところも歴史の面白い点」という人もいれば、「だから歴史は好きになれない」という人も。「本当にこれが真相なのかな?」と疑う視点が大事なのかもしれません。

(文・OFFICE-SANGA 宇喜多あつし)

調査時期:2014年3月8日〜2014年3月13日
調査対象:マイナビウーマン読者
調査数:男性167名、女性275名
調査方法:インターネットログイン式アンケート