勝敗を分けたのは一回の攻撃だろう。
三回、藤田の犠飛で同点に追いつき、なお二死一二塁で打者ジョーンズという場面、三盗を狙った聖澤に連動してスタートした一塁走者の岡島が、三塁は無理と判断した鶴岡の送球に刺されてしまい、チャンスがついえたことがあったのだが、これに関しては聖沢が画面から消えるタイミングから三塁は完全にセーフだったし、二塁のタッチアウトについても二塁塁審の誤審で単に運が悪かっただけ。

しかし一回の攻撃で、三振王のジョーンズが打席に立っていながら、フルカウントからの自動エンドランを仕掛けたのは明らかにベンチの采配ミス。ど真ん中でも平気で見逃し三振をするジョーンズに、バットに当てることを前提とした作戦をとるのは無謀としか言いようがない。

もうひとつベンチのミスと言えるのは、鮮度の落ちた後藤を五番レフトで起用し、打線を分断してしまったことにある。
藤田に対してもそうだったのだが、移籍してきた選手には思い切ってチャンスを与えるのが星野流。
しかし打力が売りの選手でありながら出塁率.227ではどうしようもなく、不慣れな外野守備に目を瞑ってまで起用するほどの成績ではない。
ダボハゼのようにボール球に手を出して凡退を繰り返すスタイルは、楽天のチームカラーには馴染まないので、ユーキリスがまるで使えない場合の保険として獲得したものの、早晩一軍メンバーから姿を消すだろう。

嶋も他球団の正捕手もできないことなので、小関に求めるのは酷なのだが、今の松井裕樹に対し、捕手がコースに構えるのは無意味である。
捕手がまずやるべきことは、個々の打者に対する配球ではなく、この投手が持っている今の能力で最大限の結果を引き出すためには何をすべきかと言うのを考えることだろう。

先発した過去2戦の結果から、80球以上になると球威が落ちると思われるので、あえて三振を獲らないリードをして、球数を減らす工夫がいるということ。
打者はストレートを狙ってくるのだから、一、二回は真ん中狙って思い切り腕を振ったストレートを投げさせて、打ち損じでアウトを稼がなければ、辛島と同じようなリードをしていると、この日のように五回で101球も投げさせてしまうことになる。

田中や則本のような投手でリスクを冒す必要はないが、松井裕樹と森はまだまだそのレベルではなく、『肉を切らせて骨を断つ』ようなリードをしないと、「内容は悪くなかった」という気休めだけの結果に終わってしまう。

ソフトバンク3ー1楽天