写真右から、廣原 暁監督と主演の郭智博さん

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この国では周りから見たらいい大人なのに、仕事も恋愛もうまくいかず、バイトでしのぎながら毎日をやり過ごしたり、親のすねをかじって自宅でゴロゴロしているアラサー男女が増え続けている。そこには確かに日本の雇用の問題も大きく関係しているが、だからと言って、国のせいばかりにしていても何も始まらない。一歩前に踏み出すにはどうしたらいいのか?

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ポン・ジュノやジャ・ジャンクーらの実力派監督たちが絶賛する新鋭・廣原 暁の待望の劇場映画デビュー作『HOMESICK』は、まさに無職の青年が自分の足で歩き出すまでを見つめた意欲作だ。

そこで、4月16日(水)に本作のDVDがリリースされたのを記念して、廣原監督と主演の郭智博さん(『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』)の緊急対談を実施。

ともにアラサーのふたりがどうやっていまのポジションを手に入れたのか? それまでにどんな紆余曲折や葛藤があったのか? 実体験に基づく彼らの生の言葉があなたの背中を押してくれるかもしれない!

■主人公は30歳で突然、無職に…

『HOMESICK』は「ぴあフィルムフェスティバル」による、若手映画監督への製作援助システム「PFFスカラシップ」第22回作品。

30歳の健二は勤めていた塗装会社の社長が夜逃げし、突然無職になる。母親は何年も前から行方知らずで、父親は辺鄙な土地でペンションを経営、妹は海外を放浪中。残された彼は行くあてもやりたいこともなく、引き渡しの日が迫る実家で毎日をダラダラと過ごしていた。そんなある日、夏休み中の小学生男子3人が水鉄砲や水風船で奇襲をかけてくる。応戦する健二は彼らと交流を深める中で、やがて自分自身を見つめ直すことになるのだが、廣原監督はどこからこのストーリーを思いつき、郭はどこに共鳴したのだろう? 話はそこから始まった。

廣原「高校三年生のときに、電車に乗ってひとり旅をしたことがあるんです。旅をしたらいろんな発見があるのかな〜と思ったんですね。でも、意外と何もなくて(笑)。その実感があるんです。(国内外の映画祭で絶賛された)『世界グッドモーニング!!』(’09)のときはそれでも何かあるのでは? という気持ちで撮っていたんですけど、『HOMESICK』ではそこには何もないというのが分かったような感覚で撮ったところがありますね」

郭「脚本を最初に読んだときに、自分と似ているところもあったので、自然に入っていけましたね。それこそ僕も結構モヤモヤしていて、ずっと家で映画を観たり、ゲームをしたり、パチンコに行ったりするだけで、何もやらないヒドい時期がありましたから。僕の顔を見る度に、親が溜息をついてましたよ(笑)」

廣原「幾つぐらいのときですか?」

■ ひたすらやってもできないから、"根性で乗り越えろ!"っていうのは絶対に違うと思った

郭「24、5のころですかね。そのころ前の事務所をやめて、仕事や家族のことでリアルに悩んでいたんです。僕、幼稚園のころからこの仕事をやってるんですけど、24歳ってまだ若いから、ほかにもいろいろできることはあるんじゃないかな?って考えたり、何も考えたくない自分がいたりして。そういう葛藤はあったんですけど、いまの事務所に入って、その堕落した生活からなんとか抜け出すことができました」

廣原「僕は高校まではスポーツが好きで、何かのスポーツ選手になりたいと思っていたんです。それこそ高校時代はバスケ部で、練習が結構厳しかったし、一生懸命やってもできないから怒られてばかりいて。ひたすらやってもやっぱりできないから、根性で乗り越えろ!っていうのは絶対に違うと思った。頑張ればなんとかなるって、ずっと信じていたんですけどね、でも、そこで心が完全に折れたときに、この方向性はやめようと思ったんですよ」

郭「映画監督になろうと思ったのは?」

廣原「スポーツで目が出なかったから、大学で何かやらなきゃいけないなって悩んでいて。そのときにテレビドラマが好きだったし、俺の方が面白いものが作れるんじゃないか? 映像だったらたくさん仕事があるんじゃないか? と思って。そんな浅はかな考えで東京藝術大学に入って、映画にのめり込んでいったんです(笑)」

郭「僕の場合は、高校一年のときに出演した初めての映画が大きかったですね。岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(’01)なんですけど、そのときに初めてこの仕事が面白いなと思ったんです。同年代の役者と仕事のことについて話したのもそのときが初めてだったし、そのときに“この仕事でやっていきたいな”という気持ちが芽生えたというか。周りには役者になるのを迷っている人もいたけど、俺はやっていきたいと思っている方でしたね」

郭「いいですよね、映画って。みんなで集まってワイワイ話すじゃないですか、どんな映画でも絶対に。映画がなかったら、僕もそんなに真剣に議論することなんてないと思うから、映画はすごく貴重だなと思います」

ふたりの場合は若いうちにやりたいことが見つかったからいいが、世の中には健二のように、大人になってもそれが発見できない人たちも数多くいる。

■基本的にやりたくないことは、やらなくていい!?

郭「最近思うんですけど、明確な目標や夢を持つことか大事だと思いますね。それを見つけることすら面倒だったり、見つけられない人もいっぱいいると思うけど、それを持つだけで随分変わると思います。家にいるだけじゃ、何も見つからないですからね」

廣原「僕は基本的にやりたくたないことはやらなくていいと思っていて(笑)。それこそ“やりたいことをやれ!”と言われても、それすら分からない時期って誰にでもありますよね。でも、やりたくないことだったらいっぱいある。そうやって、僕の場合はやりたくないことを徹底してやらなかったら、これしかできることはないんだっていうのが逆に見えてきて。それでいま、ここにいるという感じなんですよね」

とはいえ、彼らもまだ夢の途中。「持つだけで随分変わる」と郭は言ったが、ふたりにとっての当面の夢は何なのだろう?

郭「世界三大映画祭に参加したいですね。もちろん、それが叶ったとしても、それで終りじゃないんですけど。それと、どうも繊細だったり、アンニュイなイメージがあるみたいなので、その固まったイメージをなんとかしないとと思っていて。役者の仕事って、いつどんな役がきてもやれるように準備をしておくことが必要なんです。なかなか難しいことですけど、普段からいろんなところに行ったり、いろんな経験をして、自分を整えるようにしていますね」

廣原「僕は映画化したいものが2本あって。1本はいま脚本を書いているんですけど、毎日バカなことをやっている高校三年生たちの青春映画。これまでの作品でこういう映画を撮る奴か? というイメージが形作られてしまったところがあるので、それをぶち壊してやりたいと思っているんです(笑)。それと、いつか『十五少年漂流記』を映画にしたくて。僕、“大人”という響きにあまりいい印象を持っていなくて。なんか、物事に折り合いをつけていくのが僕の“大人”のイメージなんです。だから映画の中で、大人がまったくいない、子供たちだけの世界を作ることはできるのか? ということを描いてみたいなって考えているんですよ」

迷いながらも自分の進むべき方向を見つけ出し、前をしっかり見つめているふたり。何をしたらいいのかまだ分からない人は、彼らの想いが詰まった『HOMESICK』を観て、自分とじっくり向き合ってみるのもいいかもしれない。

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