[其ノ三 投信ファンダ編]分配金の支払いが過去最高を記録
昨年分の投信の分配金の年間平均額は800円以上と過去最高を更新。NISA(少額投資非課税制度)が始まったとはいえ、いまだに毎月分配型投信の人気は根強いようだ。

通貨選択型投信の登場で 分配金の要求水準は 上昇傾向に

 NISA(少額投資非課税制度)の開始により、決算回数の少ないファンドへの注目度が高まっています。しかし、いわゆる売れ筋ランキングの上位は依然として毎月分配型です。

 分配水準を変更するときに 投資家が敏感な反応を示す傾向も変わっておらず、毎月分配型は根強い人気を誇っています。

 その毎月分配型投信の年間分配金の合計額を算出してみたところ、2013年の平均額は802円と過去最高を更新したことがわかりました。

これを12で割ると、月平均は約70円。投資家が要求する月間分配金の水準は上昇傾向にあり、かつて「グロソブ」が脚光を浴びた2000年代半ばの30〜45円から、現在は海外REIT(不動産投信)型や米国ハイ・イールド債券型に多い70〜75円という水準が平均になりつつあることがわかります。

 また、毎月分配型投信の既払い分配金の合計額を基準価額で除した、いわゆる「分配金利回り」も、2012年とほぼ横ばいの8・7%という高い水準を維持しています。

 なお、年間の分配金合計額だけを見ると、実は2007年も700円を上回る高い水準を記録していたことが分かります。これは当時の好調な市場環境を反映し、特にREITを組み入れたファンドで、 キャピタルゲイン(株式や債 券の値上がりによる利益)の払い出しであるボーナス分配が積極的に行なわれ、全体の数値が上昇したためです。現在はボーナス分配自体がほとんど行なわれていないので、月間分配額はやはり上昇傾向 にあると結論づけることができそうです。

 今や国内の追加型株式投信残高の約7割を占めるまでに成長した毎月分配型投信は、2008年のリーマン・ショックを境に、より高い分配金を支払うファンドへと人気が シフトしました。

 不安定で先の見えない市場環境が続く中、中長期の値上がり益よりも足元の分配金という考えが一般化し、いつからか「分配金利回り」あるいは「分配率」という単語も広く使われるようになりました。 この現象に拍車をかけたのが2009年に登場した通貨選択型の存在で、後に2ケタ台の利回りを確保するファンドも珍しくありません。

 定期的なキャッシュフロー を受け取りたいという投資家のニーズは、年金受給層とその予備軍を中心に根強く存在しています。投資家のニーズに応える形で、毎月分配型投信が進化を続けてきたことはごく自然な流れといえます。

 しかし、受け取る分配金の要求水準が上昇傾向にある中、運用力以上の分配金を支払うファンドも珍しくなくなりま した。前述の分配金合計額も、こうした "無理な分配" が積 み重なった結果と見たほうがいいでしょう。

 なお、元本の払い戻しに相当する部分は特別分配金となり課税はされませんが、中長期で見ると、運用効率の悪さがファンド全体の運用成績に影響する可能性もあるので注意が必要です。

今月の海外投信ノ「値」1070億ドル
米国における2月第1週の 課税債券ファンドへの資金流入額
投信評価会社のリッパーによると、米国における2月 第1週の課税債券ファンドへの資金流入額は1070億ドルに上り、過去最大となりました。株式市場に調整が入ったことで、先進国、新興国ともに株式ファンドからは資金が流出しています。

【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
楽天証券経済研究所ファンドアナリスト

慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2014年5月号」に掲載されたものです。