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4月が始まって約3週間、一人暮らしを始めた人からは「そろそろ実家が恋しくなってきた」なんて声もチラホラ。

帰れば誰かが「おかえり」と言ってくれ、朝晩と何も言わずとも食卓にはおいしい料理が並ぶ。安心感と居心地の良さは抜群の“実家”。しかし油断をすれば、母親が「きちんと食べてるの?」「誰かいい人はいないの?」「あなたの同級生の○○ちゃん、結婚するんですって」「△△ちゃんは、2人目の子供が生まれるらしいわよ」と、容赦なく地雷を踏み荒らす危険地帯へと変貌……。

おそらく、家族も親戚もみーんな幸せで何の問題もないハッピーファミリーなんていないのでは?「渡る世間は鬼ばかり」のように(?)、きっと誰もが何かを抱えているはず!

そして今回ご紹介するのは、どこにでもいそうな、あるアメリカ人家族の物語……なのだが、母娘を演じるのは、なんとメリル・ストリープとジュリア・ロバーツ。どんなセレブな家族の物語かと思いきや、まるで隣の家、いや我が家のことかのような親近感で迫ってくる、悲劇であり喜劇、加えてある意味ホラーなのだ。

■ストーリー
オクラホマの片田舎。8月のうだるような暑さの中、がんを患いますます毒舌がひどくなる母親バイオレット(メリル・ストリープ)の元に3姉妹が集まった。その理由は父親の失踪。長女のバーバラ(ジュリア・ロバーツ)は夫(ユアン・マクレガー)の浮気と娘(アビゲイル・ブレスリン)の反抗期に悩んでいた。一方、次女アイビー(ジュリアンヌ・ニコルソン)はひそかな恋に胸を躍らせており、三女カレン(ジュリエット・ルイス)は、家族の危機に怪しい雰囲気の婚約者と一緒に現れた。
さらに叔母の家族もやってきて、一同はその晩、食卓を囲むことに。最初は和やかな雰囲気で始まるも、次第にお互いの本音が見え隠れし始め、事態はあらぬ方向へ……。

■アメリカの傑作舞台を映画化
原作はピュリッツァー賞戯曲部門賞とトニー賞演劇作品賞を受賞した現代アメリカ演劇の金字塔、脚本家トレイシー・レッツの戯曲。映画の脚本もレッツ本人が担当している。さすがW受賞の傑作舞台だけあって、脚本の素晴らしさは秀逸。映画バージョンもせりふのリズム感が素晴らしく、キャストらは即興で演じることはなかったという。

登場人物たちは一見、中流(中の上)家族の幸せな人たちに見えるが、裏ではドロドロ。お互いがお互いをチクリとやり合うシーンは思わず笑ってしまうが、だんだんとそのやり取りがヒートアップするにつれ、見てるこちらまでハラハラ、だんだん悲劇を通り越してホラーにさえ思えてくる。

夫婦間、母娘、女姉妹、それぞれの会話が互いの歴史を物語り、最初はどこか野次馬気分で隣の家庭事情をのぞいているような気分になる。だが徐々に、過去に聞いたような(言ったような)“キレイごと一切なし”の言葉の数々にドキリとさせられ、もはや人ごとではない感覚に……。

すでに映画を見た女性たちの間では「将来の母親の介護について真剣に考えてしまった」「私も女兄弟がいるので、次女に感情移入してしまって……」と思わず自身の家族について考えてしまうという意見も多かったという。

■メリル・ストリープ×ジュリア・ロバーツ、豪華キャストが集結
なかでも、大きな見どころはメリル・ストリープとジュリア・ロバーツ演じる母娘が激しくやりあうシーン。時には取っ組み合いにまで発展してしまうが、ジュリアはバイオレットを演じたメリルの演技を見たときには「(その演技の迫力に)身の毛がよだつほどの寒気がした」という。だが、ジュリアの演技も十分に迫力満点。いつものキュートさは何処へ!?と驚くような、真面目で他人にもキビしい、「あぁいうふうにはなりたくない」と思わせる女性を見事に演じ切っている。メリルとジュリア、ふたりのアカデミー女優賞(主演&助演)Wノミネートにも納得だ。

ほかにも「アメイジング・スパイダーマン2」のクリス・クーパー、今をときめくベネディクト・カンバーバッチ、わずか10歳でアカデミー賞にノミネートされた「リトル・ミス・サンシャイン」のアビゲイル・ブレスリン、ユアン・マクレガー、ジュリエット・ルイスといったそうそうたる役者が“家族や親戚”という、夢の競演が実現。誰もがギリギリまで追い込まれ、本質をさらけ出していくそのリアルな演技にも注目だ。

■さいごに
本作のキャッチコピーは「愛しいからこそ、憎らしい」。見どころはそれぞれのバトルシーンだが、根底に流れるのは家族を思うからこその気持ち。
ゴールデンウィークに帰省する方もそうでない方も、この機会に両親や兄弟姉妹について改めて見つめ直してみてはいかがだろうか?
(mic)

「8月の家族たち」は4月18日(金)よりTOHOシネマズシャンテほかにてロードショー