米国が厳冬による景気悪化脱出へ。昨夏以降、堅調だったユーロに黄色信号!

ECBは量的緩和策の実施へ。対ドルでのユーロ高は逆回転か

 ユーロ圏でディスインフレが進行して追加緩和期待がくすぶっているにもかかわらず、ユーロは高止まりです。特に年初の記録的悪天候を受けた米国景気悪化もあり、対ドルで高値圏が続いています。

 この要因は3つあります。①ユーロ圏の実質金利上昇ECB(欧州中央銀行)が量的緩和策を実施していないため中長期金利が高止まりしている一方で、インフレ率が低下したためです。②高債務国の利回り低下高債務国として売り圧力を受けていたスペインの景気回復が明確になり、イタリアで39歳の中道左派のレンツィ氏が首相に就任し改革期待が高まったことなどが理由。③ユーロ圏の経常黒字拡大ユーロ高にもかかわらず牽引役のドイツの景気・輸出が好調で、ユーロ圏全体としても経常黒字が拡大しています。しかし、今後はユーロの悪材料が増えることが予想されます。

 イタリアのレンツィ新首相への期待はやや行きすぎ。若いのにカリスマ性がありますが、これまでと変わらない複数小政党の連立で、重要な意思決定は困難なままです。

 3月末にユーロ圏の銀行の資産評価結果が発表されますが、イタリアの銀行は特に問題が多い可能性も。イタリアに限らずユーロ圏の銀行全体の保有資産は厳しく評価されることになり、資本増強の必要性が高まるでしょう。

 また、ユーログループのダイセルブルーム議長はここ数カ月、ユーロが高すぎると繰り返し発言。景気についてもドイツ以外の回復は鈍く、特にフランスが足を引っ張るリスクが高まっています。

 こうした中、ECBはいずれ追加緩和に踏み切らざるをえないはず。無制限の量的緩和は難しいものの、断続的な金融緩和措置がユーロの買い持ちを難しくし、ユーロは下落に向かうでしょう。

 冬場の悪天候が終わり春に向かえば米国景気も通常の回復ペースに戻るとみられ、ユーロは対ドルで下がりやすくなります。また、消費増税開始後の日本株下落・円高の懸念から、ユーロ/円は、135円を視野に入れた展開となるでしょう。

4月のFX天下分け目 スケジュール

1位 30日(水): ユーロ圏・4月のHICP(消費者物価指数)
株価への影響: 円高

2位 23日(水): ユーロ圏・4月のPMI(購買担当者指数)
株価への影響: 円高

3位 3日(木): ユーロ圏・ECB金融政策決定
株価への影響: 円高

4位 21日(月): 日本・3月の通関貿易収支
株価への影響: 円高

5位 25日(金): 日本・3 月の全国コアCPI(消費者物価指数)
株価への影響: 円高

6位 4日(金): 米国・3月の雇用統計
株価への影響: 円安

7位 30日(水): 米国・FOMC(連邦公開市場委員会)金融政策決定
株価への影響: 中立

8位 23日(水): 豪州・第1四半期CPI
株価への影響: 円安

9位 16日(水): 中国・第4四半期GDP
株価への影響: 円高

10位 1日(火): 中国・製造業PMI
株価への影響: 円高

一刀両断! 4月の為替レンジ

米ドル/円
レンジ: 98~105円
トレンド: 円高
現在値: 103.2円

ユーロ/円
レンジ: 134~142円
トレンド: 円高
現在値: 143.2円

豪ドル/円
レンジ: 87~92円
トレンド: 円高
現在値: 93.6円

NZドル/円
レンジ: 81~86円
トレンド: 円高
現在値: 87.4円

英ポンド/円
レンジ: 168~176円
トレンド: 円安
現在値: 172.6円

南アランド/円
レンジ: 9.0~9.7円
トレンド: 中立
現在値: 9.6円

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
プレビデンティア・ストラテジー 外為ストラテジスト

日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、RBS、バークレイズなどでチーフFXストラテジストを務め、 2013年8月、外為市場調査を行なうプレビデンティア・ストラテジー設立。




この記事は「WEBネットマネー2014年5月号」に掲載されたものです。