ノンカフェイン飲料は女性や敏感体質の人に好評

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 春眠暁を覚えず、というように暖かい春は眠い季節。覚醒作用があると言われるカフェインに頼りたくなる機会も増えそうだが、一方でカフェインは、人によっては頭痛や胃痛を引き起こしたり、睡眠前に飲むと不眠や睡眠障害の原因になったりもする。昨今の健康志向の高まりを背景に、このカフェインを取り除いたり(=ノンカフェイン)、少なくする(=カフェインレス)飲料市場が広がっている。

 競争激しいお茶市場で、「ノンカフェイン」を打ち出す商品が目立ってきた。日本コカコーラはノンカフェインの「爽健美茶 すっきりブレンド」を昨年発売。キリンビバレッジは今月末に、ペットボトルの緑茶飲料では世界初となるカフェインゼロの「生茶」を発売する。ここ数年、もともとノンカフェインの麦茶市場は好調を維持している。昨年は、無糖茶ドリンク全体の伸び率が前年比101%に対し、麦茶ドリンクは前年比109%だった(リキッド飲料市場研究データブック2014年上巻)。

 昨今、女性をターゲットとした商品が相次いで登場しているドリンク剤市場でも、「ノンカフェイン」は一つのキーワードとなっているようだ。有機野菜や無添加食品の宅配サービスを行う「らでぃっしゅぼーや」が今年2月から発売開始した女性向けエナジードリンク「やさいのめざめ」もノンカフェイン。砂糖、保存料・着色料不使用などとともに、ノンカフェインを大きく謳う。大正製薬のリポビタンシリーズにもカフェインゼロの「リポビタンフィール」が登場した。

 大正製薬は、女性向けドリンク剤をノンカフェインにする理由として、女性はドリンク剤を、仕事や家事、勉強を始める前に続き、寝る前に飲むことが多いという調査結果を挙げている。管理栄養士の白鳥早奈英氏は、女性にとってのカフェインを、こう分析する。

「カフェインには様々な効能がありますが、カフェインを飲むと目が覚めてしまって眠れないという人は確かにいます。カフェイン自体の良し悪しよりも、睡眠の質と量の低下が、体にとってはもちろん、女性の美容にとって最大の敵です。ですから眠れなくなる人には、ノンカフェイン市場の広がりは歓迎すべきことですね」

 カフェインレス・コーヒーも欧米などでは珍しくなく、コーヒー市場の10%を占めるといわれるほどだ。日本でも、タリーズやスターバックスといった外国系コーヒーチェーン店では、カフェインレス・コーヒーを提供する店舗がある。妊婦や授乳中の女性だけではなく、カフェインに敏感な体質の人にも好評だという。

 こうしたノンカフェイン市場拡大の背景を、飲料総研取締役の宮下和浩氏に聞いた。

「特定保健用食品(トクホ)飲料が人気を博すなど、中高年齢層や女性を中心に、健康意識が高まっていることがまず挙げられます。それからカロリーオフやカロリーゼロ飲料が広がったことで、マイナスの付加価値、あるいは引き算の付加価値、とでもいうべき価値観が定着したこともありますね。お茶やコーヒーは、本来カフェインを楽しむ飲み物とも考えられますが、それをあえて引くことが、プラスとして受け入れられているようです」

 メーカー側にとっては、店頭での棚取りをリードするための戦略の一つでもあるようだ。

「いま、コンビニやスーパーではPB(プライベート・ブランド)商品が好調で、メーカーの棚取り競争は厳しくなっています。他の商品と差別化をしないと、すぐに店頭に置いてもらえなくなる。たとえば『生茶』の昨年の出荷は1800万ケース(1ケース30本換算)。これは、緑茶飲料トップの「おーいお茶」(伊藤園、8470万ケース)の約5分の1で、苦戦している。そんななか、“ノンカフェイン”という切り口は、目新しさを出す一つの売りになっていると考えられます」

 最後に、今後、ノンカフェインが根付くためのポイントを聞いた。

「3、4年前から、コーヒーなどを中心にカロリーオフやカロリーゼロ商品が広がりましたが、現在では下火です。やはり最後は“味”。最近はカフェインを抜く技術が発達し、味や香りの良いものが出てきているようですね。トレンドが次々に入れ替わる飲料業界で長く愛されるには、美味しいことが何より大事です」

 花より団子ではないが、飲むなら美味しいものを飲みたいのが人情。体に良いノンカフェイン飲料の味の進化を期待したい。