昨年秋以降、バイナリーオプションの取引ルールが変更されたが、はたして新ルールになって何が変わったのか。カリスマFXトレーダー・羊飼い氏が、実際にルール変更後のバイナリーオプションを実践し、投資家にとっての使い勝手がどう変わったか、解説する。

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「特定の日時までに上がるか下がるかを予想する」というシンプルさで投資家の人気を集めていたバイナリーオプションの取引ルールが、2013年の秋以降、大きく変更された。投機性の高さが問題視されたことから、投資家保護を目的に新しい規制が適用されたのだ。

 変更の主な対象となったのは、特定の日時までに上がるか下がるかを予想する「ハイアンドロー型」の商品だ。的中すれば投資金額がほぼ倍になり、外れれば全額を失うしくみで、5〜10分おきに1日数百回も取引できたために、特に投機性が高いと判断されたのである。新ルール下ではこうした短時間のオプションは禁止され、最短でも2時間おきの開催が定められ、取引機会が大幅に減少した。

 また、上か下かを選択するだけの二者択一という点も規制の対象となり、複数の目標レートが設定されるようになった。まずは複数の目標レートの中からひとつを選び、判定時刻のレートが選んだ目標レートより上か下かを予想して投資する。これは従来からIG証券が提供していた「ラダーオプション」と同じ形態で、新ルール下ではこのタイプの商品が主流となった。

 投資家にとっては資金の管理も複雑になった。従来型では1口100円というふうに投資金額が固定され、当たれば約2倍、外れれば払い戻し(ペイアウト)はゼロというシンプルなしくみだったのに対し、現行ルールではペイアウト金額を固定されるため、購入時のオプション価格が変動するようになった。要するに、的中した際に受け取る金額は同じでも、どのオプションをいつ買うかで投資金額が大きく異なってくるのだ。

 たとえば1口のペイアウト金額が1000円に固定されている場合、投資時点のオプション価格は1000円以下の範囲で変動する。700円のオプションを買って的中すれば1000円が払い戻され300円の利益となり、外れれば700円をそのまま失うというわけだ。

 オプション価格は通常、購入時点のレートと離れているほど安くなって利益が大きくなるが、購入時点のレートと近いほど、また判定時刻が迫っているほど、的中の確率が高まる分価格も高くなる。ルール上は最短で1分前まで購入できるが、実際はそこまで直前になるとオプション価格がペイアウト金額と同程度まで値上がりしていることも多く、現実的にはほとんど投資妙味がない。

 投資家側にうれしい改正もある。判定時刻を待たずに早めの利益確定や損切りの判断がしやすいよう、各オプションには買い値だけでなく売り値も表示するよう定められた。通常のFX取引と同様の2WAY方式といえるが、スプレッドはFXに比べて広く、スリッページ(約定時の価格のズレ)が発生することもあるので注意が必要だ。

 また、従来は値動きが小さすぎた場合に自動的に負けとみなされる「レンジ外」というしくみがあったが、こうした制度も廃止された。今後は相場がどう動いても的中させることが可能になるので、FX会社に総取りされる心配はない。

 ただ、羊飼いの印象としては、新ルールは初心者にはわかりにくく、「シンプルさ」というバイナリーオプションの大きな魅力のひとつが失われてしまったように思える。しかも、取引回数が大幅に減少したことで、1日100回を超えるトレードをして利益を上げていたような投資家には大きな痛手となり、業界はいまひとつ盛り上がりを欠いているようだ。

 だが、取引回数についてはカバーする方法がある。2014年2月1日現在、バイナリーオプションを提供するFX会社は7社あるが、各社の開催時間にはズレがあるので、このズレを利用して取引チャンスを増やすことが可能なのだ。

 たとえば、各社の午前中の開催時間(冬時間)をみてみると、GMOクリック証券は8時、10時、12時、FXトレード・フィナンシャルは8時20分、10時10分、12時10分、サイバーエージェントFXは7時半、9時半、11時半、となっている。この3社以外でも開催時間はほとんど重なっていないので、複数社で口座を開設して取引できるようにしておけばチャンスはそれほど少なくはないのだ。

※マネーポスト2014年春号