金が売られすぎた2013年から一転、今年の金市場は底堅く、ニューヨーク商品取引所(COMEX)金先物市場では1トロイオンス(約31.1035グラム)=1200米ドル台半ばから1300ドル台での推移が続いている。

 12年連続で上昇した金の国際相場が、ついに下落に転じたのが2013年だった。昨年1年間で米ドル建て金価格が28%値下がりしたのに対し、NYダウは28%値上がりした。金価格の動向に詳しいマーケット ストラテジィ インスティチュート代表取締役の亀井幸一郎氏が金投資のタイミングについて解説する。

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 年内の金価格のレンジは1180ドル〜1400ドル付近と強気にみている。下がっても、昨年6月28日につけた1179ドルが当面の下値になるのではないか。昨年末に一時1181ドルまで下がったが、1180ドル割れはしなかったため、金市場でもこれが目先の下値という意識が生まれ始めている。

 1年間で28%も下げたドル建て金価格は、すでにアメリカのテーパリング(金融緩和縮小)を織り込み済みと考えられる。仮に再び売られたとしても、1200ドルを割れた時点で、新興国の実需の買い、ファンドの買い戻しが入ってくるはずだ。

 アメリカは年始に雇用統計が予想を大きく下回るなど市場の楽観ムードに水を差すような状況となった。異常寒波など気象条件を背景とした一時的なものとする見方が有力だ。

 ただ、テーパリングによる混乱や新興国市場の動揺など材料が重なり合って悪材料が共鳴する場合は要注意だ。それぞれはインパクトが小さくても、波長が合うとうねりとなって予想外に波乱が大きくなる可能性がある。それが今年の市場環境だ。その際のリスク・オフ(リスク商品回避)によって、金価格が上昇する可能性もある。以上を踏まえると、金を購入するタイミングは、1200ドル台割れが目安になると考える。

 日本国内の金価格はドル円相場の影響を受けるため、ドル建て金価格が下落したにもかかわらず、円安の影響で国内価格はあまり下がっていない。3月中旬現在、1ドル=103円付近、国内金価格は1グラム=4500円前後(税抜き)で推移している。ドル円が100円〜101円近辺まで落ち、国内価格が4000〜4100円に下がった時は、買いのチャンス到来といえる。

 投資の手段としては、金現物よりも金ETFのほうが金額ベースで小口から買うことができ、コストも抑えられて使い勝手がいい。日本国内で金現物と交換(一定口数以上)が可能な金ETF「純金上場信託」(愛称「金の果実」)という選択肢もある。だが、金を保有しているという実感を持ちにくいかもしれない。実物資産として手元に置きたいなら、金貨などが向いているだろう。

 日銀による金融緩和が本格化する見通しの国内では、将来のインフレの可能性を考えて金の購入を検討する投資家が増えている。金は利息がつかないが、ヘッジとしての役割がある。比較的まだ円高水準にあるうちに、金を資産の一部に組み込むのも一考である。

※マネーポスト2014年春号