103万円・130万円の壁、見直しの影響

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「103万円・130万円の壁」とは?

サラリーマンの妻が、パートタイマーで働きに出る場合によく言われる「103万円・130万円の壁」。これは、一般的にパート収入が年間103万円を超えると所得税が、130万円以上になると社会保険料がかかってきてしまうという認識から、年収が103万円以下、あるいは130万円未満になるよう働き方を調整してしまう現象です。

今の段階では具体的ではないにしろ、今後、この「103万円・130万円」の壁を「女性の就労意欲を削いでいる」という理由から、見直そうという動きが出てきています。


社会保険では、加入が義務付けられる労働者の範囲が拡大される

社会保険では、扶養家族でいられる基準「130万円の壁」はそのままですが、2016年4月以降、加入が義務付けられる労働者の範囲を拡大することがすでに決定されています。現在、社会保険の適用事業所に勤めるパートタイマーは、1日または1週間の所定労働時間、あるいは1カ月の所定労働日数が、通常の就労者のおおむね4分の3以上である者については被保険者となります。これが、2016年4月以降は以下の通りに改正されます。

1週間の所定労働時間が20時間以上
月額賃金が8万8000円以上(年収106万円以上)
6仟1年以上が見込まれること
そ抄醗501人以上の事業所(以後3年をめどに301人以上に拡大見込み)
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この改正により、新たに社会保険の適用を受ける人は約45万人と見込まれています。社会保険に加入するということは、夫(あるいは妻)の社会保険の扶養から外れることなので、実質「130万円の壁」の引き下げであるとも言えるでしょう。

なお、社会保険の適用事業所でない職場の場合は現状通り、年収130万円以上になると扶養の基準から外れるため、自分で市町村の国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。


見直すことのメリットとデメリット

税制面で「103万円の壁」を見直した場合、今まで課税されてこなかった主婦のパート収入に税金がかかるようになり、「家計の負担が増大する」というデメリットが生じます。一方で、フルタイム勤務などで、きっちりと所得税を納税している女性の不公平感を解消することができます。また、所得の上限を気にせず就労できるため「女性の持つ労働能力を、さらに有効活用できるのでは?」と期待されています。

次に、社会保険の「130万円の壁」を見直した場合のデメリットは、もちろん言うに及ばず、これまで夫の扶養に入っていた妻が「社会保険料を納めなければならない」ということでしょう。例えば、パートタイマーの妻が会社の社会保険に加入した場合、10万円の月収では約1万4000円程度の負担増になるわけですから、これは家計にとって大きな打撃となります。もちろん企業負担も同様に増えてしまいます。

ただ、全てのパートタイマーが負担増となるわけではありません。例えば、同じく社会保険に加入するパート月収10万円の自営業者の妻で、今まで国民年金・国民健康保険の被保険者だった人は、今まで払っていた保険料よりも負担が軽くなります。

消費税増税などで家計の負担が重くなる一方ですが、労働人口減少による税収の落ち込みや年金制度維持の厳しい状況をかんがみると、これまでのような「家庭に妻がいるから」といったことに重きを置いた優遇政策は見直さざるを得ないのかもしれません。次世代を担う子育て世帯への助成を手厚くするなど、制度シフトが必要となってくると思われます。


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