同じ色のぷよぷよを4つ以上そろえて消すという内容。同じゲーセンにいる仲間、全国のプレイヤーと協力することも可能だ

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かつてゲームセンターは若者の聖地だった。

古くは『スペースインベーダー』(1978年)に始まり、『ストリートファイターII』『電車でGO!』『プリント倶楽部』『UFOキャッチャー』など数々のヒット作を生み出し、独自のカルチャーを育んできた。

しかし、2000年代に入ってから、状況が一変する。

主な要因は、家庭用据え置きゲーム機の高性能化、ネットを介したゲームやスマホの登場だ。

日本アミューズメント産業協会の調査によると、ゲーセンの市場規模は2006年度の7029億円をピークに、12年度は4700億円まで縮小。また、警察庁の「警察白書」によると、86年に全国で約2万7000店舗あったゲームセンターが、昨年には約6000店舗と減少の一途をたどっている。

さらに4月からの増税の影響で、維持費負担が大きくのしかかり、今後、閉店に追い込まれる店舗も増えそうだという。

そんなゲーセンの苦境を打開しようと名乗りを上げたのが、ゲームメーカーのセガだ。

国民的パズルゲームとして、世代・性別問わず人気の『ぷよぷよ』シリーズのアーケード版最新作『ぷよぷよ!!クエスト アーケード』を、なんと、業界初の「基本プレイ無料」ゲームとして昨年11月より各地のゲーセンに設置。人気を博しているのだ。

基本プレイ無料のシステムを導入した理由を、セガの担当者に聞いた。

「いつのまにか高くなってしまっていたゲームセンターの敷居を下げたい、遊びに来たことがない人でもすぐに楽しめるゲームを作りたいと考えたのがきっかけです。そこで、誰でも気軽に楽しめるパズルというジャンルで、なおかつセガのIP(知的財産)の中でも認知度の高い『ぷよぷよ』がいいのではないかという社内の声のもと、開発を進めてきました」(セガ・アミューズメント事業統括本部AMプロモーション部の田中宏幸氏)

基本プレイ無料はうれしい限り。しかし、“無料”には何かカラクリがあるのではと警戒するユーザーもいそうだが……。

「ゲーム内のポイントである〈げんき〉を使用して、どなたでも気軽にプレイを始めることができます。クエスト(課題)に挑戦するたびにその〈げんき〉は消費されていきますが、時間の経過とともに自動で回復します」(田中氏)

最初にもらえる100〈げんき〉でだいたい2ゲームでき、消費した〈げんき〉は3分間で1〈げんき〉、5時間で最大の100〈げんき〉まで回復するという。

つまり、一日に何度も無料でプレイできるわけではないのだが、もし何度も繰り返して遊びたくなったら、お金(100円)を投入することで、すぐに100〈げんき〉を追加し、回復させることもできる。そこはユーザーの自由だ。

「先日、早くも累計プレイヤー数が150万人を突破しました。スマートフォン版との連動も開始したことで、ゲームセンターに通う習慣のなかったアプリゲームユーザーの集客にもつながっていると感じています。

ちなみに、稼働時間帯を見ると、夕方6時以降は制服姿の中高生が減る影響もあり、比較的余裕があります。会社帰りのサラリーマンの方、また、最近ゲームセンターから離れてしまった大人の方には特にオススメです。4月以降、全国の設置台数が2000台を突破予定ですので、ぜひお近くのゲームセンターをチェックしてみてください」(田中氏)

ゲーセン業界にも訪れた無料の波。果たして、新たな一大ブームとなるのか……どうかはともかく、一度遊んでおいて損はない。何せ無料なのだから。

(取材・文/林 将勝)