不安的な国内金融 安全資産としての金需要が急増中の中国

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シャドーバンキング問題に端を発して、デフォルト懸念が高まっている中国。そんな中、国内需要が急増しているのが金である。この背景には、金融不安により安全志向へと走る投資家たちの思惑が深く関係していると見られる。

 中国で「シャドーバンキング(影の銀行)」問題が懸念事項として浮上してきたのは昨年春のこと。金融当局の厳しい規制下にある銀行を通さない資金融通ゆえに、その実態は闇の中とされている。実際に、中国政府がその本格的な規制に乗り出す方針が伝えられたのは今年に入ってからのことだった。銀行を介さない資金調達の手段として、信託会社などが発行する高利回りをうたった「理財商品」が次々と販売されてきた。企業が融資を受けた資金をまた貸しする迂回融資なども含めると、銀行・保険・証券監督当局が把握するものだけで9兆元(約150兆円、2013年6月時点)とされる。これに、地方政府が監督するものや規制対象になっ社などが名を連ねていていなかったネット金融、その他販売会社の分を加えた全体の規模についてのデータは公式発表されていない。米国格付け会社の推計では約500兆円とされる。

 ここに来て懸念が高まっているのは、発行された「理財商品」のデフォルト(債務不履行)が増えていること。しかも、投資家に販売した仲介者として有力な銀行や保険会社などが名を連ねているのだ。おそらく、法規制のない中小の金融業者の販売によるものでデフォルトになったものはそれ以上に多いと推測される。不良債権化したものが続出するのは、これからという指摘もあるのだ。

 実は、こうした環境も中国国内の金の購入意欲を刺激していると思われる。前回、金需要の急増を映し中国の2013年の輸入量が初めて1000トンを超えたことに触れた。需要拡大の背景に大手銀行を中心に窓口での金の販売が全国規模で定着したことがある。中央政府が率先して販売を奨励したからだ。そして、直近では9行に絞っていた金輸入の窓口を広げる方針を掲げ、英国HSBCと豪州ANZの外国銀行2行にも輸入業務を許可した。銀行の窓口では、小さいものでは3グラムの金貨から業務用の400オンス(約12・5キロ)の大型地金まで、預金口座を使い決済することで非常に手軽に金を購入することができるようになっている。

 そこへ理財商品に関連した不良債権問題が影を投じているのだ。この場合、中国国内金融への不信感の高まりが安全資産としての金の購入を刺激する要素となっていると見られる。以前のインフレ対応から一変し、今では投資家の安全志向が資金を金へと向かわせているのは間違いなかろう。

亀井幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券、に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆講演など幅広く活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2014年4月号」に掲載されたものです。