3日目に無念の途中棄権をしたフィル・ミケルソン(Photo by Darren Carroll/Getty Images)

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 バレロ・テキサスオープンが終わり、マスターズまで残るはシェル・ヒューストンオープン1試合になった。マスターズ出場権をまだ手にしていない選手たちは、とにもかくにも試合に出て優勝を目指す以外に道はなく、石川遼も必死の連戦を続けている。そんな中、今週はスティーブン・ボウディッチが米ツアー初優勝を挙げ、オーガスタへの切符を手に入れた。
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 一方、すでにマスターズ出場が決まっている選手たちは、さまざまなスタイルでマスターズに備えようとしている。メジャー大会直前の試合に出てギアアップを目論む派がいれば、試合を休んで備える派もいる。フィル・ミケルソンは以前から前者のタイプで、今週と来週のテキサス2戦には早くから出場を決めていた。だが、今大会は初日「77」と大きく出遅れ、予選落ちは濃厚になった。それでも2日目の18番では見事なウォーターショットでピンチを脱し、バーディーフィニッシュでぎりぎり予選を通過。ネバーギブアップの精神で最後まで粘り、見事なリカバリーを披露したミケルソンの姿に人々は酔いしれた。
 「初日はうまくいかなかったが、2日目はスピードもフィーリングも戻り、体がちゃんと反応するようになって、いいショットが打てた。こんなふうに試合を通して気持ちの面から“入っていく”ことが大事なんだ」。興奮混じりにそう語ったミケルソンの姿には精彩が溢れ、そんなミケルソンを眺めたファンも自然に笑顔になっていた。
 だが、そのミケルソンが、翌日の10ホール目のティショットを打ったとき「右半身の筋肉を傷めた」ということで途中棄権となった。ミケルソン自身にとっても残念な結果だったのだろうし、体の故障ゆえ、仕方がないことではある。だが、ミケルソンなりのマスターズへの備え方がオーガスタでどんな結果につながるのかを楽しみにしながら彼の活躍を期待していたファンにとっては、この棄権はとても残念なものとなった。
 今季はタイガー・ウッズとミケルソンの棄権や欠場、そして不調が続いている。ミケルソンの途中棄権は1月のファーマーズ・インシュアランスオープン2日目(腰痛)に続き、今回が今季2度目だ。
 タイガー・ウッズは3月のホンダクラシック最終日に腰痛で途中棄権し、続くキャデラック選手権はなんとか出場したものの、最終日は「78」を叩き、翌々週のアーノルド・パーマー招待は相性抜群のベイヒルでの開催だというのに欠場する運びになった。
 別に厄年というわけではないのだろうし、偶然という面ももちろんある。だが、大物選手たちが故障や不調に喘いでいる背景には、米ツアーシステムの大幅変更が少なからず影響している。
 開幕時期が10月になり、旧フォールシリーズが開幕シリーズに変わり、マレーシアや上海などアジア開催の大会の位置付けも変わったこと、あるいはメジャー4大会の出場資格が一部変更になったことで、今季から選手たちのスケジュールの組み方にも工夫や変化が求められるようになった。
 とはいえ、ビッグネームたちは相変わらずのマイペースで、スケジュールの大幅チェンジはせず、アダム・スコットがアクセンチュア・マッチプレー選手権を含む西海岸シリーズ全試合を欠場したのは世界ランク上位者の中では、むしろ異例。
 だが、他の多くの選手たちは10月からキックオフし、フェデックスカップのポイントレースも始まり、ジミー・ウォーカー、パトリック・リードなど、かつての無名選手が春先にシーズン2勝、3勝とアクセル全開で上昇を始めている。ジョーダン・スピースなど若き選手の台頭も著しい。さらには、スケジュールの組み方を変えたスコットが世界ランクを着々と上げ、王座に迫りつつある。
 そうなってくると、さすがの大物選手たちも、心中穏やかでいられるはずはない。さらに言えば、08年の全米オープン優勝以来、メジャー勝利から遠ざかっているタイガーは、今年こそはというプレッシャーを感じているはずだし、ミケルソンは今年の全米オープンを制すればグランドスラム達成ゆえ、6月に向けて調子を上げていくためには、まずマスターズで優勝争いをして好調の波と自信を築き上げようという目論見なのだ。
 それなのに、タイガーは得意コースのトーリーパインズでセカンドカットを喫し、大好きなドラルでは最終日に大崩れし、ベイヒルは出ることもできずに欠場。ミケルソンは過去3年間は常に1勝以上を挙げてからマスターズを迎えてきたが、今季は得意なはずの西海岸シリーズで成績が振るわず、未勝利のまま来週のヒューストンオープンへ、マスターズへと続きそうな気配。
 彼らの棄権や欠場は、もちろん正真正銘の肉体の故障ではあるのだが、ちょっと見方を変えると、それは昨今の目まぐるしい諸々の変化へ対応しようとする際の軋轢や精神的な苦悩がどこかで何かの無理につながり、その無理が結果的に引き起こしている故障に見えなくもない。
 そして、そうした変化と無理と故障の中で、大物選手たちの得意コースとか、得意大会とか、そういうかつての常識が少しずつ常識ではなくなり始め、そうした小さな変化が、やがては大きな変化へとつながっていく予兆のように感じられてならない。
 願わくば、そうではなく、大物選手が大物らしさを見せつけるマスターズになってほしいと思う。けれど、その反面、ゴルフ界が大きく変化しつつある今年は、グリーンジャケットを競い合う顔ぶれも大きく変化するマスターズになりそうな予感がする。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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