「JAPANESE ONLY」という横断幕を掲出したことに端を発した浦和レッズの差別表現問題が尾を引いている。Jリーグの処罰により、23日のリーグ戦1試合が無観客試合となったのをはじめ、浦和は自ら今後の試合における横断幕やフラッグの掲出を無期限で禁止とし、さらにこの一件をきっかけに「生まれ変わる」とする声明文も出した。そして28日には、浦和のゴール裏に陣取る主なサポーターグループ11チームが、解散を申し出たという。
  
 聞くところによれば、浦和サポーターの一部はかねてより差別的で、これまでも度々問題を起こしてきた。その根底には、浦和というクラブの中でサポーターの存在が大きくなりすぎてしまったこと、そしてそれをクラブも受け入れてきた土壌がある、つまりこの問題の本質はそこにある……というのが、「生まれ変わる」とした声明文の意味だという。
  
 強い覚悟の表れと言えるが、どうも腑に落ちないのは、上記の内情が公式のものではないからだ。「JAPANESE ONLY」という横断幕が、どんな意味で、誰に向けて、どこに向けて掲出されたものかは、公式的にはっきりされていない。つまり、Jリーグも浦和も、あの横断幕はこういう意図があって、その意味において差別的だった、というはっきりした結論を言わないまま、処分がなされているということでもある。
  
 そして、その処分の基準もすごく曖昧だよね。前例がないから、どこまでやっていいのか分からない。3億円相当の経済的損失があったとされる無観客試合は妥当だったのか、なぜ浦和はユースや女子の試合にまで横断幕やフラッグの掲出を禁じるのか、なぜサポーターグループが解散するのか。
 
 これだけ騒ぎが大きくなって、損をしているのはJリーグ全体であり、試合を見られなかった清水のサポーターであり、罪のない多くの浦和サポーターだ。ニュース番組で「差別」「無観客」と流れるたびに、世間の目は、Jリーグ全体に対して冷たくなっていく。
 
 Jリーグが怒っているのも、浦和が反省しているのは分かる。けれど、曖昧なまま、世論に押されて必要以上な対応を取っていないか。あるいはその対応が的外れではないか。必要以上の自粛ムードに押されていないか。ここは感情論ではなく、冷静に検証する必要があると思うね。二度とこういう問題が生まれないためにも、白黒はっきりさせなければならないよ。