4月から住民税がアップするって本当?「本当:一律で1人年間1,000円増税」

写真拡大

消費増税の陰にかくれ、ひっそりと増税される住民税。小幅なアップだけにあまり話題にのぼらないが、詳しく知るほどにフシギな増税だ。

4月から住民税はどうなるのか? 本来は市町村が使いみちを決める一般財源なのに、増税理由は「東日本大震災復興支援基本法」なので一体感が感じられない。税率ではなく、一律1,000円と決められているので不公平感も強い。

復興支援は大事だが焦点がはっきりせず、先行き不安な増税なのだ。

■目的は復興か防災か?

住民税とは地方税の一つで、地方公共団体がその区域内に住む個人、事務所を構える法人に課される。平成18年度までは累進(るいしん)課税、すなわち高所得のひとほど税率が上がる仕組みで、課税所得と比較すると、

・200万円以下 … 5%

・200万円超〜700万円以下 … 10%

・700万円超 … 13%

だったが、平成19年度からは、

・都道府県民税 … 前年の収入×4%

・市町村民税 … 前年の収入×6%

の、合計10%に固定された。同時に所得税率も調整されたので単純に良し悪しは論じられないが、今回の増税は率ではなく、定額制なのが問題だ。

都道府県/市町村それぞれ500円アップが標準で、平成35年度までの10年間、所得に関わらず年間1,000円増となる。つまり、低所得になるほど税率が上がるのに等しい、逆累進課税となるのだ。

なぜ住民税が上がるのか? 源流は2011年に成立した東日本大震災復興基本法で、3年前に増税が決められていた。ここでは「震災からの復興に関し」と書き出しながらも、「地方公共団体の防災に必要な財源確保」と記され、焦点がはっきりしない。

加えて、昨年から復興特別税として所得税が2.1%上乗せされているのに?と疑問に思わざるを得ない。復興特別所得税は25年間続くので、1年にまとめたら52.5%にもおよぶ大増税だ。他の税金も「復興」を理由に増税するなら、2.1%の設定が間違っていたのでは、と考えるべきだろう。

■ルール無用の増税大会!

もう一つの疑問は、なぜ住民税なのかだ。

住民税は「一般財源」に分類され、本来は自治体の判断で使いみちを決められる財源なのだが、復興/防災のためと方向性が定められているのだから、すでに矛盾とも言える。事実、多くの市区町村で、目的がはっきりしない、一般財源なのでどう使われるか心配、などの議論が起きている。

「復興」の名のもとに、なしくずし的に増税が解除されなかったものもある。高騰し続けているガソリンだ。

ガソリンは、1リットルに対して53.8円の通称・ガソリン税がかかる。そのうち28.7円が本来の税額で、残りの25.1円は「暫定的」に上乗せされている。87%もの大幅上乗せのため、小売価格が160円を超えた場合、130円に下がるまで上乗せ分25.1円を徴収しない、と定められていた。

ところが「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第44条」によって無効化されてしまったのだ。

所得税も上がり、ガソリン税軽減も凍結されてしまっただけに、住民税だけは予定通りとは考えにくい。さらなる増税/期間の延長が安易に起きないか心配だ。

■まとめ

・住民税は、一律で1人年間1,000円増税

・所得が少ないほど、負担が大きい

・復興なのか防災なのか、目的がはっきりしない

・住民税は一般財源なので、市町村が使いみちを決められる

復興におカネがかかるのは理解できるし、増税もやむなしと思えるのだが、「復興と名乗ればなんでもOK!」的な風潮が、このまま続かないことを切に願う。

(関口 寿/ガリレオワークス)