2万円台乗せが十分ありうる今年の日経平均株価
中国・韓国との現況が少しずつでも改善する方向に向かい、安倍政権が3本目の矢である成長戦略を革新的に推し進めるなら、日本株の動向は強気にみていいだろう。

2013年の日経平均株価の動きを振り返ってみますと、高値は1万6320円22銭(12月30日)、安値は1万398円61銭(1月9日)でした。

1年前にマーケットの専門家がどのような予想をしていたかといえば、高値で1万2000円程度としていた人も多くいました。

要は、専門家の予想はほとんど当たらないということですが、40年間以上にわたり株式市場、債券市場、金利市場など世界中のマーケットを見続けてきた私の経験から言っても、まったくその通りだと思っています。

では、そういう私自身が相場をどう見ていたのかと振り返ってみると、昨年9月のブログで「私の見通しでは年末までに少なくとも1万6000円は軽く超えていき、場合によっては1万8000円くらいまで上がる可能性も十分あるとみています」と述べました。まぐれかもしれませんが、意外と当たっていたかもしれないというふうに思います。

また、より長期的には、たとえば当連載の書籍化で、一昨年6月に上梓した『日本経済に追い風が吹いている』(産経新聞出版)の「論点10:2012年、日本株は上昇する」において、私は「割安な日本株が見直され株式市場は好転する」と題して、「日本株の過去のパターンからいえば、たとえば2000年以降の日経平均の推移を見てもわかる通り、2000年4月から2003年4月の3年間は下落して、2003年4月から2007年7月の4年強は上昇、そして2007年7月から2011年11月の4年強は下落するというように、だいたい3〜4年で1つの上昇・下降のサイクルがあるような気もしています」と指摘したことがあります。

そして、それに続けて「おそらく2011年11月を底に2〜4年程度の中期的な上昇波動に入っているのではないかとみています」と書きましたが、まさにその通りに相場は動いているのではないかと思います。

さて、本題の日経平均株価が今年1年いかなる展開を見せるのかに関して以下に述べていきますと、1月初旬の報道記事による主要企業経営者20人の予想では、平均値で高値が1万8625円、安値が1万4465円でした。

そのうち5人は2000年以来14年ぶりに2万円台を回復すると考えているようですが、私も場合によっては2万円台乗せというのは十分にありうると考えています。

場合によってはというのは、たとえば中国において反日の動きが顕在化していき貿易制裁を日本に科すといったことが現実化すれば、2万円台乗せというシナリオは狂うことになるといった意味です。

そうした特別な悪い話が出てこないということに加え、中韓をこれ以上刺激せずに現況を少しずつでも改善するという状況に向かうことができるならば、今年の相場は割合強いと私はみています。

そしてまた、本年4月に消費税率が8%に引き上げられ、来年10月には10%へとさらなる引き上げが予定される中で、この消費税増税のネガティブインパクトを十分カバーするだけの「3本目の矢(成長戦略)」というものが、きちんと打たれるということが前提条件になるとも考えます。

安倍首相が先頭に立ち、政府自らが革新的行動をとらなければ、2〜3年にして日本は収集できないような混乱に陥ってしまうのではないかと私は懸念していますが、この革新的行動をとるというのは、まさに第3の矢で何をいかに具現化していくかということです。

昨年、一部に見られたように第3の矢が折れていくというような状況にでもなれば、黒田日銀による異次元緩和の後遺症ばかりが出てきて、近い将来に日本経済は大変な副作用で悩まされることになるでしょう。

次に日経平均株価の高値・安値の時期ということで言うと、先ほどの報道記事の経営者20 人の見方では、安値時期については6月を中心に年前半から年央に偏る一方、高値時期は11〜12月で17 人に上るということですが、私自身はまったくそういうふうには思っていません。

私の身近な例で言えば、住信SBIネット銀行において、SBI証券での取引に利用可能な「SBIハイブリッド預金」の残高が大きく増えていることが挙げられます。つまり、いずれ株式取引に向かう待機資金が積み上がっているということです。このことひとつを見ても、年前半から年央に安値をつけるというようなことにはならないだろうと思います。

それからもうひとつ、いよいよNISA(少額投資非課税制度)の投資が始まったということが挙げられます。今後、NISAは貯蓄から投資への非常に大きな潮流につながっていくと考えますし、相場がよくてNISAで儲かるということになってくると、今度はNISA口座だけではなく別の課税口座でも株の売買をするという人が必ず出てきます。そうした流れの中で、貯蓄から投資への本格的な動きが生まれ育っていくということです。

北尾吉孝(きたお・よしたか)
SBIホールディングス代表取締役執行役員社長

1951年、兵庫県生まれ。74年、慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村證券で事業法人三部長等を経たのち、95年にソフトバンク入社、常務取締役。99年、ソフトバンク・ファイナンス社長。現在、インターネット総合金融グループを形成するSBIホールディングスの代表取締役執行役員社長。『何のために働くのか』(致知出版社)など著書多数。「face book」にてブログを執筆中。




この記事は「WEBネットマネー2014年4月号」に掲載されたものです。