アーノルド・パーマー招待(3月20日〜23日/フロリダ州)に出場した石川遼が、今季3度目の「トップ10」フィニッシュを果たした。初日、7アンダーの2位タイで好発進すると、2日目にはスコアを崩したものの、3日目、4日目は耐えるゴルフで奮闘。通算8アンダー、8位タイで終えた。

「風が強くて、グリーンも硬く、(最終日は)4日間の中でいちばん難しかった。それでも、今日はプレイをしていても楽しかったし、とても充実感があった。4日間を振り返っても、いい手応えを感じられました。4日間を通して、ゴルフの内容も悪くなかったし、高い精度を保ってプレイすることができた。それは、今までできなかったことですから、今後もこういうゴルフを続けられるようにしていきたい」

 会場のベイヒルC&ロッジは、石川のアメリカ東海岸における拠点。プライベートでラウンドすることも多く、試合前から上位進出の期待はあった。さらに、石川が常に目標としているマスターズ(4月10日〜13日/ジョージア州)まで残り3試合。そのうちの1試合で勝利するか、次週のバレロテキサスオープン(3月27日〜30日/テキサス州)を終えた時点で世界ランキング50位内に入らなければ、出場資格は得られない。石川自身、6年連続の夢舞台出場に向けて、モチベーションは高まっていた。

「マスターズまで残り3試合、(出場を諦めずに)がんばりたいな、という思いがある。確かにシーズン当初は(マスターズ出場は)かなり遠いな、という感覚がありました。でも、ここに来て、自分のゴルフの状態や体調もよくなっている。ならば、最後まで(マスターズ出場に)チャレンジする価値があると思った。それで、がんばろうという気持ちになって、(次週の)バレロテキサスオープンの出場も決めました。(2月末のホンダクラシックから)6週、マスターズを含めれば7週連続で試合に出場し続けることになりますが、体調管理はしっかりできているし、体の状態もいいので問題ないと思っています」

 アーノルド・パーマー招待の初日、石川は8バーディー、1ボギーの「65」という最高のスタートを切った。

「内容もよかったので、自分的には満足するプレイができました。ショットもパットも、ここ最近はずっと感触がよくて、今日はすべてが噛み合ってくれた感じ。先週(バルスパー選手権。25位タイ)も、ショットがいいときにパットが入らなかったりしただけで、それぞれが噛み合えばいいスコアを出せる状態にあった。そういう意味では、常にいいショットを打つため、いいパットを打つための準備をしておくことが、自分にとっては大事。それを積み重ねていくことで、いい結果につながるのだと思う。

 だから今日も、いいスコアを出したいと、気持ちが先走ることはなかった。本当に淡々とプレイすることができた。自分の中では、マスターズに向けて、という気持ちもなかった。とにかく目の前の一打に集中して、初日なりの攻め方ができるかどうか、ということだけを考えていた。こういう結果が出ると、客観的にはそんな(マスターズを意識した)見方もあると思うけれども、ラウンド中は先のことを意識したことはないし、明日も明日のゴルフをするだけです」

 このままいけば、奇跡のマスターズ出場も見えるかと思ったが、2日目はややショットのキレを欠いてスコアを落とした。それでも、マネジメントやショートゲームで凌いで「74」と大崩れすることなく、トップ10以内をキープ。難なく予選ラウンドを突破した。

「2日目のプレイとしては満足しています。今日はすごく気をつけなければいけないピンポジションがいっぱいあった。そのピンに対して、やってはいけないミスを最小限に抑えられた。洋芝のアメリカ独特のライからのアプローチでも、練習の成果が出せた。その辺は、着実に自分のモノになってきているな、と思いました」

 そして、決勝ラウンドでも石川は変に気負うことなく、自分のゴルフに徹していた。3日目はボギーが先行したが、そのままズルズル後退することなく、後半に盛り返した。最終日も安定したプレイを披露し、最後まで上位争いを演じた。結果は8位タイと、マスターズの出場はやや遠のいたものの、石川からは米ツアー選手としての「風格」が確かに漂い始めていた。

「(同組で回った)イアン・ポールターからは『今のプレイをしていれば、来週、再来週といいプレイができるよ』と声をかけてもらった。レベルが上の選手から、そうやって声をかけられるのはうれしいですね。とにかく今週は、練習でできていることが、試合でも実践できた。2日目、3日目には自分のスイングを信じ切れなくて、うまくショットを打てないときもあったけれども、今日の18番のセカンドショットなどは100%に近い自信を持って打つことができた。

 これまでの1カ月くらいは『あーでもない、こーでもない』と悩み続けて、暗いトンネルの中に入ってしまったかのような状況で、試行錯誤のスイングを繰り返していた。それでもたくさん練習をして、やっとここまでの状態に持ってこられた。いろいろなことを試したりもしているけど、基本練習をこなして戻るべきスイングも備わった。そして何より大きいのは、何てことのないショットで自分の力をしっかり出せていること。それが、今の充実感につながっている」

 マスターズまで残り2試合。極めて厳しい状況だが、チャンスはゼロではない。そう思わせるだけの雰囲気が、今の石川にはある。

text by Sportiva