iPhoneで花を撮影しよう!超初心者でも失敗しない撮影テクニック5選

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春になるとさまざまな花が咲くようになり、花を撮影する機会も増えてくる。筆者はカメラも趣味で、デジタルカメラやスマートフォンで風景や花をよく撮影しているのだが、この時期に知人によく聞かれるのが、花を綺麗に撮影する方法だ。カメラアプリを導入し、さまざまなエフェクトをかけて撮影するのも良いが、まずは基本に立ち返ってiPhoneにプリインストールされているカメラ機能だけで可能な超基本テクニックを紹介しよう。

●その1 カメラレンズの指紋や汚れをふき取る


せっかくの花がぼんやり濁っているようにみえる


まずは上記の写真をご覧いただきたい。iPhone 5で梅を撮影してみたのだが、ぼんやりと白く滲んでいるのをおわかりだろう。これはカメラレンズに指紋を付けて撮影してみたものだ。ここまで極端な例とまではいかずとも、レンズを収納できるデジタルカメラとは違い、常にレンズ部がむき出しのスマートフォンではレンズに汚れが付着していることが意外と多い。


まずは落ち着いてレンズを綺麗にしよう


綺麗な被写体を前にさっそく撮影といきたいところだが、まずは落ち着いて指紋や汚れを拭き取りたい。その際にはハンカチやティシューなど軟らかいもので拭いてあげるとベターだ。このひと手間をするかしないかで写真のデキは180度かわってしまう。

●その2 自分の影に気を付ける


自分の影がかかってしまい残念な結果に


上の写真はレンズの指紋を拭きとって撮影してみたものだ。先ほどの写真とは違い花がクッキリと鮮明に写っているのがわかると思う。しかしながら、この写真もちょっと残念な出来映えだ。せっかくの花に影がかかってしまった。

花を撮影する際、気にしたいのが光の向き。花が太陽光により照らされている状態は「順光(じゅんこう)」、逆に花の反対側に太陽がある場合は「逆光(ぎゃっこう)」となる。逆光状態で撮影するテクニックもあるが、明暗差にあまり強くないスマートフォンでは順光で撮影したほうが綺麗な写真を撮影できる。この順光状態は、ちょうど背中側に太陽光が来るため、自分の影が写真に入り込みやすい。せっかくの綺麗な花が影に覆われてしまうのはもったいないので、撮影時に、花に影がかからないように気を付けてみたいところだ。

●その3 AE/AFロックを使ってみる


知らない人が意外と多いAE/AFロック


花を撮影する際、次に注意したいのは明るさ。しかしながら、iPhoneに標準搭載されているカメラアプリは「明るめ」「暗め」の設定が無い。そこで利用したいのが「AE(自動明るさ設定)」/AF(自動ピント合わせ)ロック」。「AE/AFロック」機能は iPhone 3GS以降のiPhoneに搭載されている。これは自動明るさ設定と自動ピント合わせの機能をロックする方法だ。例えば花を撮影する際に被写体を真ん中ではなく、少し横に移動させた状態で撮影したい場合や、花の明るさに合わせた撮影をしたい場合に有効だ。

このテクニックは、知っていると花だけにとどまらず料理や小物といったさまざまな被写体にも有効なので覚えておきたい。

●その4 背景にも気を使ってみる


かなり完成に近づいたが、もうひと工夫しよう


レンズを拭き、自分の影に気を付け、AE/AFロックも駆使した写真ができた。可憐に咲く花を演出できていると思われるが、できればもう一つ気にしておきたいものがある。それは背景だ。この写真ではバックに木が生い茂っており、少々うるさく感じてしまう。バックをスッキリさせるのにもっとも簡単なのは、背景を空にしてしまう方法。晴れの日であれば綺麗な青空を広げることができる。また、近くに草原や川などがあればそれを背景にしてしまっても良い。

こうしてできた写真がこれだ。


ここまでたった4つの基本テクニックしか使っていない


背景は被写体を引き立たせることができるので、少し気にしてあげるだけで写真の風味が一気にかわる。こうしてできた写真はコンパクトデジタルカメラに勝るとも劣らないクオリティとなる。

●その5 大きな被写体は比較対象も入れるとわかりやすい
ここまでは比較的小さな花を撮影するテクニックだった。逆に桜の木全体をそのまま撮影といった大きなものを撮影したい場合はどうだろう。

当然ながら、レンズの指紋や影など気を付けることで、綺麗な写真は撮影できる。しかしながら、それだけでは「大きさ」がイマイチ伝わりにくい。そこで有効なのが比較対象を入れて撮影する方法だ。近くに小屋があれば小屋も一緒に、自動車があれば自動車も一緒に写してしまうのだ。そうすることで桜の木の大きさが容易にわかるようになり、ダイナミックさを伝えることができる。


梅の花を撮影している人を入れることで、その梅の木がとても大きいということがわかる


また、単純に「花」や「木」のみを撮影する場合とは違い、周りにあるものを敢えて入れることでその場の雰囲気も取り込むことができる。

●番外編 桜並木はパノラマ撮影の出番
一面の桜並木や、菜の花畑といった非常に広範囲な花を撮影したい場合、ただ撮影しただけでは広がりを伝えにくい。そこで利用したいのがパノラマ撮影。iPhone 4S以降のiPhoneで利用できる。

パノラマ撮影モードにしたのち、ガイドに従ってそのままiPhoneを横に動かすことでダイナミックな風景を撮影することができる。また、意外と知られていないテクニックとして、パノラマ撮影は途中で終了させる手法がある。撮影中にシャッターボタンをタップすることで任意の場所で終了させることができる。例えばパノラマ撮影中に特に写したくない景色がある際に利用すると良い。


パノラマにすることで広がりを視覚的に残すことができる


以上、花の超基本撮影テクニック5つと、番外編をお送りした。なにも特別なアプリを入れる必要なく、iPhoneにあらかじめ入っているカメラアプリを使った撮影である。ちょっと気を配るだけで写真のデキが全く違ってくるのを感じていただけたのではないだろうか。なお、このテクニックのいくつかはAndroidスマートフォンでもそのまま応用できるのでiPhoneを持っていないユーザーも試してみて欲しい。

布施 繁樹