14歳未満の子がサッカーのヘディングを繰り返し行っていると、脳がダメージを受け、将来、脳血管障害に陥る--。今、世界中で子供のヘディングに警鐘を鳴らす声が上がっている。

 発端は昨年10月、イングランドサッカーリーグのチームに所属する選手が、試合後に頭痛を訴えて病院に搬送され、2カ月後に亡くなった事故だ。
 「死因は脳卒中と判明しましたが、検死官はさらに詳細な調査を継続。その結果、『亡くなった選手の脳卒中は何度となく行ってきたヘディングが一因となって引き起こされた』と報告したのです」(スポーツ紙記者)

 27歳の若さでこの世を去ったブライアン・ハーバードさんは、12歳でランカシャー州のジュニアチームに入り、チームのエースストライカーとして活躍していた。

 また、同じ昨年、ヘディングが脳にダメージを与える恐れがあるという研究結果が、学術誌『PLOS ONE』にも発表されている。米国・テキサス大学の研究者によると、サッカーをする人は、そうでない人より単純な思考が必要な課題をこなす能力が低いという。

 加えて、米ヨシーバ大(ニューヨーク)の研究者の調査結果でも、年間約1000〜1500回以上ヘディングする選手の記憶力や注意力などを司る脳の領域に、外傷性脳損傷患者と似た異常が認められたという。
 「ボクシングでも一発で倒す強烈なパンチは後に残らないといわれます。怖いのは、耐えうるパンチをいっぱいもらった選手。反応が鈍くなり、ドランカー症状を呈することはよくある。ボクシングも最近は小、中学生からやりますが、柔らかく大きなグローブを使用し、試合の止め際が早い。子供の脳を守るためには当然のことです」(ノンフィクション作家・織田淳太郎氏)

 ボールの硬さには十分な配慮が必要だ。