慢性疲労は寝ても治らないって本当?「本当:ストレス発散をするしかない」

写真拡大

なんとなくダルさが続く慢性疲労。休日をゴロゴロと過ごしても、疲れがとれないまま月曜日を迎えるなんてパターンがお約束だが、寝ても治らないのはなぜか?

慢性疲労の正体は、ストレスを感じた脳が過剰に放出するTGF-βで、自分で自分を傷つけるアレルギーのようなものだから、睡眠では解消しない。やがて意欲や創造性も減退してしまうので、疲労感を踏み越えてストレス発散に出かけよう!

■慢性疲労はアレルギー?

慢性疲労の原因は免疫の低下で、病気のときはもちろんのこと、強いストレスを感じるだけでも起きる。なにをするのも面倒クサい、休憩回数が増えたと感じたら慢性疲労の始まりだ。

激しくなると関節や筋肉の痛み、微熱など、カゼに似た症状が続く。こうなると仕事や日常生活にも影響が出てしまうのだが、原因がストレスだと自覚しているひとは少ない。子供の不登校も同じパターンで起きることがあるので、頭ごなしに怒るのは止めたほうが良い。

なぜストレスが慢性疲労を引き起こすのか? 原因は、細胞の増殖を抑制する物質・TGF-β(ベータ)が過剰に放出されることだ。

ひとはストレスを感じると免疫が低下し、菌やウィルスに侵されやすい状態になってしまう。そこでTGF-βを放出し侵入者に対抗するのだが、過剰放出されると自分自身も攻撃してしまい悪影響を及ぼす。慢性疲労は、いわばアレルギーのようなものなのだ。

京都大学の資料によると、脳内にTGF-βを投与されたラットには、

・アルファ波の減少(安心感の薄れ)

・シータ波の増加(警戒が強まる)

がみられ、運動で疲れたのと同じ状態になるのだが、脳がそう感じているだけで、眠りも浅くなってしまう。本当は疲れていないのだから、寝ても解消しないのは当然なのだ。

■ダルさと無気力の相乗効果

慢性疲労の本当の怖さは、脳を委縮させ気力を奪ってしまうことだ。

TGF-β過剰の状態が続くと、なんと脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)が委縮してしまう。前頭前野は脳の司令塔とも呼ばれ、感情や理論、経験や推測を束ねて「そのひとらしい」行動をつかさどる。やる気、計画性、創造性など、ポジティブな要素をたくさん引き連れているのだが、その部分が委縮してしまうため、「なにかしよう」と思う気持ちが薄れてしまう。

原因であるストレスを解消するには気分転換が重要なのだが、それもできない状態に陥り「あきらめモード」になってしまうのだ。

慢性疲労を治す方法はあるのか? 重度になると「うつ」と同じ状態になるので、医者に相談するべきだろうが、原因であるストレスを排除すれば解消する。

脳の委縮は一時的なので、TGF-βが減少すればもとに戻る。前頭前野が活発に働けば、やる気や創造性も復活する。やる気が起きればからだを動かす機会も増え、ストレス発散にもつながるし、本当の疲労からぐっすり眠れるようになる。

わらしべ長者ではないが、ちょっとしたきっかけが、連鎖的に良い結果をもたらすのだ。

休前日でもないのに趣味で夜ふかししてしまった、なんて経験は誰もがあるだろうが、そんな状態に戻すことが肝心だ。

■まとめ

・慢性疲労は、肉体的な疲れではない

ストレスが原因でおきる、一種の「脳」のアレルギー

・これが続くと脳が委縮し、やる気が減退する

ストレス発散すれば、すべて解消

やる気が起きないときに「なにかしなきゃ」と言われても、かえってプレッシャーになるかも知れないが、ゴロゴロしていても疲れはとれないし、状況はどんどん悪化する。

ダルさが続くひとは、ちょっと無理をしても、遊びに出るのが良いだろう。

(関口 寿/ガリレオワークス)