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監督には、感動の実話『しあわせの隠れ場所』で観客の涙を誘ったジョン・リー・ハンコック

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3月14日から公開されたディズニー・アニメ『アナと雪の女王』が、驚異的な大ヒットを記録している。週末3日間の興行成績は10億円目前、過去の事例を考えると100億円突破の可能性もあるという。本作は第86回アカデミー賞長編アニメーション映画賞と歌曲(主題歌)賞の2冠を獲得し、数々の映画賞を総なめ。サントラもビヨンセやグラミーアーティストのアルバムを抜いてトップを飾るなど、本国アメリカでは社会現象にまでなったとか。

ディズニー・アニメと言えば、『アラジン』や『美女と野獣』ほか大ヒット作は数知れず。幼少の頃から、ディズニー・アニメや本、グッズで育った方も多いだろう。

そのディズニーの生みの親といえば、ご存じ“ウォルト・ディズニー"。しかし、その名前はよく知っていても、彼の人となりや生い立ちまでご存じの方は少ないのではないだろうか。それもそのはず、これほど有名な人物なのにフィクション映画で描かれた事がないという。

■ウォルト・ディズニーが銀幕デビュー!?
しかし、21日から公開される『ウォルト・ディズニーの約束』では、そんな彼の生きざまに触れることが出来る。しかも、あの珠玉の名作『メリー・ポピンズ』の制作秘話が描かれているのだから、ディズニーファンにはたまらないはず。と、書きつつ、筆者としてはファンならずとも多くのな方にオススメしたい、心温まるヒューマン・ドラマに仕上がっている。

■ストーリー
1940年代、ウォルト・ディズニーは娘の愛読書を読んで「パパがこれを映画にするよ」と約束。早速、作者・トラヴァースに連絡をする。ところが、映画化の申し出はあっさり断られてしまう。しかし彼は諦めなかった。それどころか、20年近い歳月を経ても、彼の『メリー・ポピンズ』映画化への想いは募るばかり。そしてついに'61年、映画化について話し合う意思を見せたトラヴァースがスタジオにやってくる。これで映画化へ向けて動き出すかと思いきや、トラヴァースは脚本や音楽に難癖をつけ、「アニメーションはダメ!」「映画化に向かないわ!」とヒステリックに却下を突きつけるばかり。いったい何が彼女をこんなに頑なにしているのか? やがてその理由がウォルトには見えてくる…。

■トム・ハンクス×エマ・トンプソン
というわけで、本作にはディズニーらしい好奇心が旺盛でキュートなヒロインや、「もう絶対現実にいないから!」と断言出来るほどの好青年は登場しない。頑固なおばちゃん(トラヴァース)と、時にちゃっかりビジネスマンなおじちゃん(ウォルト)の大人気ないバトルが繰り広げられてゆく。しかも、その内容は実際あったホントの話。

実在の人物、ウォルト・ディズニーを演じたのはアカデミー俳優トム・ハンクス。彼は実際に口ひげを生やし、話し方や歩き方、姿勢、両手をあげたり口ひげを触ったりする仕草、それに言葉遣いや朗々とした話しぶりなど、ウォルトについて徹底的に研究したという。監督は「ウォルト・ディズニー本人かと見まごうほどの完璧な成りきりぶりで、心底驚かされたよ」とコメント。

一方、彼を悩ませる頑固者のトラヴァース役には、同じく2度のアカデミー賞受賞経験があるイギリス出身の知性派女優、エマ・トンプソン(『いつか晴れた日に』、『ハリー・ポッター』シリーズのシビル・トレローニー役というとピンと来るかも?)。彼女が演じるトラヴァースは、もし同じ職場にいたら確実にゲンナリしてしまいそうなお墨付きの頑固者&口達者。決してヒロインにはふさわしくないキャラクターなのに、彼女の演技を見ていると、だんだんとチャーミングに見えてくるから不思議だ。トラヴァースが、なぜそこまで高圧的なのか、そして、頑なに映画化を拒むのかが、ストーリーが進むにつれてわかってくるのだが、ふとした瞬間に見せる彼女の表情が切ない過去を物語る。

そんなトム・ハンクス演じるウォルトとエマ・トンプソン演じるトラヴァースがどんな交流を経て『メリー・ポピンズ』が実現するのか、そのプロセスはもちろん、彼らの演技もぜひ堪能して欲しい。

■さいごに
本作の企画はそもそも、トラヴァースのドキュメンタリーを作っていたオーストラリアのフイルムメイカー、イアン・コリーから生まれたものだった。その後、さまざまな段階を経て、ディズニーに持ち込まれることに。

すると、ディズニー・スタジオは、500ページにおよぶ『メリー・ポピンズ』の企画・製作時の書類を参照。あの映画製作時における場面構成から脚本の草稿、主要人物間で交わされた録音テープや手紙のやり取りに至るまで、あらゆる資料を提供したという。これらを元に作られた本作は、「あの名作がこんな風に作られたのか」と驚きながら、世界中の憧れであるウォルトをけちょんけちょんに言い負かすトラヴァースの毒舌っぷりに思わず笑ってしまったり、彼女の知られざる幼少時代、2人が繋がった切ない過去に思わずホロリとしたりと、ディズニーアニメーションとは一味違った、大人になったからこそ味わえる感動を与えてくれる。そして本作を観た後には、トラヴァースの描いたメアリー・ポピンズ、ウォルトが実現させたメリー・ポピンズその両方に会いたくなる。
(mic)

3月21日(金)より全国ロードショー
公式サイト
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:トム・ハンクス/エマ・トンプソン/コリン・ファレル/ポール・ジアマッティ