マーケティング部 商品開発研究所 所長の田山智広さん

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キリンのプレミアムビール「グランドキリン」と「グランドキリン ジ・アロマ」が好評だ。

プレミアムビール市場が「身近なプレミアム」にシフトしつつある中で、マーケティングを度外視した「独自のプレミアム」感を打ち出しているのがヒットの要因だ。

この「グランドキリン」が今後も新たなる展開を打ち出していくという。その方向性について、開発担当者であるキリン マーケティング部 商品開発研究所 所長の田山智広さんに2014年3月4日、話を聞いた。

『こんなビールが飲みたい』と考えて開発した個性的な味

――「グランドキリン」のプレミアムビール市場での立ち位置はどのあたりでしょうか

「まずは、プレミアムビールに関してお客様の認識が変わってきたということについてお話します。これまではプレミアムというと『時々飲む特別なもの』で、ギフトとして贈るもの、あるいは来客時や盆、暮れ、正月に飲むようなイメージが強かったのではないでしょうか。それが最近では、『身近なプレミアム』にお客様の嗜好がシフトしてきている。オンオフの切り替えで、格上感のあるビールで気持ちを満たす、つまりライフスタイルの演出としてプレミアムビールが飲まれるようになってきました。そうした中で、グランドキリンはコンビニ各社、ジ・アロマはセブンイレブン限定で販売しており、値段もそこまでは高くなく、スタイリッシュなパッケージという点で、『ちょっと上質』かつ『手が届く』ぜいたくという部分にうまくはまりこんだのかなと。その上で、マーケティングよりも『こんなビールが飲みたい』と考えて開発した個性的な味で、独自の立ち位置を確立したと考えています」

――「グランドキリン」に続いて発売された「グランドキリン ジ・アロマ」も大変好調だと伺いました

「お客様相談室やSNSの反応、あとは営業からきいている販売情報でも非常に好評です。とくに、ジ・アロマは女性にも受けがいいです。ふだんワインを飲んでいるような女性が、家で飲むために買うというケースもあるようです。ビールもコーヒーのように香りを味わえる飲み物だということを知っていただきたくて、特別な技術を使い、香りと味をうまくバランスさせた個性的な味に仕上げられたのがよかったのだと思います。グランドキリンのために新たに開発した、特徴的な味わいと飲みやすさを両立させるディップホップ製法がここでも生きています」

「ビールはもっといろいろな世界があって面白いもの」

――グランドキリンの今後の更なる展開が期待されます

「まだ詳細は申し上げられないのですが、これに留まるものではありません。ビールはもっといろいろな楽しみ方があるということを、より多くのお客様に知っていただくための展開を検討中です」

――具体的にはどういったイメージを持たれているのでしょうか?

「日本で一般的に飲まれているビールはピルスナータイプがほとんどですが、世界に目を移すと、実にいろいろな種類のビールが飲まれています。その土地その土地でさまざまな原料・歴史があり、それぞれに支持されてきた味があるわけです。このようにビールには多様な楽しみ方があることを紹介していきたい。もちろん、バックグラウンドあってのことですので、世界のビールをそのまま持ってきても日本で受け入れられる可能性は低いです。なので、それらのビールの本質をうまく生かしつつ、日本の風土に合ったビールに仕上げていくということです」

――グランドキリンの新たな方向性で、消費者に伝えたいメッセージを教えてください

「啓蒙的なことをやりたいわけではなくて、とにかくビールを身近に感じていただきたいのです。今のビールにはともすれば居酒屋での『とりあえずビール』という印象しかない方もいると思いますが、それだけではビールが面白いものに見えてこないです。それではビールがかわいそうだな、と。プレミアムビールも同じで『ちょっと上質な味』に留まるのではなく、『ふつうのビールでは味わえない、個性的な味』を紹介していきたい。そもそもグランドキリンもジ・アロマもこうした考えのもと開発しました。グランドキリンをきっかけに、お客様に『ビールにはもっといろいろな世界があって面白いものなんだ』とわかってもらえるような、豊饒なビールの世界の入り口を提供していきたいのです」

これからも新たな挑戦を続けていくというグランドキリン。今まで味わったことのない味のビールが、コンビニで手に入る日も近そうだ。