今年の確定申告から適用範囲が広まった控除の名称は「特定支出控除」。ごくわかりやすくいえば、サラリーマンの必要経費控除といったところだ。仕事に関わる支出は領収書を取っておけば、一定の要件のもとで必要経費として認められ、その分、納めた税が戻ってくることになる。
 
 では、どんな使途に認められるのであろうか。今年の確定申告が最初の適用年であり、過去の前例がないため、適用・非適用の線引きが難しいが、専門家の解説や国税庁の資料などを参考に、それぞれ具体的に分析してみよう。
 
 まず通勤費。通勤にかかる交通費のうち、会社が支給・補助している交通費を超える分が必要経費として認められることになる。たとえば深夜のトラブルで急遽タクシーで会社に行かざるを得なかったケースや、残業や接待で終電を逃したときのタクシー代などが該当すると考えられる。あくまで通勤費なので、それ以外の営業での顧客回りなどは対象外。また、新幹線の特急料金は認められるが、航空券やグリーン料金はNGだ。
 
 公共交通機関以外でも、たとえば家族に最寄り駅まで自動車で送迎してもらっている場合のガソリン代や修理代も対象になる。会社が自転車通勤を認めている場合、そのパンク修理代なども含めていいという。
 
 次に、職務上必要な技術・知識を学ぶ目的で受講する研修などにかかる研修費だ。研修場所への交通費も含められる。パソコン教室や営業スキルアップのための講習会など、職務に役立つ資格であれば航空券代などの移動費を含め、認められる可能性が高い。
 
 また、今年からの改正で新たに適用対象となった目玉項目がここから詳述する3つの勤務必要経費だ。職務に必要だときちんと説明できる範囲であれば、図書費として書籍や新聞、雑誌はもちろん、漫画や電子書籍なども認められるという。ただし、電子版を読むためのパソコンやリーダー端末代は対象外。
 
 衣服費も新たな適用対象。スーツの着用が社内規定で明文化されていなくても、研修で着用の必要性を説かれたり、着用が社内の慣例になっていたりすれば対象となる。
 
「スーツを着れば必要なワイシャツ、ネクタイも対象となりますが、下着やカバン、マフラーなどは対象にならないと考えられます」(落合孝裕税理士)

 ただ、私服着用が慣行になっている場合、購入費用は対象外だ。だが、会社の協力があればこんな方法も。
 
「たとえばクールビズに関して社内規定を作れば、ポロシャツなどの私服も対象になるでしょう」(同前)
 
 ちなみに金額は問われておらず、イタリア製の高級スーツでも認められる可能性は高いそうだ。だが、図書費、衣服費、交際費と3つある勤務必要経費の合計は年間65万円という上限が設けられているので注意が必要。
 
 交際費には接待などの飲食代などが含まれるが、その範囲が気になるところ。国税庁の資料によると〈得意先、仕入先などの職務上関係のある方に対する接待等のための支出〉とされている。得意先やクライアントを接待した飲食費だけでなく、クラブやキャバクラでの飲み代、接待ゴルフも対象となる。
 
 それだけではない。キャバクラで満足しなかった取引先幹部を風俗店で接待した場合も、合法的な店で領収書があれば認められる可能性があるという。だが、同僚との打ち合わせや打ち上げなどの親睦会は対象外だ。

※週刊ポスト2014年3月28日号