[其ノ四 注目商品 ブル・ベア商品対決編 ブル・ベア型ETF VS. ブル・ベア型ファンド]コストと機動性でブル・ベア型ETF
昨年12月のETF・ETNの月間売買代金は約2兆8000億円で、2カ月連続で過去最高を更新。トップの1年騰落率は約128%で、日経平均約57%の2倍以上だった…。

信用取引で2倍のブルを6倍にする投資家も

日本で初めてのブル・ベア型ETF(上場投資信託)が登場したのは2012年4月5日。その後、株式市場が活況となる中で、ブル型ETFの売買が活発化しています。

現在上場しているブル型(レバレッジ型)とベア型(インバース型)のETF、ETN(上場投資証券)は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった株価指数の前日比変動率の2倍、もしくはマイナス1倍となるように計算された対象指数に連動するように設計されています。

つまり、ブル型ETFは、上がるときも下がるときも日経平均やTOPIXの2倍動き、ベア型ETFは日経平均やTOPIXが上がれば同じだけ下がり、逆に下がれば同じだけ上がります。

昨年12月のETFの売買代金ランキングの首位は、野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(日経レバETF)」で、月間の売買代金は1兆5570億円超。リスク選好度の高い個人投資家が売買し、値動き2倍のブル型ETFを信用取引で担保の3倍投資し、6倍の効果を狙うという人もいるようです。

今回は、人気のブル・ベア型ETFと、従来からあるブル・ベア型ファンドを比較します。

手数料も売買の機動性もETFが有利

ブル・ベア型ファンドは相場の変動を予測して、上昇しそうな場合はブル型、相場が下落しそうなときにはベア型に投資して収益を狙っていく商品です。一般的なファンドは株式や債券などの価格上昇局面でしか利益が狙えませんが、ベア型ファンドは逆に価格下落局面でも利益を狙えます。

「ファンドによっては日々の市場の動きの2倍、3倍を目指すように運用されることもあり、市場の値動きより大きな利益を狙えますが、損失の可能性も大きくなります。また、ブル・ベア型ファンドは一般的に信託報酬などの手数料が高めで、ブル・ベア型ETFは上場株式と同じ売買手数料のみ。ブル・ベア型ETFと比較すれば不利になります」と話すのはFPの金子千春さん。

一方、ブル型ETFは、日日の値動きが指数のおおむね2倍程度の値動きになりますが、2日間以上の期間で見た場合、騰落率は必ずしも2倍にはなりません。複利効果があるため、2日間を通した上昇率は指数の2倍以上になります。逆に指数が下がった場合、下落率は同様に大きくなるので注意が必要です。

「ただし、この点はブル・ベア型ファンドも同様です。ブル・ベア型ETFもブル・ベア型ファンドも長期保有には適しておらず、比較的短期間の値動きを捉えるための投資商品といえます。また、日経平均やTOPIXがボックス相場のときは投資を控え、明確な上昇トレンドもしくは下降トレンドが形成されているときだけ投資をすることもポイントになります」

ブル・ベア型ETFは、株式市場の取引時間中に市場価格で何度でも売買でき、指値や逆指値注文も可能です。一方、ブル・ベア型ファンドは1日1回算出される基準価額でしか売買できません。

ベア型ETFをリスクヘッジに利用する使い方も可能です。株式や国内株投信を保有していて、短期的に相場が下がりそうだというときにベア型ETFを購入しておけば、保有投信などの値下がりリスクをカバーできます。リスクヘッジには、通常の指数連動型ETFを信用売りすることも考えられますが、信用取引には信用口座を開き、証拠金を差し出すことが必要です。

世界的にリスクマネーが短期的に同じ方向に動きやすくなっている中、機動力のあるブル・ベア型ETFの魅力は大きいでしょう。というわけで、今回の対決はブル・ベア型ETFに軍配!

●「ブル・ベア型ETF」と「ブル・ベア型ファンド」の比較

【ブル・ベア型ETF】
<概要>
日経平均株価やTOPIXなど株価指数の前日比変動率の2倍、もしくはマイナス1倍となるように計算された指数に連動するように設計された上場投信。

<特徴>
・市場の取引時間中に市場価格で何度でも売買できる。
・指値や逆指値注文も可能
・買い手が少なかった場合、売りたいときにすぐに売れない流動性リスクがある。

<コスト>
通常の上場株式と同じ売買手数料のみ。
▶A証券会社の例
 一日定額コース
 →450円(税込み)
 ワンショットコース
 →145〜1277円
  (税込み)

<注意点>
ボックス相場の場合、時間の経過とともに複利効果により価格が原指数の騰落率から逓減する。したがって、長期保有には向かない。

【ブル・ベア型ファンド】
<概要>
指数の動きに相関したり、逆の相関を持つように設計された投信。株や債券などの指数の2〜3倍程度の値動きを目指す。

<特徴>
・1日1回算出される基準価額でしか売買できない。
・ブル型とベア型のスイッチング(乗り換え)が低コストで可能なものもある。

<コスト>
販売手数料や信託報酬(商品によっては信託財産留保額も)がかかるので高め。
▶A商品の例
 販売手数料1.05%
 (税込み)
 信託報酬0.8925%
 (税込み)

<注意点>
ボックス相場の場合、時間の経過とともに複利効果により価格が原指数の騰落率から逓減する。したがって、長期保有には向かない。

【今月の対決立会人】
金子千春(CHIHARU KANEKO)
ファイナンシャル・プランナー

日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経て、2003年に独立。保険の見直しや住宅ローン、資産運用の相談、セミナー講師として活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2014年4月号」に掲載されたものです。