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ドワンゴと日本将棋連盟は19日午後1時より、動画サービス「ニコニコ生放送」にて、「第3回将棋電王戦」第2局・佐藤紳哉六段 対 やねうら王の対局方法に関する会見を行った。

ことの発端は、主催のドワンゴが3月15日の第1局終了後に、「やねうら王」に「バグ修正」が発生したためにソフトを入れ替え、新バージョンで第2局の対局を行うという発表から。「第3回将棋電王戦」には「将棋コンピュータソフトは原則として『電王トーナメント』に出場した際のソフトウェアを使用するものとする(その後、主催者が定めた一定期間のみ改良を認める)」という規定があり、その項目に違反することはもとより、佐藤六段の「以前より棋力が向上している」との指摘もあったことから、この決定が大きな問題となった。

ドワンゴの発表(15日時点)によれば、佐藤六段に貸し出された「やねうら王」は、「ある局面でフリーズしてしまう」など動作が不安定であり、開発者の磯崎元洋氏より「バグ修正」の要望があったという。これを受けてドワンゴは「棋力や指し手に影響を与える思考部には手を加えない」を条件に修正を承諾。しかし前述の佐藤六段の指摘から、磯崎氏に確認したところ「棋力に影響をもたらすバグがあり、それを修正したために、棋力が向上してしまった可能性が高い」ことが判明した。

そして、第1局後の会見で佐藤六段は「開発者の人に対して、私は怒りの気持ちでいっぱいです」「電王戦へ真摯に立ち向かわれている開発者の方に対しても失礼な話」と怒りをあらわにする。同時に公開された第2局のPV後半では、佐藤六段と磯崎氏、両者への電話インタビューの様子も明かされ、やや挑発的な言動や煽るような演出があったことから、ネット上でも問題視する声が多く挙がった。その矛先は、PVの過剰な演出とルールを規定しながら入れ替えを承諾したドワンゴと磯崎氏に向けられ、PVのコメント欄は炎上し、ドワンゴ側はPVを削除。そして磯崎氏は自身のブログで経緯を説明したものの事態は収束することなく、ドワンゴの公式発表が待たれていた。

そうして行われたこの日の会見には、ドワンゴ会長・川上量生氏、日本将棋連盟理事・片上大輔六段、将棋ソフト「やねうら王」開発者の磯崎氏の3名が出席。3名により、問題の経緯が改めて説明された。

会見の中で、ドワンゴは第1局終局後の会見内容を修正・撤回し、当初決まっていたルールどおり、将棋電王トーナメント終了後に提出された「やねうら王」の旧バージョンで第2局を行うことを発表。なお、ソフト入れ替え決定時に片上理事からは「直前にルールを変更することについてはおかしいのではないか」という指摘があったものの、ドワンゴ側は主催者として第1局終局後の発表を決めたという。

ドワンゴは「この判断は、自ら設けたルールを無視した、誤った判断でした」「多くの批判をいただいた通り、そもそもソフトの修正を認めたこと自体が間違いで、新しいソフトでの対局をお願いしたことも大きな間違いでした」と非を認め、「佐藤六段をはじめ、日本将棋連盟様、磯崎様、協賛企業様、メディアの皆様、そして将棋ファンの皆様に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」と謝罪している。一連の流れと第2局への説明は、ニコニコインフォで公開されている。

また、会見の中で磯崎氏は「差し替え自体は認められたため、違反だとは考えていませんでした。しかし、棋力が変わった自分の不手際」と語り、「(ソフトの)思考部に手を入れないことは、正確にメールを見直すと(ドワンゴ)と約束はしておりませんでした。フリーズは思考部由来の問題。思考部に手を入れずに問題を取り除くことは、竹やぶに入らずにたけのこをとるようなものです。思考部に手を入れないと直せない修正であり、修正してよいと解釈しました」と解釈に食い違いがあったことを明かしている。なお、同氏によれば、評価関数には手を入れていないという。

この決定に片上理事からは「一度変更したルールを一度ならず二度も変更することについてはやめてほしい」との要望もあったようだが、当初定めた規定を守って第2局を行う。川上会長は「来年以降の『将棋電王トーナメント』については、今回の件を踏まえ、本番用のソフトの改良期間などのレギュレーションを改善してまいります」と宣言し、磯崎氏は「対応が後手に回ってしまいました。深くお詫びし、プロ棋士と将棋ソフトの共存共栄を望んでおります。佐藤六段には本当に申し訳なく思っています」と改めて謝罪している。

第2局・佐藤紳哉六段 対 やねうら王は、当初の予定どおり、3月22日に東京・両国国技館で行われる。