WiMAXや格安SIMなんていらない!安くて便利なスマホ「テザリング」の活用とコツ

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最近ではWiMAXのモバイルWi-Fiルーターや低価格なSIMカード利用など、スマートフォンの使い方にも、新しい波がきている。しかし、そうした新しい機器や使い方をしなくても、スマートフォン1つで便利に使う方法はある。それが「テザリング」の活用だ。

先日、筆者は新幹線で東京から広島まで移動することがあった。東京から新大阪間では新幹線車内の公衆無線LAN(Wi-Fiサービス)が利用できる。これはノートPCを広げてメールや原稿執筆といった作業をするには非常に役立ったが、新大阪より西では車内公衆無線LANサービスは行っていないため、ノートPCでインターネット接続するのをどうしようかなと悩んだ。この日は偶然にも普段持ち歩いているモバイルWi-Fiルーターを自宅に忘れてしまったからだ。

だが、筆者はノートPCでインターネットやメールの作業を行うことができた。何をしたか?スマートフォンのテザリングを利用したのだ。

今回は新幹線での移動だったため、途中までは車内公衆無線LANサービスを利用できたわけだが、例えば地方の特急や在来線ではどうだろうか。その際にノートPCで作業をしたい場合、車内公衆無線LANサービスは無い。通常そのような状態ではモバイルWi-Fiルーターを利用すると便利なのだが、所有していない、今回の筆者のように持ってくるのを忘れてしまった場合は困ってしまう。そのようなタイミングに限って急ぎの用件が発生することが多いものだ。


ネット利用で困ったときのテザリングは通信の救世主


●万能通信手段の「テザリング」
そこで活用して欲しいものが、スマートフォンでの「テザリング」である。NTTドコモのFOMAやXi対応スマートフォンやタブレット、KDDI(au)のWiMAXまたはLTE対応モデル、ソフトバンクモバイルの4G、4G LTE対応モデルなど、今ではほとんどのスマートフォンで利用できるサービスだ。

「テザリング」は、スマートフォンやタブレットのモバイル回線を経由して、Wi-FiされたノートPCやWi-Fi専用タブレット、Wi-Fiに対応したゲーム機などでインターネット通信を行うことができる。
フィーチャーフォンでもテザリングが行えるモデルもあるが、通信料がスマートフォン並にかかるほか、速度も速くないので、あまり一般的とは言えない。

●実はコストも優等生の「テザリング」
「テザリング」のメリットは、その手軽さにある。対応したスマートフォンやタブレットがあれば、モバイルWi-Fiルーターなどといった機器を別途用意する必要なくWi-Fi専用機器でインターネットが可能となる。当然ながら移動中も可能となる。また、コストの面であるがモバイルWi-Fiルーター契約ではおおよそ月間4,000円程度が必要だが、テザリングはスマートフォンのパケット定額の金額にプラス約0〜500円、契約内容にもよるが最大で約2,600円程度の負担となる。
ちなみに、最近通信料金が安くなる格安SIMカードが話題だが、これらのプランではテザリングがサポートされていないプランも多い。

したがって、移動中にWi-Fi通信やWi-Fi機器を常用しない、たまに利用するといったユーザーには持ち運びの面でも、費用面でも便利なサービスなのだ。

●魅力的な「テザリング」の意外な落とし穴
対応しているスマートフォンやタブレットさえあれば、追加料金も安価でWi-Fi機器を運用できる「テザリング」だが、よいことばかりではない。いくつか注意しなければならない面もある。
まず、バッテリーの問題だ。専用機器であるモバイルWi-Fiルーターと、スマートフォンでのテザリングの利用時間を比較すると、圧倒的にテザリングのほうが短く、バッテリーの減りが速い。これは、スマートフォンがテザリング中もアプリ通信や電話の待ち受けなどでバッテリーを消費するためだ。

今回、筆者も広島から東京間をiPhone 5でおおよそ2時間半ほどテザリングを行ったわけだが、広島で98%だったバッテリー残量が東京に着くころには20%を切るまでに減ってしまった。


2時間半の利用でiPhone 5のバッテリーがここまで減ってしまった


もう1つの注意点は通信量だ。スマートフォンやタブレットでは契約内容にもよるが約3Gバイト〜7Gバイトといった通信量を超えると月内は通信速度制限がかかる契約となっている。例えば容量の大きなアップデートや動画閲覧などをテザリングで行ってしまうと、月途中で通信制限の対象となってしまう場合がある。

つまり、テザリング利用は、モバイルWi-Fiルーターよりもバッテリー残量や通信量に気を付けたほうが良い。


専用のモバイルWi-Fiルーターも良いが、テザリングの手軽さも魅力的


しかしながら、使い方さえ理解していれば、手軽に手持ちのスマートフォンやタブレットをモバイルWi-Fiルーターに変身させられるテザリングは、移動中や、ちょっとしたミーティング、駅の待ち時間など様々なシーンでWi-Fi専用機器を利用することが万能通信機器となる。

最近話題のモバイルWiMAXルーターや、格安SIMカードなどに目移りするのもよいが、コストも安く、使い勝手もよい「テザリング」は、「ちょっと使いたいな」ニーズには非常に役立つサービスなので、ぜひ活用してほしい。

布施 繁樹