新興国 2年連続…世界のリスクの中心は「新興国」
新興国に格差あり。成長を足踏みどころか悪化予備軍も…

1月下旬から、アルゼンチンペソの暴落を機に新興国通貨が一斉に売られ、再び世界の金融市場は「リスクオフ」モードに。世界的に株価が下落しました。

アベノミクスによる数年ぶりの株価上昇を受けて、日本人のリスク感覚は変わりつつありますが、今回の金融市場の混乱はいま一度「リスク」について考え直すいい機会になりそうです。

ところで、毎年1月上旬に、ユーラシア・グループという、米国の有名なコンサルタンティング会社が「世界の10大リスク」を発表するのが恒例となっています。そこで、先日発表されたばかりの2014年のランキングを一覧表にまとめてみました(左下の図を参照)。

新興国市場(2位)、中国(3位)、イラン(4位)、中東(8位)、ロシア(9位)、トルコ(10位)と、新興国がらみが多くなっていますが、実は、意外と重要なのは昨年(2013年)分だったりします。

昨年分は2013年の1月11日に発表されたのですが、最大のリスクとされたのは「新興国市場」でした。

レポートでは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)や、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)といった、新興国の急成長が終わりを迎え、その代わりに、欧米諸国などの先進国が緩やかながらも回復に向かうだろうと記されていました。実際に予想はみごとに的中したわけです。

そして、今後の新興国を見ていくうえでポイントになるのは、次の経済成長ステップへと踏み出すにあたって、さまざまな問題に対処できる「政治的な力」を有しているかどうかを見極めること、と指摘しています。

レポートでは、この「政治的な力」をベースに、具体的に\菴聞颪涼膣崙りに向けて成長の途中(メキシコ、ブラジル、コロンビア、トルコ、オマーン、アラブ首長国連邦、韓国、マレーシア、フィリピンなど)、¬簑蠅多く、成長が新興国のままで足踏み(中国、インド、インドネシア、エジプト、イラク、タイ、ペルー、南アフリカなど)、B踏みどころか成長が後退中(ロシア、パキスタン、リビア、アルジェリア、ベネズエラ、アルゼンチンなど)、と3つのグループに分けています。

ブラジルやトルコが,離哀襦璽廚貌っているなど、当時と状況が異なっている部分もあります。

つまり、新興国がすでにひとくくりで語ることはできない段階に入っているということです。しかし、こうしたグループ分けは、新興国への投資を検討する際の判断材料として現在でも有効であると思われます。

●2014年[世界の10大リスク]
1位:米国と同盟国とのトラブル
2位:新興国市場 多くの国で選挙が実施予定
3位:新しい中国 改革の手綱裁き
4位:イラン 核開発問題を軸にした外交、経済情勢
5位:石油大国 シェールガス革命の影響による原油価格下落と競争激化
6位:戦略的データ サイバー攻撃など、インターネットの管理強化とコスト
7位:アルカイダの暗躍
8位:中東の混乱拡大
9位:クレムリン(ロシア政府) 経済停滞と強権政治による支持低下
10位:トルコ 政情不安や隣国シリア内戦の影響

土信田雅之(Doshida Masayuki)
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト

新光証券などを経て、2011年10 月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。



この記事は「WEBネットマネー2014年4月号」に掲載されたものです。