[其ノ二 FX 投資戦略編]米ドル/円の売り! 日本の貿易赤字縮小とリスク回避で円買いへ
米国が量的緩和縮小へ動き、円安・ドル高に進んだが、人気通貨の豪ドルにはブレーキがかかっている!?

新興国リスクから米国債買い=金利低下。利食いの円売りも…

市場では、米ドル/円は米国の資産購入縮小の継続や日銀の異次元緩和を背景に、年末にかけて110円を目指すという見方が大勢でした。確かに米国の景気回復は継続しており、ドルを積極的に売る米国発の材料は少なくなっています。日本でも円安・株高を維持したいという政府・日銀の姿勢も明確で、円を積極的に買う日本発の材料も今のところ見当たりません。

もっとも、米国の量的緩和縮小はよほど経済指標が悪化しない限り、今後はFOMC(連邦公開市場委員会)の月額100億ドル縮小するというシナリオに沿う可能性が高く、追加的なドル買い材料にはなりにくくなっています。

日銀の追加緩和期待は根強いものの、日銀の想定通りインフレ上昇が続くなら追加緩和の必要はなく、目先は円売りを強める理由もありません。

そうした中、新興国市場の動揺を受けて、安全資産である米国債に資金が集まる傾向が時折強まっています。

特に3月はトルコで地方選挙が予定されており、選挙結果をめぐる不透明感からリスク回避的な傾向が強まりそうです。米国債の需要増加から米国の長期国債利回りが低下すれば、米ドル/円は下押し圧力を受けやすくなります。

さらに、円安シナリオの重要な一因であった日本の貿易赤字拡大も、季節的に年間で最も赤字額が大きくなる1月を過ぎると、逆に赤字が縮小する傾向にあります。

また、2012年10月以降、1年半程度続いた円安効果がついに輸出を増やし、貿易赤字を縮小させ始めてくる可能性があります。過去の例では、円安開始から1年半ほどたつと貿易収支が改善する傾向があります。これは日本経済には好材料ですが、円安派にとっては悪材料です。

3月は季節的に米ドル/円が上昇しやすい月ですが、4月以降も続伸するパターンは見られず、3月のピークを過ぎるとどこかでドル買い・円売りポジションの利食いが持ち込まれ、米ドル/円は反落に向かいます。このため、3月はむしろ4月以降の反落リスクを意識して、戻り売りの好機を探る月となるでしょう。

3月のFX天下分け目スケジュール

【1位 米国・FOMC金融政策決定】
20日(水)
為替への影響:中立

【2位 米国・2 月の雇用統計】
7日(金)
為替への影響:円安

【3位 日本・2 月の通関貿易収支】
28日(金)
為替への影響:円高

【4位 南ア・SARB(南アフリカ準備銀行)金融政策決定】
27日(木)
為替への影響:円安

【5位 英国・1月の失業率】
19日(水)
為替への影響:円安

【6位 ユーロ圏・銀行資産査定結果発表】
31日(月)
為替への影響:円高

【7位 ユーロ圏・3 月のPMI(購買担当者指数)】
24日(月)
為替への影響:円高

【8位 NZ・RBNZ(NZ準備銀行)金融政策決定】
13日(木)
為替への影響:中立

【9位 NZ・第4 四半期GDP(国内総生産)】
20日(木)
為替への影響:円安

【10位 豪州・第4 四半期GDP】
5日(水)
為替への影響:円安

※上記スケジュールは予定で、変更になる場合があります。

一刀両断!3月の為替レンジ

【米ドル/円】
レンジ:98〜108円
トレンド:円安
現在値:102.1円

【ユーロ/円】
レンジ:130〜142円
トレンド:中立
現在値:138.7円

【豪ドル/円】
レンジ:85〜93円
トレンド:円高
現在値:91.4円

【NZドル/円】
レンジ:78〜86円
トレンド:円高
現在値:84.2円

【英ポンド/円】
レンジ:165〜180円
トレンド:円安
現在値:166.6円

【南アランド/円】
レンジ:8.5〜9.8円
トレンド:中立
現在値:9.24円

※現在値は2014年2月6日現在。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
プレビデンティア・ストラテジー 外為ストラテジスト

日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、RBS、バークレイズなどでチーフFXストラテジストを務め、2013年8月、外為市場調査を行なうプレビデンティア・ストラテジー設立。デイリーとウィークリーで外為戦略レポートを執筆、配信している。http://praevidentia.com



この記事は「WEBネットマネー2014年4月号」に掲載されたものです。