[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]米ドル最強時代の通貨ペア別攻略法
2014年に入って英ポンドは上昇、豪ドル、カナダドルは急落など、為替相場に異変が起こっている。ドル高をベースとした、通貨パワーバランスの大変化とは?

クロス円通貨がちぐはぐな動き…。背景にはドル高が!

2014年に入り、米ドル/円は底堅いものの、クロス円通貨では英ポンドやNZドルが強く、豪ドルやカナダドルが弱い状況が顕著です。

クロス円通貨の足並みが乱れている背景には、「円安」ではなく、「米ドル高」が為替相場のメイントレンドとして君臨し始めている事情があるのでしょう。

最強通貨・米ドルに対して弱い通貨が対円でも売られやすい、狡眠澆離献礇鵐吋〞が起こっているのです。

昨年12月、ついに量的金融緩和縮小に乗り出した米国のFRB(連邦準備制度理事会)は、2月に就任したジャネット・イエレン新議長のもと、今後も粛しゅく々しゅくと緩和縮小を続けると考えています。

そうなると、米国では2014年後半に量的緩和政策が終焉を迎え、2015年には異例のゼロ金利政策を脱して、金利が正常化する道筋がはっきりとします。

それを先取りする形で、世界中にばらまかれた緩和マネーが米国へと還流しつつあり、豪ドルやカナダドルなど資源国の通貨安や、新興国からの資金逃避が起こっているのです。

逆に、好景気が続いて利上げも視野に入ってきたNZドル、失業率の力強い低下が進む英ポンドなどは、対米ドルでも横ばいか上昇基調が継続中です。

ユーロもまた対米ドルで上昇していますが、ギリシャの財政赤字問題や銀行の不良債権問題が依然くすぶっています。もし危機が再燃してしまうと、ECB(欧州中央銀行)がかつて踏み込むことのなかった量的緩和のスイッチを押さざるをえず、大規模金融緩和が続く日本と同様、「金利」面では米ドルとの差が開く一方です。

つまり、2014年の為替相場の一大テーマは「金利正常化競争」。米ドルが最強でそれに続くのがNZドルや英ポンド、2番手グループが豪ドル、カナダドルで、最後尾に日本円やリスク要因の多いユーロが取り残される、というパワーバランスが生まれることになります。

そういう意味では、豪ドル/NZドル、ユーロ/英ポンドの力強い下降トレンドに乗るのも一手。足元で弱含んでいる豪ドル/円、カナダドル/円に関しては、急落の際に買い場を探すような取引が有効になりそうです。

「1ドル=100円台」が当たり前。いい指標で素直に買われる時代に

そして、最も注目される米ドル/円では、97円台が底値のメドになりそうです。上値に関しては、年内に108円を突破して115円を目指す展開も視野に入り、「1ドル=100円台が当たり前」の時代が到来するのではないでしょうか。

今、為替市場で起こっているのは、各国の経済指標のよしあしで為替が動く「ファンダメンタルズ相場」です。

むろん、緩和マネーの逃避で新興国危機が勃発したり、中国やユーロを震源地にした金融パニックが起こる可能性もあるでしょう。また、米国の中間選挙やオバマ大統領の求心力低下など、政治が揺らいだときは思わぬ動きも出そうです。

ただし、米国経済回復という確かなトレンドが見えている以上、それらはあくまで「巻き戻し」や「相場のアヤ」(大勢に影響のない小さな値動き)にすぎません。

乱高下が続く相場に比べ、ファンダメンタルズ相場は緩やかで予定調和的になります。5円上がって3円下がる、といった一進一退を繰り返すのが特徴です。

ある意味爐もしろくない〞相場ともいえますが、こういうときはトレンドフォローに徹するのが正攻法。投資家としてはやりやすい時期が訪れそうです。

【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2014年4月号」に掲載されたものです。