カメラで写真を撮れば撮るほど、記憶からは「思い出」が失われる!?

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携帯電話にカメラが搭載されるようになった頃から、私たちの「写真撮影」の目的って少しずつ変わりましたよね。撮ってすぐ確認できるデジタル撮影はとっても便利で、思い出作り以外にも、忘れ物防やSNSの投稿によく写真を撮ります。

ですが撮影すればするほど、肝心の記憶からはどんどん思い出が失われていると聞いたら驚きませんか?

 

■昨日の事なのに思い出せない……それって「写真撮影減損効果」のせいかも!?

アメリカ・フェアフィールド大学の心理学研究者リンダ・ヘンケル氏が行った研究によると「写真を撮影した分だけ、私たちの中の記憶(思い出)は失われている」のだそうです。つまり、写真に撮った出来事やモノよりも、写真に残さなかったものの方が記憶の定着がよいという事です。

研究の中でリンダ・ヘンケル氏は以下のような実験を行っています。

28人の学生にカメラを持たせ、美術館で作品鑑賞をさせた。まず、ランダムに選んだ15の作品をカメラで撮影し、さらに15の作品をカメラを使わずに観察させた。翌日、美術館での作品鑑賞に関するメモリテストを行ったところ、カメラで撮影した作品より、観察した作品の方が詳細に思い出す事が出来た。

この現象を同氏は『写真撮影減損効果』と呼んでいるのだそうです。“記憶すること”をデジタル機器に頼りすぎると、どんどん頭の中の思い出が失われていってしまう、もしくはほとんど記憶しておく事が出来ないというのです。

また、カメラのファインダーをのぞいて“角度”や“構図”を気にしてばかりいるので、その事ばかりが記憶に残り、肝心の大切な風景や出来事が思い出として残りにくいとも述べています。

フューチャーフォンからスマホに代わり、ますます写真撮影の機会って増えましたよね。例えば、会議で決まった事や掲示板の内容などは、メモを取るよりカメラでサッと撮影してしまった方が簡単ですし、よい活用方法だと思います。

ですが、目の前で起きている大切な出来事や思い出は、やはり自分の目や肌で感じて、体で覚えておいた方がいいのかもしれません。

最後に1つ印象的な動画をご紹介します。あなたは、明日世界中のデータが消えてしまったら、大切な人の顔を思い出せますか?