ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアが広告媒体として大きな存在感をすでにもっていることは周知の事実だろう。そして、ソーシャルメディアには広告以外にも注目のビジネスがあり、可能性も格段に高いと大前研一氏は主張する。

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 ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアは、すでに広告媒体としてはテレビや新聞などのマスメディア以上のポジションを潜在的に獲得している。ソーシャルメディアを活用した広告以外の注目のビジネスを紹介し、今後の可能性を考える。

 たとえば、セールスフォース・ドットコムをはじめとするCRM(顧客関係管理)ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービス企業は、フェイスブックを使った様々な営業支援ツールを提供している。

 それらはどういうものかと言えば、営業マンがその日1日に訪問する会社名をA社、B社、C社と入力すると、各社の最新ニュースや社長の発言、メディア露出などネット上で話題になった様々な関連情報が全部出てくるのだ。

 営業に行く前にそれに目を通せば一瞬で“予習”ができるので、もし訪問した時にけんもほろろな対応をされても、「いや、あれ読みましたよ。よかったですね」というように会話の糸口を作ることができるわけだ。

 あるいは、サンフランシスコのファッション通販サイトGlam Media(グラムメディア)。こちらは日本で言えばスタートトゥデイのZOZOTOWNのような系統で、フェイスブックの中に同じような嗜好の人同士のグループがいくつもできていて、それをジャンルごとに専門家が評価・ランキングし、利用者の購買につなげているのだ。

 実は、eコマースの最大の問題は「情報は見るけれども、なかなか購買につながらない」ということである。だが、ソーシャルメディアの中で、たとえば「近くの店では、なかなかぴったりのサイズが見つからない」という人たちのグループができているとすれば、そこに「このメーカーのこの型番ならぴったりよ」といった情報が出てくると、単なるバナー広告よりも購買につながる可能性が格段に高くなる。

 つまり、英語で言うところの「Birds of the same feather flock together」(同じ羽の鳥は群をなす=類は友を呼ぶ)で、同じ趣味・嗜好の人たちのクラスターに対して広告を打てば、それはいわゆるナローキャスティング(※)になるから、かなり高い確率で購買につながるのだ。

 ソーシャルメディアビジネスの次のフェーズは“言語の壁”を越えることだ。つまり、もっと自動翻訳技術が進み、数か国語で同じサービスを提供することができるようになれば、世界中で売れる商品がたくさん出てくるだろう。

 たとえば、フェイスブックやツイッターの中にSHIBUYA109のカリスマ店員がお勧めするコーディネートを紹介するコーナーを設け、それが自動的に中国語、韓国語、インドネシア語、タイ語などに翻訳されてeコマースのサイトにつながったら、アジア全域が市場になるはずだ。

【※注】ナローキャスティング/マスメディアを使うブロードキャスティング型の広告ではなく、特定のターゲットを狙って効率的に狭い範囲で行う広告。

※週刊ポスト2014年3月21日号