松山英樹が3月6日(9日まで)から行なわれた世界選手権シリーズ(WGC)のキャデラック選手権(フロリダ州)に出場。前週のホンダクラシックでは左手首に違和感を覚えて2日目に途中棄権したが、今大会は「(左手首は)大丈夫」と言って、痛みを表に出すことなく奮闘。最終的にアンダーパー3人という難コースに苦戦しながらも、通算6オーバー34位タイでフィニッシュした。

「コースがタフで本当に難しいな、という感じがしました。最終日はとにかくパターが入りませんでした。距離感はよかったと思うんですが、まだまだ磨いていかないとダメですね。4日間通してみると、(パッティングで)10打くらい損しているのかな、と思います。今はショット、アプローチを重点的に練習してきているので、パットの練習がおろそかになっていた。それが、原因だと思います」

 とはいえ、松山は今大会でもさまざまなことを体験し、収穫を得た。第2ラウンドでは前半のハーフで40を叩くなど崩れたが、厳しい風の中でラウンドできたことは大きかったという。

「(6位タイの結果を残した)昨年の全英オープンは風がなかった。風が吹いていたら、もっと面白かったと思うけど。その分、こういう強い風の中でゴルフをしてみたかった。それが今回、経験できてよかったし、楽しかった。(強風の中で)どういう球が出るのか、グリーン周りもそうだし、それを体感できた。それに、これだけ強い風の中で、グリーン上でどれくらいの影響を受けるか、というのも知ることができた。こういうタフなコンディションのコースに来ると、自分に足りないものをすごく痛感させられるけど、これからの課題がいろいろと見つかりました。また、こうした厳しい条件の中で、トッププレイヤーがどんなプレイをするのか知りたかった。結構、トッププロも苦労するんだな、というのがわかったのでよかった」

 その第2ラウンドでは、強風の中で思うようなゴルフができずにイライラが募ったのだろう。13番ホールでは、松山自身は気づかずに、パターのヘッドでグリーン上を叩いてしまった。それが、後続の組に迷惑をかけることなり、イアン・ポールターがツイッターでそのことを呟いて、ひと騒動起こった。

 ポールターのツイートは、かなり過激で批判的なものだった。おかげで、世界中に配信されるニュースとなった。内容は以下のようなものだった。

「松山がクレーター(穴)をグリーン上に残したまま立ち去って、なぜ他の選手がそのままパットしなければならないのか。わざわざ競技委員を呼んで、そのダメージを直すのか? 馬鹿げている! 僕は聖者でもないし、初めて文句を言う者でもない。でも、これはむかつくこと。僕はカップから1.5mのところにパターを叩きつけたりしないし、後続組がそれに対応しないとならないようなことはしない」

 これを受けて、松山は即対応した。3日目のラウンド前、ポールターをはじめ、前日に迷惑をかけた後続組のジェイソン・ダフナー、チャール・シュワルツェルの3人に謝罪した。

「イアン、ジェイソン、チャールの3人に謝りました。自分がやったことで後ろの組に迷惑をかけた。それは、反省しないといけない。『(3人には)やってしまったことは仕方がない。だけど、やったあとにちゃんと修復しなさい』と言われました。(パターでグリーンを叩くなど)やらないに越したことはないけど、やってしまったあとで、直さなかった自分がいちばんいけない」

 3日目のラウンド後には、この騒動のことでアメリカや英国の記者にも囲まれたが、松山は真摯に対応していた。

「(ポールターのツイッターについて)そういうことを書かれるのは自分が悪いので、反省するしかない。難しいセッティングでも、もっと我慢してプレイしないとダメですね。まだまだ(自分は)未熟だと思います。ツイッターは? やっていません。これから始める? やりません」

 松山にとってはこのことも、米ツアーで戦っていくうえで学ぶべき、ひとつの出来事だったのかもしれない。

 ともあれ、このキャデラック選手権を終えて、松山は一旦帰国する。ここまでの米ツアー本格参戦1年目を振り返って、どれほどの手応えを感じているのだろうか。

「どうでしょう、なんとかやってきているんじゃないですか。ここまで普通にやってきているので、このまま変わらずにシーズンを送れればいいかな、と思っています。手応え? 『やれている』と思ったこともないし、『やれない』と思ったこともない。努力した結果がついてきているだけ。あとは、自分のゴルフがどこまで上達するかだと思う。

 初めてのコースばかりで万全の準備は常にできているか? どうだろう、準備したからといって、いい結果が出るわけでもないし。(練習ラウンドで)1回ラウンドしたら、ある程度は(コースを)覚えられる。昨年回ったメジャーの3つのコースも初めてだった。それでも、練習ラウンドは2回くらいで成績は出ていますから、別に1回(の練習ラウンド)だからダメとか、10回やったからいいというものでもない。1回のラウンドで、自分の中で(コースを)どれだけインプットできるかが重要。何回もラウンドしたから準備が整ったとか、1回しかラウンドできなかったから準備不足だったとか、そういうふうには思いたくない。数をこなさなくても成績は出せると思う。まあ、そこまで深く考えてないですけど」

 確かに松山は昨季、全米オープン(10位タイ)、全英オープン(6位タイ)、全米プロ(19位タイ)と、初のコースで、しかもメジャーで好結果を残してきた。それを思えば、本格参戦1年目の米ツアーで、早くも来季のシード権当確圏内にいるのは当然の結果なのかもしれない。

 次戦はいよいよ今季のメジャー第1弾となるマスターズ(4月10日〜13日/オーガスタ)。「別にワクワクしたりしない。今までやってきたことを出せばいい」と、何ら気負いのない松山に期待が膨らむ。

武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko
text by Sportiva