東日本大震災から1年が経った2012年3月、本誌は震災復興支援事業を継続している企業31社を紹介した。一時的な義捐金や支援ではなく、継続的な活動にこそ、その会社のCSR(企業の社会的責任)に対する意識が表われると考えたからだ。それから2年。改めて取材すると、未回答2社を除くすべての企業が現在もなお支援活動を継続していた。

 食品大手の味の素は、援助物資の提供や被災地での炊き出し支援からスタートし、2011年10月には仮設住宅での「栄養支援活動」にギア・チェンジした。仮設住宅では食生活の乱れや運動不足、ストレスなどから、糖尿病や腎疾患、心疾患のリスクが大きい。そこで考えたのが、被災者の“心と体の健康づくり”を支援するための「健康・栄養セミナー」だった。
 
「地元の食材を使った、簡単で栄養バランスの良い料理を仮設住宅にお住まいの皆さんと共に調理し、完成後は料理を囲んで語り合い、健康や栄養についての情報交換などを行なっています」(広報部)
 
 これまでに3県32市町村で合計652回のセミナーを実施し、参加者は1万2000人を超す。こうした目に見える実績以外にも、“想定外”の効果があった。
 
「仮設住宅ではかつて暮らしていた集落のつながりが失われています。顔見知りでない方が集まるなかで、とくに高齢の男性には周囲に溶けこめない方も多い。この活動は、仮設住宅での交流の機会になることがわかりました」(広報部)
 
 栄養サポートにとどまらず、人々の交流の場、さらにはコミュニティが生まれるひとつのきっかけにもなっているのである。

※週刊ポスト2014年3月21日号