厚生労働省が、1日にとるべき食事の量を定めている「日本人の食事摂取基準」が大きく変わる。2月上旬に発表された資料によると、これまでは年齢と性別に応じて、「1日2千キロカロリー」などのようにエネルギー量を決めていたが、これを改め、「BMI」の目標を示して、それを維持するための量を決める方針に変更されるという。

BMIとは、「ボディマスインデックス(体格指数)」と呼ばれるもので、体重と身長の数値をもとに、その人の「肥満度」を測る指数。もっとも病気にかかりにくいといわれている数値の22を標準として、18.5未満をやせ形、25以上を肥満と定義している。

「現在、日本人の体形が二極化し、肥満とやせすぎの人が増えています。肥満はとくに中高年、やせすぎは若い女性に顕著です。こうした二極化が進む中、性別と年齢だけを規準にしたエネルギー量では、一人ひとりの摂取目安にはなりにくくなってきました。そのため、もっとも死亡率の低いBMI数値を目指すための、食事摂取基準が定められることになったのです」

そう話すのは、管理栄養士でダイエットに関する著書も多い伊達友美さん。この方針が適用されるのは’15年度から。これまでの「カロリー」を中心に考えられてきた私たちの食生活が、大きく変わっていきそうだ。

しかし、以前から「カロリーという概念自体を疑わなくてはいけない」と提唱してきた人がいる。著書『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社刊)で糖質制限の大切さを訴える、医師の夏井睦先生(練馬光が丘病院・傷の治療センター長)だ。夏井先生は糖質制限の食事の結果、脂肪を前より多くとる生活になり、1日の摂取カロリーが増えてしまった。にもかかわらず、半年で11キロのダイエットに成功。その経験を踏まえて、こう語る。

「カロリーの数値は、食物を体内ではなく、空気中で燃やして発生した熱量が基になっています。しかし、そもそも細胞内の代謝と、大気中の燃焼はまったく別の現象。そう考えると、カロリーを気にすることそのものがナンセンスなんです」

では、BMIを適性に保つためには、何をどう食べればいいのか。夏井先生によれば、糖質を制限した食事を続ければ、自然と目標のBMIを維持するための食事にもつながっていくという。糖質が多く含まれる食品は、ご飯やパン、麺といった「主食」と呼ばれるものと、いも類、そして砂糖など。2年前から糖質制限を始めた夏井先生自身も、もちろんBMIは21と適正値にある。

「朝食は、和食でご飯を抜いたもの。昼食はナッツとチーズ程度です。夜は晩酌をしながら、肉や魚などを食べています。じつにシンプルですが、栄養的に収支も取れているし、健康にも問題ありません」

外から糖質が入ってこないと、体は脂肪を燃料に、タンパク質をブドウ糖へ作り変える(糖新生)。そのため、自然とやせることになる。あえて糖質をとる必要はないのだ。しかし、おやつ好きの人にとっては、糖質を抜いた食生活は非常につらいもの。どうしてもやめられないときは、どうすれば……。

「そういった方におすすめなのが、豚の皮を揚げたものです。アメリカなどでは普通に売られていて、日本でも商品化が予定されているようです。油で揚げると、100%、コラーゲンなのに、まるでスナック菓子のような食感。でも糖質はゼロですから、気にせずどんどん食べていいんです」

ネット通販のほか、ミートショップでも取り寄せられる場合もある。糖質制限は間食もNGではないので、ナッツやチーズ、ゆで卵などをプラスしてもいいそうだ。