完成間近のJAZZは、マカティのサルセドビレッジ間近という好立地に開発された巨大プロジェクトだ【撮影/志賀和民】

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フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのマニラレポート。PRAの退職者用プログラムでは、「退職者ビザ」取得のために預金した預託金をコンドミニアムの購入代金に転用できる。利用者も多いが、それを利用する段でのトラブルが続発しているという。その注意点は?

 フィリピンの特別居住退職者ビザを取得できる「SRRVクラシック・プログラム」では、35歳以上50歳未満の場合5万ドル(約500万円)、50歳以上の場合2万ドル(約200万円)を定期預金してビザを取得した場合、その預託金をフィリピン国内のコンドミニアム購入代金に転用することが認められている。

 だが現実には、預託金を引き出す段になって、コンドミニアムの開発業者がPRA(フィリピン退職者庁)の要求する書類を用意できないというトラブルが発生している。

退職者保護のために退職庁が課している条件とは?

 PRAは退職者の保護のために下記の条件を開発業者に課しているが、この条件を開発業者がクリアできないのだ。

1) 売り手の名義で個々のコンドミニアム・ユニットのタイトル(CCT/登記)が存在すること

2) 180日以内にタイトル(CCT)を買い手名義に変更するとともに、PRAの許可なしに勝手に売買できないという趣旨の裏書をすること

 PRAはまた、「購入の対象となるコンドミニアムは価格が5万ドル(約500万円)以上で、かつ居住可能であること」という条件も課している。この「居住可能」の意味は、物理的にコンドミニアムが完成しているとともに、タイトル(CCT)が売り手の名義で存在しているということだ。

 新規開発のコンドミニアムでは、それが完成してからタイトル(CCT)発行の手続きが開始される。したがって、コンドミニアムができあがっているというだけではPRAの定義する「居住可能」とみなすことはできない。さらにPRAは、ユニットのタイトル(CCT)を180日以内に退職者名義に書き換えるという覚書(Undertaking)の提出を求めているが、種々の事情により開発業者がそれに対応できない場合がある。

 一方、未完成のコンドミニアム(Pre-Selling)でタイトル(CCT)が存在していなくても、そのプロジェクトがPRAに認定(Accredit)されている場合にかぎっては、預託金の転用が認められる。PRAは開発業者から履行保証書(Performance Bond)などの提出を求め、退職者が安全に購入できることを確認したうえで認定している。

 したがって、退職者が預託金を使用してコンドミニアムを購入する場合、事前にPRAに相談してその物件に適用可能かどうか(タイトルCCTが存在しているか、あるいはPRAの認定物件か)を確認する必要がある。

 開発業者(あるいはエージェント)は、タイトル(CCT)の不在やその他の不利な条件を明らかにせず、売らんかなの姿勢で迫る。これでは契約後、いざPRAに書類を提出する段になって、開発業者がいつまでたっても書類をそろえず、いたずらに時間を浪費することになりかねない。支払い済みの予約金や契約金の一部が宙に浮いてしまうことさえある。

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