釣り下手の編集長が“釣りママ”開拓を目指す『釣具界』、コンビニおでんから匠の技まで全取材を1人でこなす『水産煉製品新聞』など、全国には2000を超える業界紙がある。そこには一般紙では決して知ることのできない各業界のディープな情報が詰まっており、それを追う記者もまた個性に溢れている。

 クリーニング業界紙記者20年の経歴を持つ『日本クリーニング新聞』の坂東護社長は、業界にふさわしく、パリッと糊が利いたシャツにネクタイを締めた、スーツ姿の紳士だ。

「クリーニング業界が忙しいのは、衣替えの3〜5月と、10〜11月。その直前が業界紙の取材期間なので、これからがいちばん忙しいんですよ。日本全国の工場や企業などに取材に出かけています」

 クリーニング業界はいま大きな転換期を迎えている。

「この業界を長らく支えてきたのは団塊世代。彼らが高度成長期にシャツやネクタイ、背広をクリーニングに出してくれたおかげで、店舗の数がどんどん増え業界は発展してきました。やがて団塊の世代が引退し、家庭用洗濯機の機能が向上したことで、クリーニング市場の規模は縮小傾向にあります」

 しかし、坂東社長は「先行きは決して暗くない」と断言する。その理由が、2020年の東京五輪とその前年に開催されるラグビーワールドカップだ。

「大会期間中には選手や大会関係者が来日し、ホテルのリネン類をレンタル、クリーニングするため業界は活気づきます。また、ミシュランの星付きホテルともなれば、事前に外国から覆面調査員が派遣され、シーツのシワや汚れを細かくチェックされる。各クリーニング企業の腕の見せ所なんです」

 坂東社長は日本のクリーニング技術に胸を張る。

「いまの日本で洗えないものはありません。帽子でも布団でも、高級毛皮や高級ブランドのバッグでも、何だって洗えてしまう。その技術力は取材していていつも誇らしいです」

※週刊ポスト2014年3月14日号