ニッポン放送の煙山光紀アナウンサー(写真上)と、洗川雄司アナウンサー(下)。本日の日本代表戦は実況を煙山アナが、洗川アナがピッチレポートを務める。

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ニッポン放送サッカーパーソナリティに聞く、日本サッカー2014。今夜行われる2014年最初の代表戦(日本 × ニュージーランド)について、そしてサッカー人気の今後について話を聞きました。(前編:Jリーグ編はこちらから)

《W杯はそれぞれの国の品評会》

煙山 去年11月のベルギー戦。あれはもう、ベストゲームでしたね。永久保存版。

洗川 去年6月のW杯アジア最終予選以降、コンフェデ杯も含めると、4勝6敗1分と負け越してしまって、批判も集めた中で迎えた11月のオランダ戦とベルギー戦でした。でも今振り返ると、選手を入れ替える時期なんかも、すごく我慢をして、タイミングを計っていたようにも思います。ある意味で逃げてないな、ということを感じます。

煙山 言ったことは、その通りにやってるんですよね。最終予選の間は同じやり方で、3バックはやらずに4-2-3-1でやる。予選突破後は足すべきところは足す、といって実際メンバーも入れ替わった。最後はW杯直前でコンディショニングがいい選手を入れる……というのを言っていて、一回も発言はブレてない。まずは目の前のミッションをひとつずつクリアしていく。すごく逆算しているな、という感じはあるので、今後も期待感がありますね。

洗川 ザッケローニ監督のこれまでの発言で一貫して変わらなかったのが、「これはW杯のための準備だ」と。だから記者から「あの選手はどうだ?」とか「あの選手が入ってない」と言われても、これは本番じゃないんだから、とずっとそこがブレない。

煙山 メンバーが固定されてるじゃないかってよく言われるけど、よく見れば、じゃあ柿谷いましたか? 山口蛍いましたか? と。意外とちゃんと、段階を踏んで変わってるんですよ。そんなに外野の声を聞いていてもキリがないし、あの人は自分のスタイルが明確なので、合わない人は無理に呼ばないし。

洗川 そうですね。

煙山 僕は、W杯はそれぞれの国の品評会だと思っているんです。「日本人はこういうサッカーをやります。ファウルも少ないし、見ていて気持ちのいいサッカーをしますよ」というのを見せて欲しい。そういう意味でザッケローニは、「日本人は、自己評価は低いけどこんなにチームへの自己犠牲ができるし、技術もあるし、向上心もある」という部分を打ち出してくれる監督。自分たちのいいところを前面に出して戦って欲しい。その上で、本番のコンディションをピークに持っていって、行けるところまで行って欲しいなぁと。僕はすごくポジティブに考えています。

洗川 確かに、「日本はこうですよ」というサッカーは見てみたいなと思いますね。今まで、結果至上主義過ぎた部分もあって、98年のフランスW杯から日韓、ドイツ、南アフリカとこれだけW杯に出ても、「日本のサッカーはこうです」という強烈な個性は見せていない。

煙山 監督によって全部変わっちゃっていたからね。

洗川 そうなんです。だからそこに、ベースとなる文化みたいなものがどれくらい出るのかなと。そろそろ作っていかないと。監督から、あれやれこれやれ、と与えられるサッカーじゃなく、自ら出せるようなスタイルっていうのが、W杯で見せられたらいいなぁと思いますね。

《一回くらい俊輔を今の代表で見てみたい》

煙山 今夜のニュージーランド戦の課題は、攻撃ですね。特に香川。これまで、代表での香川はなかなか輝けてないな、っていうのがあったんですけど、去年6月のコンフェデくらいからだんだん存在感が出てきた。そして、本田との共存もいい感じで階段を上がっているなと。香川が代表の中でどういうプレーをするのか、自分を強く表現できるようになっているかどうかに注目ですね。

洗川 その意味では、柿谷と本田の関係性も気になったんですが……発熱で代表辞退! 去年最後のオランダ戦とベルギー戦で、「こうやればいいんだ」みたいな部分がようやく見えてきて、柿谷も自分からゴールに向かうことができるようになっていたので楽しみにしていたのですが……。

煙山 あとは、山口蛍に注目ですね。今回、長谷部が怪我で招集されていないので、たぶん、山口と遠藤という組み合わせになると思うんです。前回は、「後半・遠藤」という作戦がうまくハマりましたけど、先発でコンビを組むとどうなるのか?

洗川 サイドバックでも、内田が怪我で出られません。

煙山 ベルギー戦でも酒井宏樹が良かったので、このまま一気にレギュラーを取っちゃう可能性もある。新しく入った山口蛍や酒井とか、その辺を見てみたいですね。本音を言えば、一回くらい、俊輔とかをいきなり呼んでみても面白いんですけど。

洗川 遠藤の代わりがいないですからね。

煙山 そこはやっぱり怖いんですよね。あそこからパスを出せる人間ができればもう一人。俊輔自身は、僕なんか絶対入らないって言ってはいるんですけど、

洗川 去年の運動量の豊富さを見ちゃうと、期待したくなりますよね。あとFWであれば、新潟の川又も見てみたいですけどね。川又本人に、「代表意識してる?」と聞いたら、「サッカーやっている限り、意識しないことはないです。」と言ってましたけど。

煙山 でも、結果的に柿谷と大迫がハマったからなぁ。

洗川 こればっかりは、タイミングというか、先に掴んじゃった者勝ち、みたいな部分はありますからね。

煙山 あのまま熟成させた方が……川又なんかは、もしかしたらスーパーサブ的に使われる可能性もありますけど、寿人は可哀想ですよねぇ。何がダメなのかは、僕も正直……プレイスタイルだなんだって言いますけど、ポストプレーのイメージがないからかなぁ。でもその意味では柿谷もポストプレイヤーではないですが、彼は上手いから何でも出来ちゃう。

《期待したい、ベテランと若手》

洗川 後ろは足りない反面、攻撃のタレントが多すぎるという悩みが。

煙山 その意味では、闘莉王には注目しています。彼が、この1、2ヵ月の間にもの凄いプレーを見せて代表に入ってくれれば。今、吉田がケガしたらどうするんだろう? という心配がありますよね。よく、ザッケローニは足が速くない選手は使わない、なんてことも言われてますけど、吉田だってもの凄い速いわけじゃないし、機動的な人間が一人いれば、もう一人は遅くても強い人間がいた方が良かったりするから。

洗川 中澤や闘莉王は頭もいいし、代表でも十分パフォーマンスを発揮できそうですよね。

煙山 彼らや、今代表に入っていない俊輔、大久保、そして遠藤もそうですけど、今ってトレーニング理論や医療技術が高まって、サッカーに限らず選手寿命が延びている部分はあります。だから、単純に若い選手とベテラン選手を両方見ることができるっていうのは楽しみですよね。中村俊輔とか、35、6で普通にトップコンディションなのは凄いなぁと思いますね。

洗川 遠藤は、去年J2でよくやったなぁと。J2の試合は年間で42試合もある。もちろん、途中代表で抜けているのはありますけど、逆にいえば、代表の試合には出ている。だから、試合数でいったら、去年1年間で恐ろしい数をこなしているんです。今年34歳。相当タフなところを去年経験して、34歳でまだ成長ができるのか、という期待があります。

煙山 逆に若手で期待していたのが宇佐美だったんですけど……全治8週間かぁ。でも、彼は今年が本当に正念場。ケガでW杯も難しくなったかもしれないけど、次の代表には入ってもらわないと困る存在なんだから。

洗川 ケガを糧にするくらいの。

煙山 才能はもう凄い選手なんだから。そこに溺れている部分はあったのかもしれないけど、それが海外で揉まれて色々感じた部分はあるだろうし、ケガを成長の糧にできる選手はどんなスポーツでも、そこで苦しい思いをしたことで気付くことっていうのがある筈なので。

洗川 本田なんかもそうですよね。

煙山 本田が凄いのは、ケガをしても「神様かくれたチャンスだと思います」って言って、本当にその通りにしてしまうじゃないですか。常に逆境をプラスにしてきた。そういうものが宇佐美の才能に加わればもの凄い選手になるはず。だから、ケガで腐ったりするんじゃなく、外にいたから見えてくるものって、きっとある筈だから。

《浮動票が動かないと、競技は盛り上がらない》

洗川 開幕前に行われた「Jリーグカンファレンス」の冒頭、村井新チェアマンが具体的な数字を出して挨拶をしました。Jリーグが独自に調査したデータみたいなんですが、「Jリーグに関心があるか?」という問いに、2006年のときは「ある」と答えたのが46%だったそうです。それが、一昨年の2012年の調査では「30.4%」にまで下がっている。「危機感を共有しなければならない」ということを最初に言っていたんですね。

煙山 うん。

洗川 だから、「セレ女」という言葉が話題になったりもしていますけど、コアなサポーターたちだけじゃなくて今まで関心がなかった人たち、社会現象に乗っかって来場するサポーターがもう少し増えてもいいのかな? と。

煙山 やっぱり、そういうのって大事だと思うんですよ。「セレッソのキャンプに4000人!」と報道がありましたけど、あれなんかは、いい意味でのミーハー人気というか。それがなくなっていく競技ってやっぱり辛くなっていくんで。その辺のおばちゃんでも「柿谷? 知ってる!」っていうのが大事なんで。意外とこれ、重要なことだと思うんですよね。

洗川 確かに、代表戦では「内田篤人」のユニフォーム着ている女性がいても、それはJリーグでは見られなかった光景でした。どうにかJにもつながってくれば、と思いますね。

煙山 野球でも、「カープ女子」っていう言葉が生まれるくらい広島カープの人気が定着してきたように、最近の女の子ってスポーツ好きだし、女の子が寄っていかないスポーツは興行として難しいと思うんです。核になる熱心なサポーターはもの凄く大事なんですけど、それプラス、チケットを取るのが難しい、というような社会現象になっていかないと。

洗川 今なら、羽生結弦の練習チケットを取るのも難しい、みたいな。

煙山 代表になると、おばちゃんでも香川や本田は知ってるわけじゃないですか。野球が好き、サッカーが好きっていう層の周辺でも興味を持って、どれくらい盛り上がれるかがデカいんで。そういうチームがひとつでも出てきてくれれば、相手チームもそこを倒す! という見方ができるし。選挙と一緒で、浮動票が動かないと、競技がもうひとつ抜けて盛り上がらないんですよね。

洗川 そうじゃないと、J3まで含めて51クラブまで増えたけども根付いていかないし、Jリーグの人たちも危機感を持っている部分だと思います。

煙山 去年、J2の観客動員は増えてるんですけど、それはガンバがいたおかげなんですよね。ガンバが街にやって来る! と。そのことでJ2の集客があがったというのは大事なこと。その一方で、全体の年齢層も上がっていて、若い人が増えていないのも課題。そこは、ラジオも一緒なんですけどね。だから、「ラジオ女子」とか出てきてくれると嬉しいです(笑)。

【ニッポン放送 サッカースペシャル】
3月5日(水)19:00〜
国際親善試合 日本 × ニュージーランド 〜国立競技場
解説:元日本代表・三浦淳寛さん/スポーツライター・金子達仁さん
実況:ニッポン放送・煙山光紀アナウンサー

(オグマナオト)