ゆる〜い猫がいっぱい『猫侍』 北村一輝もデレデレに
 テレビに映画にと活躍を続ける北村一輝さんの主演映画『猫侍』が公開。

 ここ最近はオンとオフをはっきりさせるようになり、「仕事もプライベートも充実している」という北村さんからお話を伺いました。

「そのタイトル、テレビドラマで知ってるけど?」という人もいるでしょう。すでに同タイトルのドラマがBSフジをはじめとした全国19局ネットで放送され、武骨な侍・斑目久太郎と白猫の玉之丞のやりとりに癒されたファンが続出しました。

 場所をスクリーンに移した映画版では、北村さんと玉之丞のほかは、キャストを一新。テレビ版とは全く異なるストーリーが展開します。

 幕末の江戸。妻子を故郷に残し、仕官を叶えるべく内職で食いつないでいた浪人の久太郎。剣豪として知られた腕を見込まれ、物騒な一群から敵対する一家に乗り込んでの暗殺を依頼されます。ターゲットは敵の親分ではなく、親分が可愛がっている真っ白な“猫”。やってきた一家は犬派で、猫派と犬派の争いが代々繰り広げられていたのです。

 お金に釣られて仕事を引き受けた久太郎。でも当の“猫”玉之丞と対面するや、“萌え”てしまった彼は、仕事を終えたことにして玉之丞を連れ帰ってしまいます。

「まず『猫侍』というタイトルに惹かれたんだよね。“なんだ、それは?”と(笑)。そこから入って、脚本を読んでみたら、全然しゃべらなくて勝手に人が逃げていくような顔が怖い侍と、猫が触れ合う分かりやすい話で、それだけでおもしろいなと。

 猫好きや時代劇が好きな人以外の、普段は全くドラマや映画を観ない方でもパッと観て、すぐに楽しんでもらえるような作品だなと感じました」と語る北村さん。

 そして北村さんもアイデアを出しながらの作品作りがスタートしました。

「大切なのは観る人に楽しんでもらうこと。子供からお年寄りまで、ご家族で楽しんでもらえる作品を目指しました」

 テレビ版と並行して撮影していった映画版。両作で主演を務める北村さんは、毎日2時間睡眠(!)だったそうで、「かなりタイトな現場でした。初めてでしたよ、こんなハードな現場は……」とこぼしつつも、最後まで本作へ全力を注いでいったことが、お話から伝わってきます。

 最初はテレビ版との違いを出し、映画版はシリアスな方向で進められました。テレビをご覧になっていた方は分かると思いますが、無口な久太郎の心の声として流れる何ともいえず可笑しいナレーションも、映画版には入っていませんでした。

「その状態で完成して初号(関係者のみで観る試写会)を観たら、何だか物足りなくて……。

 せっかくドラマでゆる〜い空気感が魅力だったから、そこもやっぱり生かしていきましょう。という提案をプロデューサーから受けました。

 そこから、ナレーションを入れて、編集もし直して、音なんかも変えてギリギリまで試行錯誤していきました。監督は大変だったと思いますよ。でもその決断があったからこそ、観る方を第一に考えた作品を完成させることができたと誇りに思っています」

“ユルさ”が魅力の本作ですが、久太郎には筋が通ったところも。たとえば、親の仇を探してやってきた若い侍に「人殺しはよくない。他の方法はないのか」と説くのです。

「僕としては、久太郎の現代人的感覚も魅力でした。格好こそ侍ですが、感覚は現代に通じるものがある。久太郎は仇となる相手にも、『家族がいる』と言うんですよね。そういう感覚を彼が持つことによって、お客さんにもより伝わりやすくなると思いました」

 ただ北村さんにはひとつだけ、キャラクターを作り上げていく上で、納得がいかない出来事がありました。

「“顔が怖い”ということで、周りにどうやったら怖くできるかなと真剣に相談したら、そしたらみんな“大丈夫です、そのままで”と言われましたよ! 俺、そんな顔怖いつもりないんだけど……。そこはまだ腑に落ちてない部分ですね」