クオンツのスペシャリストが外国人投資家目線でスクリーニングすると、こうなる
「ビッグマネー」が狙う日本株とは? みずほ証券リサーチ&コンサルティング米澤さんのキャッチフレーズは「高ROE&最高益更新」と「円安増益」だ!

時価総額148兆円分はまだ買われる余地あり!

「株はまだまだ買えます」

力強く語るのはみずほ証券リサーチ&コンサルティングの米澤忍さん。業績や株価などのデータを解析して有望株を見つける、クオンツ(定量分析)のスペシャリストだ。

「今後の日経平均株価の目標値は、2007年サブプライム・ショック前の高値1万8200円台です。当時(2007年7月)の企業収益は経常利益ベースで45・6兆円(前期実績)でした。一方で、現時点の今期予想経常利益は45・6兆円ですが上振れ基調であり、サブプライム前の高値時点の実績値超えが見込まれています。さらに来期は49・3兆円に達すると予想されており、完全に爛汽屮廛薀ぅ狡兇〞を達成。にもかかわらず、現在の株価は時価総額ベースで148兆円も当時を下回っている。業績と株価の連動性を考えると、『もうちょっと買われてもいいのかな』というのが実感です」と指摘する米澤さん。

「さすがに上げすぎだろう」という投資家心理もあるため、今年1月下旬に起こったアルゼンチン・ショックのような急落も起こりがちだ。

輸出企業の想定レートは実勢レートから離れすぎ

とはいえ、それは投資家の利益確定によるスピード調整の範囲内。「うなぎ上りの業績や株価の割安さから見て、日本株はまだまだイケル」と考える外国人投資家が大勢を占めているのは間違いないだろう。

では、有望株を発掘するためのカギは何か?米澤さんの1つ目の答えは「為替」で決まり!「上の図は、東証1部3月期決算企業(データ取得可能な銘柄)の想定為替レート(米ドル/円)の平均値が実際のレートとどれくらい離れているかを示したものです。

330社平均の想定為替レートは1ドル=95円58銭で、実勢レートをかなり下回っていることがわかります。いまだに1ドル= 85 円を想定している企業もあるほどで、超控えめな想定レートを据え置いたままの輸出関連企業等には今後、大幅な業績上方修正が期待できます。海外売上高比率が高ければ高いほど、想定為替レートの低さが株価にもポジティブに働いてくるはずです」(米澤さん)

そこで、まずは今期経常利益の上方修正が期待される銘柄をピックアップ。各企業の海外売上高比率と想定為替レートと実勢レートのカイ離率を掛け合わせたのが次回のランキングなのだ。

「TDKやフォスター電機など電気機器セクター、アルパインやタカタなど自動車部品関連が上位を占める結果になりました。電気機器、機械、自動車部品セクターはすでに業績自体が上ブレ基調ですが、円安トレンドが継続すれば、さらなる上乗せに期待できそうです」(米澤さん)

特にここ数年の超円高局面で韓国のサムスン電子などにシェアを奪われ続けてきた電機セクターは、最近の円安トレンドで国際競争力が急回復している。株価にも同様のV字回復が期待できそうだ。

米澤さんが挙げるもうひとつの切り口は、「高ROE(自己資本利益率)&最高益更新企業」。

外国人投資家などビッグマネーが注目する株価指標としては今、「ROE」にがぜん注目が集まっている。ROEは「株主が投じた資本に対して、その企業がどれぐらいの利益を上げているか」を指標化したものだ。「何事も株主さまが一番」と考える外国人投資家にとって、企業が株主のお金をいかに効率よく使って儲けているかを示すROEは、銘柄選別の第一基準になっている。

今年1月にスタートした新株価指数「JPX400(JPX日経インデックス400)」でもROEが銘柄の選定基準になるなど、今、最も旬な指標といえるだろう。「ただ、ROE単独では少し弱いので、牴燭もうひとつ株価にポジティブなファクターが欲しい〞ということで目をつけたのが『過去最高益更新』。株価の動きとこれらのデータを見比べてみると、今年度は高ROEで過去経常最高益更新銘柄のパフォーマンスが突出して高いことが判明しました。アベノミクスが始まって以降、外国人投資家の買い越しが顕著ですが、こうした高ROEかつ過去最高益更新銘柄の外人持株比率は相対的に高く、外国人投資家に買われていることがパフォーマンスにつながっていると推測されます」と米澤さん。

高ROEに加えて、「過去経常最高益更新中」という非常にキャッチーな銘柄は、日本企業にそれほど詳しくない外国人投資家にとっても注目しやすいのだろう。次回のランキングは「過去経常最高益&高ROE」銘柄をROEの高い順に並べたもの。上位にはネット系のスタートトゥデイやリブセンス、カカクコムなど「元気がいい新興企業」のほか、ソフトバンク、富士重工業といった人気大型株が勢ぞろいしている。

「東証1部上場で2013年度に過去経常最高益が見込まれている企業は計399社。来年度は447社に達する見込みで、2009年以降、5年連続で増え続けています。しかし、リーマン・ショック前の2006年度は605社が最高益を更新していたことを考えると、今後もまだまだ増加するはずです」と米澤さん。

過去経常最高益企業の3社に1社は3年連続で最高益を更新している点も頼もしい。

「何度も連続して最高益を更新し、そのたびにマーケットから熱い注目を浴びて株価が上昇するという好循環が生まれやすいといえるでしょうね」

米澤 忍
みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資分析部クオンツアナリスト

1995年、旧・新日本証券入社。新光証券などを経て現職。株価と業績や財務情報の関連性を解き明かす、数値分析のプロ。



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。