ニッポン放送の煙山光紀アナウンサー(写真左)と、洗川雄司アナウンサー(右)。明日のJリーグ開幕戦は第一試合の実況を煙山アナが、第二試合の実況を洗川アナが務める。

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3月1日、2014年のJリーグがいよいよスタートする。今年はなんと言ってもW杯イヤー。代表入りをかけ、例年以上の盛り上がりが期待される。そこで、毎年恒例、ニッポン放送サッカーパーソナリティ煙山光紀アナウンサーと洗川雄司アナウンサーの二人に、今年のJリーグの注目点や日本サッカーの課題を聞きました。

《今年のJは「大阪」が熱い》

煙山 もう、今年は去年以上に大混戦です。どこが優勝してもおかしくはありません。ただ、その中では「大阪」が熱いですね。J2から戻ってきたガンバ。ディエゴ・フォルランが加入したセレッソ。僕は優勝候補にガンバを挙げたいと思います。

洗川 確かにガンバは楽しみですね。

煙山 ガンバの長谷川健太監督はニッポン放送でも解説を務めていただいた方で、「監督は自分の特色を出さないとダメ。人の真似ではなく、何かオリジナルな部分がないといけない」という監督哲学みたいなものはずっと聞いていました。守備もしっかり作る人なので、ガンバの自由なサッカーを取り入れつつ、どう自分の個性と融合させたのか。それをJ1で見られるのが楽しみですね。

洗川 私もガンバには注目していますが、大本命はセレッソかなと。先週、Jリーグ全51クラブが集まってのプレスカンファレンスがあったんですが、各メディアが殺到したのがやはりセレッソでした。セレッソの開幕戦の相手、広島の森保監督も、「いやぁ、今年のセレッソは……」と自チームではなく、セレッソの話から始めてしまう。そのくらい、Jリーグ全チームから意識されている存在ですね。

煙山 柿谷に山口蛍と、代表選手も多いですからね。浦和やFC東京という関東のチームにももっと頑張って欲しいんですが、毎年最後に競り負けてしまう。関東のチームでいえば、川崎や柏のほうが勝負強い戦いをするかもしれない。

洗川 浦和はどうなんだ? という話ですが、阿部勇樹選手に話を聞いたら、「さすがにペトロビッチ監督も3年目。もういい加減……」というニュアンスの話をしていました。浦和も、毎年届きそうな位置には付けるわけじゃないですか。でも、最後の最後で守備が崩壊してしまう。そこで、監督がよく理解している選手を今年も引っ張ってきた。プチ広島化、なんて言われ方もされますが、いよいよペトロビッチ体制3年目で監督のやりたいサッカーができる選手が揃い、去年までとは違う戦い方ができるのかな?と。

煙山 浦和に関しては、チームリーダーを誰が務めるのか、という部分ですよね。調子がいいときはともかく、ピンチの時に誰がチームを鼓舞するのか。阿部はおとなしいし、槙野も意外と鼓舞するタイプではないし。でも、浦和が盛り上がってくれないことにはJリーグ全体が……というのはあるんですよね。ビッグクラブの立ち位置のチームがあったほうがリーグは面白いと思うし、そのポジションに付けるのが浦和だと思うんです。まあでも、やっぱり今年は大混戦ですよ。

洗川 去年も、勝ち点が低い中で優勝争いが繰り広げられた、ということは、それだけ押し並べて抜け出した大きな戦力というものがなくて。

煙山 たまたまその時点で首位だったチームが優勝した、という感じです。だから、大反対されている、来季から始まる2ステージ&ポストシーズン制は、去年のような混戦状態が続くんならむしろ面白いと思いますよ。もっと、ぶっちぎりに強いチームがいて、年間では抜けて勝っているのに、この制度のせいで不利益を被るなら良くないんですが、ここ数年の大混戦状態なら、むしろ合ってるんじゃないかなと思うんですよね。

《フォルラン! フォルラン!! フォルラン!!!》

煙山 それにしても、フォルラン。久しぶりの大物外国人選手ですよね。一流選手からは、今の時代でもまだまだ学ぶことは多いと思うんです。シュートとか凄いプレーということもありますけど、それよりも過ごし方。

洗川 過ごし方?

煙山 野球の例になっちゃうんですが、元ヤクルトの若松勉さんから聞いた話があります。「みんな、俺にカーブの打ち方とか、手首の使い方とかは聞いてくるけど、本当に大事なのはそこじゃないんだ。何時に球場に入って、何を食べて、どう準備して、というルーティーンを見る若い奴がいない。でも、そこが一番大事だと思う」と。

洗川 セレッソは若い選手が多いチームですから、なおさらそうかもしれないですね。

煙山 一流の選手が試合前の一週間、試合直前にどう過ごしているのか。試合後にどうしているのか。その視点から見れば、まだまだ日本は学ぶべきことが多いハズ。ピッチの上も凄いけど、そういう部分も見て欲しいなぁと。地味な部分かもしれないけど、毎日の過ごし方ってきっとあるだろうし。

洗川 柿谷に話を聞いたら、「W杯MVPと一緒にやるんですよ。楽しくないわけがないじゃないですか」って。このひと言に集約されているような気がして。いい言葉だなぁと。

煙山 セレッソの岡野社長も偉いですよね。物にバーンとお金を使うってなかなか、できない。でも、スポーツだから、ある程度リスクを背負ってやらないと。犬飼基昭元チェアマンが浦和時代、ブッフバルトを呼んで大型補強をした時には批判もされましたけど、その後しっかり魅力的なチームを作って、6万人のハコが埋まるようになったじゃないですか。そういう投資していたからだと思うんですよね。

洗川 今は逆に、全体的に臆病というか。

煙山 うん。もうちょっと大胆に動いたっていい。スポーツってそういうもんだと思うんです。これはスポーツライターの金子達仁さんの受け売りなんですけど、今、Jリーグの最大の問題はお金がないことだ、と。

洗川 はい。

煙山 その上で、企業名を付けないっていうのは、立ち上げの時期は意義があったし、素晴らしい理念だと思うけど、今の状況だったら、付けちゃってもいいんじゃないかと。野球はどうなんですか? ソフトバンクホークスに「ソフトバンク」が付いているせいで、地域性はないんですか? と。Jリーグに見倣って、プロ野球も札幌や仙台に球団ができたけど、できてみたら意外と地域性と企業名の有無はあまり関係がなかった。だったら、今度はサッカー界がそれを取り入れてみてもいい。今までのガチガチの決まりっていうのを、もう少し解いていっても僕はいいんじゃないかなって思うんですけどね。

洗川 それでフォルランクラスが呼べるんだったら、いいんじゃないかと。

煙山 そう。大物を呼べるかどうかっていう財力に影響しているんだから。どうすれば金銭的にJリーグは潤えるかっていうのを、もう一回見直してもいい時期なんじゃないかなぁと。そうじゃないと、国内でワクワクできないじゃないですか。

《「コメント力」のある若者が増えている》

洗川 若手に目を向けると、僕の注目はセレッソの南野拓実、19歳。デビュー直後に見たんですけど、その時から雰囲気がありました。

煙山 イケメンで、天才らしいですからね。金子達仁さんによると、「柿谷が、『俺より天才。才能ありますよ』って言っている」という話なんで。それでいて取材対応力もあるという。実況するのは明日が初めてなので、楽しみにしています。

洗川 新しいタイプですよね。これまで、インタビューでも突き放すように応対する選手が多かった中、今の若い世代って全然違いますよね。

煙山 これはサッカーに限らず、全競技で立派な若者がいっぱいいますね。フィギュアの羽生結弦、ジャンプの高梨沙羅。みんな、社会人としてちゃんとしていて、言葉も考えて発言している。以前は「喋んないのがカッコイイ」みたいな風潮があって、こちら側も「インタビューに答えないのはインタビュアーが悪いんだ」と持ち上げた部分もあった。

洗川 はい。

煙山 でも今は、「喋っている相手はインタビュアーじゃない、その向こう側にたくさん人がいる」という大人の視点がある。僕自身、マイクを向けていても「コイツ、俺は見てないなぁ」と思う時があります。だからこそ、「このインタビュアーいいな」と思ってもらいたくなる。そんな風に、聞き方、答え方が達者な若者が増えてますね。

洗川 あと、若手でいえば広島の二人、ゼロックス杯でも得点を決めた浅野拓磨と野津田岳人。広島もある程度レギュラーメンバーは固まってますけど、その中に、この浅野と野津田という二人が入ってくると、ACLで戦って行く上でも戦力になってくるのかなぁと。それにしても、広島も次から次と選手が出てきますね。

煙山 だから、森保さんが凄いよね。天皇杯のときも、佐藤寿人と高萩に代えてあの二人を出した。普通、そんな起用はできないからね。彼らは何もできなかった、とは言っていたけど、明らかに流れは良くなっていたから。ドーハ世代で一番地味だった人が、意外と指導者としては凄みがあるというか。

洗川 結果、二人とも次のゼロックス杯で結果を出している。持ってるものは持ってるのかなぁと。

煙山 あと、さっきの話につながりますけど、広島の選手は佐藤寿人を筆頭にみんな対応がいいですね、素晴らしいですよ。そして、その広島が優勝したことで、いい影響がJリーグ全体に伝搬して、サッカー界もようやくコメント力が上がってきた。コメント力をあげないとダメですよ、やっぱり。

《Jリーグ2014、3月1日キックオフ!》

洗川 ニッポン放送は、明日のJリーグ開幕戦を大阪からダブルヘッダーで生中継します。13時30分から、大阪長居スタジアムの「セレッソ大阪×サンフレッチェ広島」。19時から万博記念競技場の「ガンバ大阪×浦和レッズ」。ちなみに、第1試合はミスターセレッソの森島寛晃さんとスポーツライター金子達仁さんのダブルコメンテーター。そして金子さんは第2試合でもコメンテーターを務めます。

煙山 解説ダブルヘッダーですね(笑)。代表戦以外では史上初かと。そして、僕が第1試合の実況で、洗川アナがピッチレポーター。第2試合は、その逆の組み合わせになります。第1試合が終わり次第、みんなで電車移動という、非常にラジオ感満載な中継です(笑)。ラジオならそれもあり。その手作り感もぜひ楽しんでいただければ。

洗川 ディレクターも含め、第1試合に関わった人間が第2試合も担当しますから、その雰囲気も引き継いで伝えていくことができる。それってなかなかないことですよね。僕らはくったくたになってると思いますけど(笑)。

煙山 僕らのことはともかく、Jリーグってこんなに面白い試合やるんだ! っていうのを見せて欲しいですね。そこは、選手の意識だけでも大きく変わると思うんです。それを、僕らもラジオでしっかり伝えていく。いい試合って、熱気が「音」として現れるんです。

洗川 サポーターの声っていうのも、スタジアムによってまるで違いますからね。代表戦なら、スタンドのノイズを聴いているだけで明らかに「代表戦だな」っていうのがすぐわかる。

煙山 日本のサポーターって世界的に見ても変わっていて、応援スタイルのバリエーションがすごく多い。音楽みたいな感覚でサポーターの声援を聴くこともできるので、そこを今年も大事にして伝えていきたいですね。スタジアムの雰囲気をそのまま音で運べるように。行ってみたいなぁと思ってもらえるように。でも、それは試合がよければ絶対そういう音になる。どこのチームにもチャンスがあって、W杯への意識も選手の中にはあるから、かなり期待できると思います。
(3月5日予定の後編に続く)

【ニッポン放送 Jリーグラジオ】
3月1日(土)13:30〜 セレッソ大阪 × サンフレッチェ広島 〜大阪長居スタジアム
解説:元日本代表・森島寛晃さん/スポーツライター・金子達仁さん
実況:ニッポン放送・煙山光紀アナウンサー

3月1日(土)19:00〜 ガンバ大阪 × 浦和レッズ 〜万博記念競技場
解説:スポーツライター・金子達仁さん
実況:ニッポン放送・洗川雄司アナウンサー

(オグマナオト)

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