関連画像

写真拡大

首都圏など全国各地で大雪が記録された2月。交通機能がマヒするなか、高速道路では複数の「玉突き事故」が報じられている。

東名高速では2月15日、大型トレーラーが渋滞の影響でとまっていたトラックに追突し、はずみでトラックがさらに前方のトラックに追突するなど、計5台がからむ事故が起きた。東北道でも2月17日、大型トラック3台がからむ玉突き事故が発生。いずれも死者が出る惨事になったという。

玉突き事故では、渋滞などで停車や徐行をしている車が、後続の車に追突され、その弾みで前の車に追突し、被害が拡大していくケースが多い。このような事故が発生したとき、「間に挟まれていた車」の運転手は、事故の責任を負うのだろうか。冨宅恵弁護士に聞いた。

●責任が問われるケースは多くない

「ごく一般的な玉突き事故の場合ですと、先頭と最後尾の間に挟まれていた車は、玉突き事故発生の原因とはなりません。そのため、運転手が責任を負うことはありません。

また全般的にいって、玉突き事故で間に挟まれた運転手の責任が問われる裁判というのは、あまり多くないという印象をもっています」

しかし、間に挟まれていた車に、玉突き事故発生の責任がある場合も、ないわけではないという。

「例外的に、間に挟まれた車の運転手の行為が、玉突き事故発生の一因となっている場合には、事故発生の寄与度に応じて責任を問われることがあります。

たとえば、間に挟まれた車の運転手が不要な急ブレーキをかけたケースや、高速道路上でハザードを出さずに停車したことで起きた玉突き事故であれば、間に挟まれた車が発生の原因を作ったと判断され、その責任が認められる場合もあるでしょう」

●運転中は、前方に注意するだけでは不十分

「ちょっと変わったところでは、1台目と2台目の運転手が走行方法などで感情的になり、原則停車が禁止されている高速道路の車線上に停車して喧嘩をはじめたところ、その2台の停止車両が原因となって玉突き事故が発生し、2台目の運転手にも責任があると判断された裁判例もあります」

結論としては、間に挟まった車でも、なにがしかの事故原因を作りだしていれば、それに応じた責任が発生するということのようだ。

冨宅弁護士は「運転者は、車両を走行させるとき、前方さえ注意していればよいのではありません。

走行中は、後続車に対する注意も怠らず、減速するときや車線を変更するとき、後続車の存在に常に注意する必要があります」と警鐘を鳴らしていた。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
冨宅 恵(ふけ・めぐむ)弁護士
多くの知的財産侵害事件に携わり、様々な場所で知的財産に対する理解を広める活動にも従事。さらに、収益物件管理、遺産相続支援、交通事故、医療過誤等についても携わる。
事務所名:イデア綜合法律事務所
事務所URL:http://www.idea-law.jp/