いまや「女子高生がなりたい職業」の上位にランクインするようになった"キャバクラ嬢"という職業。女性が安定した仕事に就くことが難しくなるなか、雑誌『小悪魔ageha』に登場するようなキラキラしたファッションで身を飾り、一般的なアルバイトに比べて高収入を得られる"キャバ嬢"は、ある意味では「憧れの仕事」なのかもしれません。

水商売の世界で"女らしさ"を売りにするキャバ嬢を、自分とは違う存在として差別していたのが、当時京都大学大学院への進学を控えていた著述家の北条かやさん。知人から「キャバ嬢を差別してるだけなんじゃない?」と指摘されたことをきっかけに、自らキャバクラ嬢となり、水商売の世界への潜入調査を行いました。北条さんが自身の体験をもとに、キャバクラを社会学的な見地から分析したのが、書籍『キャバ嬢の社会学』です。

実際に潜入してみて驚いたのは、キャバクラの"キャスト"たちが、いわゆる美人ばかりではないということ。キャバ嬢に「細い身体に大きな胸、そして眼がぱっちりしていて髪は金髪」というイメージを抱いていたという著者ですが、実際にはぽっちゃりしていたり、胸が小さかったりで、女性の身体が百人百様であることに驚かされたそうです。各々の女性が、キャバ嬢という「女のコスプレ」や「女らしさのパロディ」を演じているようにも感じたと振り返っています。

一部の高級店を除き、キャバクラは素人のアルバイトが9割を占める職種。学生やフリーターなど、ほぼ一般人の女性を集めているため、水商売のプロであることを感じさせない「素人性」が売りになります。しかし、一対一の接客や、義務づけられているお礼メールなど、普通の女の子らしいキャストとの疑似恋愛に"勘違い"してしまい、恋愛感情を抱いてしまうお客も少なくないとか。キャストには客の好意をかわす技術が必要とされますが、接客慣れしていない素人だけあって、その思いをうまくかわせないのが実情とのこと。客に本気の恋愛感情を抱かれないような「素人でもお水でもない」雰囲気を醸しつつ、きちんと来店してもらうために、キャストは様々な工夫をしていると本書では明かしています。

女性のプライドを刺激するランキングシステム、すべてキャストの"自己責任"で済まされるずさんなセクハラ対策などと遭遇しつつも、次第に著者自身も夜の世界にのめり込んでいきます。女とは、キャバクラとは、そしてキャバ嬢の「病み」とは。1986年生まれの若い著者が、知られざる「夜の世界」を浮き彫りにしている一冊です。



『キャバ嬢の社会学 (星海社新書 43)』
 著者:北条 かや
 出版社:講談社
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