米ドル/円の月足チャートが示す2014年中盤以降の円高
日本の異次元金融緩和に加えて、米国では量的金融緩和の縮小が始まった。ファンダメンタルズ的には、ともに円安・ドル高の材料だ。しかし、チャート派からは円安のピークが近づいているとの声も上がっている。2014年の外国為替相場はどちらに推移するのか? 円安派と円高派に、その理由と2014年の投資戦略を聞いた。

円高派のストラテジー(新田ヒカル)

2014年は、円安から円高へと折り返す可能性が高いと予想している。時期は2月もしくは6月。円安のピークは米ドル/円で105円〜110円とみている。

確かに、アベノミクスでは円安政策をとっているようにみられ、今のところ円安が終わる気配はない。日本の企業は円安のおかげで業績が回復している。この景気回復は、失われた20年によっていささか懐疑的になっていた個人投資家の心をいくらか明るくしてくれる。しかし、終わらない円安はない。マーケットは、寄せては返す波のように円高と円安を行ったり来たりする歴史を繰り返してきた。きっと今回も例外ではない。その折り返し地点が、まさにこの2014年になるだろう。

根拠は過去のチャートにある。マーケットについては、アナリストに聞くよりもマーケットに聞くべきだ。米ドル/円の月足チャートを見ると、過去2回の大きな円安が示されている。1回目は、1999年11月の101円から2002年2月の135円。2回目は、2005年1月の101円から2007年6月の124円だ。前者が28カ月間、後者が30カ月間。つまり、円安の流れが一度できるとおよそ30カ月間続くということがわかる。歴史を謙虚に受け止めるならば、円安のスタミナは30カ月ということだ。

さてここで今回の円安の起点を探すことになるのだが、ひとつ問題がある。過去2回の円安のピークは、とがったミシン針のように鋭い折り返しをしている。だが今回は練るような期間を経てから円安が始まってる。そのため、起点のとり方を2パターンとした。

1パターン目は単純に、より円高だった2011年10月を起点とする。この史上最高の75円をつけたときを1カ月目とすると、2014年2月が30カ月目となる。2パターン目として、明確な円安が始まった2012年の2月を起点とする場合は、2014年6月が30カ月目だ。このことから、円安のピークは今年2月、もしくは6月とした。

もし「そんな予想はアテにならない」と思うならば、それは正常な証拠だ。なぜならマーケットは常に予想を裏切る。しかし、資産運用というのは目安がなければ何もできない。だから、いつだって何かしらの目安を持つ必要がある。そのうえで、臨機応変に対応していくしかない。

次に、円高に振れた場合の戦略をしっかり考えておきたい。流れが変わったときに最もリスクにさらされるのは、円安に期待したレバレッジの効いた長期ポジションだ。そういったポジションを持っている人は、すでに2年間という長い期間、為替変動とスワップポイントのダブルで利益を得て、それを当たり前に思ってしまっている。今まではそれでよかったかもしれないが、円安が終われば逆ネジが巻かれることになる。レバレッジ10 倍なら、10円動けば元金はゼロ、レバレッジ20倍ならわずか5円で破綻だ。

今まで積み上げてきたものを一瞬で失うのが嫌なら、しっかりと逆指値を入れておくべきだ。自分の発注よりも逆指値のほうがよい。なぜなら円高はとても速いからだ。日本人のFXトレーダーの多くは、レバレッジをかけて円売り・外貨買いのポジションを持つ。海外の投資家からは「ミセス・ワタナベ」といわれている。円高になると、ミセス・ワタナベは損失を抱えることになり、耐えられなくなると損切りをしてくる。損切りというより強制決済だ。その手じまい注文が一段の円高を進める。すると、進んだ円高がまた新たな損切りを生む。そのスパイラルに入ると、とどめに外資の「ミセス・ワタナベ狩り」の円売りが入る。最後は、総投げが起きて、一段落する。リーマン・ショックの再来だ。

一方、これをチャンスとみることもできる。レバレッジ20 倍で5円取れば、資産は一瞬で倍になる。特に高金利通貨ほど、損切りの注文が山ほど出て、チャートは行きすぎる傾向が強い。オススメ通貨は、米ドル/円、豪ドル/円、NZドル/円の3つだ。

米ドル/円は、スプレッドも狭いので気軽に売買ができる。豪ドルとNZドルは最も日本人に人気の高金利通貨だから、よりチャンスが大きい。マーケットがどちらに動くにしても、結局は自分の腕次第。今のうちからよく勉強し、戦略を練っておこう。

MACDに注目!

FXでは、細かいトレンドはつかみづらいが、大きなトレンドはつかみやすい。理由は各国の為替政策(金融政策)の影響を強く受けるからだ。

大きなトレンドを把握するには月足チャートを見るのだが、月足の場合、移動平均線を重ねても反応が鈍い。そこで、MACDをチェックしたい。

一般的にMACDでは2本の線を用いそのクロスで反転を判断して売買のタイミングとする。移動平均線の短期・長期のクロスで売買するのと同じだ。30カ月のサイクルが近づいてきたら、月足のMACDを確認し、クロスしたら円高へトレンドが変わったと判断してエントリー。ただし、もし円安に戻ってきたら潔く損切りを。

新田ヒカル(HIKARU NITTA)
経済評論家 個人投資家

自らもFXや日経225先物などで投資を行なう経済評論家。東京証券取引所や大阪証券取引所、各証券会社の講演会などでも活躍。スマホにも詳しく、最近ではスマホ評論家としても脚光を浴びている。



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。