中国の広い範囲で、深刻な大気汚染が続いている。観測している161都市中57都市で、微粒子状の汚染物質のPM2.5の含有量が「重度の汚染」または「厳重な汚染」の基準値以上になった。汚染された大気は27日以降、偏西風に乗り日本などにも到達する可能性がある。

 中国政府・環境保護部によると、2012年に導入した大気の質を示すきじゅんであるAQI(環境大気の質指数/Ambient Air Quality Index=AQI)にもとづいて観測している161都市中の内57都市では24日午前10時の段階で、大気1立方メートル内にただようPM2.5の量が1時間平均で150マイクログラムを超え、「重度の汚染」と判定された。

 うち15都市では同数値が250マイクログラムを超える「厳重な汚染」となった。

 北京市では24日、大気1立方メートル内にただようPM2.5の量が1時間平均で234マイクログラムに達した。1日平均では75マイクログラムだった。よどんだ空気で視界が低下し、2キロメートル先の物が識別できる程度の場合が多かったという。

 当局は、広い範囲で大気の深刻な汚染状態が続いていることについて「汚染度合の高い排気が放出されていること」、「排出量が多いこと」、「寒気の勢力が弱く、風が弱いため、汚染物質が速やかに拡散されないこと」、「自動車が多く、中国北部では暖房用のための石炭燃焼が汚染源になっていること」としている。

 気象台などによると、状況が特に深刻な北京や天津、河北省中南部では26日まで深刻な大気汚染が続く。27日には寒気の進入で強い風が発生する。中国国営の中国新聞社は、風が汚染された大気を「吹き飛ばしてくれるかもしれない」と期待を示した。

 中国大陸で「吹き飛ばされた」大気は通常、偏西風に乗り東に移動する。そのため27日以降は北朝鮮、韓国、台湾、日本などにPM2.5を含む大気が拡散しつつも到達する可能性がある。

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◆解説◆
 中国新聞社は24日のPM2.5の状態について、「57都市で『爆表』」と表現した。「爆表」とは「メーターの限界を突破」の意で、もともとは汚染の度合いが観測機器の限界を超え、正確な数値を示せない場合に用いられた。

 しかし最近の報道では「重度の汚染」に達した場合に「爆表」と表現される場合が多い。多くの人々が大気汚染を憂慮し、当局への不満や不信が高まっている。メディアによる「大げさな表現」は当局にとって不利になると考えられるが、今のところ特に規制されている形跡はない。(編集担当:如月隼人)