世界ランキング上位64選手(※)で争われるアクセンチュア世界マッチプレー選手権(2月19日〜23日)。日本勢では唯一、世界ランク22位の松山英樹が出場した。

※64位以内の選手から欠場者が出た場合、65位以下の選手が順次繰り上がって出場資格を得る。

 会場は、アリゾナ州のダブマウンテンGC。山間部の砂漠地帯に作られたコースは、落としどころが狭く、大きく曲げるとサボテンが生い茂った砂漠地が待ち構える。距離も長く、ラフも深いが、最大の難関は傾斜がきつく、アンジュレーションが激しいグリーンだ。練習ラウンドを終えた松山も「難しい」と第一声を発した。

「距離が長くて、思ったよりも(フェアウェーが)狭い。グリーンは傾斜がきつくて硬い。サボテンがあるコース? 嫌ですよ。トゲが刺さったら痛いし。もし(ボールを)曲げたら、ギブアップですよ。(自分は)粘りがないんで。トゲが刺さって、次の週に影響したら困りますし」

 とはいえ、相変わらずアイアンショットが冴える松山。「得意じゃない」というマッチプレーでも、はまれば上位進出の可能性がありそうなムードをかもし出していた。

「流れもあるので何とも言えないけど、粘っていけば(勝つ)チャンスはあると思う。とにかく(相手のことよりも)普通にコースと向き合って、勝負していきたいと思う」

 1回戦の相手は、マーティン・カイマー(ドイツ)。2010年の全米プロ選手権の覇者で、2011年にはこのマッチプレー選手権で2位という結果を残している難敵だったが、松山は宣言どおりに粘り強いゴルフを見せて勝利した。

 序盤戦はどちらも相譲らぬシーソーゲームだった。カイマーが先制すれば、松山がすぐに挽回し、松山がリードすれば、すかさずカイマーが取り返すという展開だった。そして終盤、カイマーが息切れした。1アップとリードしながら、14番パー4で第2打がグリーンオーバーしてボギー。オールスクエア(イーブン)となって迎えた15番では、アプローチをミスして松山にリードを許してしまった。さらに17番、ティーショットがバンカーにつかまって万事休す。松山が2アンド1で勝利した。

「(カイマーは)途中まで隙がなかった。アプローチもパターも本当にうまい選手だな、と思った。でも、終盤にミスをしてくれて助かった。(自分の)調子は絶好調というわけではなかったので、普段どおりのプレイを心掛けた。何にしても、やっぱり粘り強くやっていたのが、結果としてよかったのかな、と思う」

 しかし2回戦は、逆に松山が粘り負けした。

 相手はまたもメジャーチャンピオン(2010年全米オープン)のグレーム・マクドウェル(北アイルランド)。一時は3アップとリードし、松山が完全に主導権を握っていたが、土壇場で連続ボギーをたたくなどして自滅。初戦も4ダウンから逆転勝ちを収めたマクドウェルに勝ち星をさらわれた。

「いい勝負だったけど、最後のほうで自分のミスが続いて......。逆に向こう(マクドウェル)は、ミスをしても粘り強くパーを拾ってきた。そこの差が結果に出たのかな、と思います。(終盤にマクドウェルが)勝負をかけてきたとかはわからないけど、勝負どころで素晴らしいショットが打てるのが、彼の実力。そこら辺で差があった。自分もいいショットを打ったつもりだったけど、(17番、18番とセカンドが)グリーンをオーバーしてしまった。そういう距離感ももっと練習しないといけないな、と思った」

 2回戦敗退に終わったものの、今季のフェデックスポイントはシード権獲得圏内まで迫ってきた。

「早めにシードの目安としているものがクリアできそうなのはうれしい。これで、ちょっと余裕を持ってプレイできると思う。これからも、自分の足りないところを突き詰めて、がんばっていきたい」

 シード権獲得が見えれば、常に「普通のプレイをするだけ」という松山でもアグレッシブに攻める機会が増えるかもしれない。次戦は、フロリダ州で開催されるホンダクラシック(2月27日〜3月2日)。松山の爆発力に期待したい。

武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko
text by Sportiva