非接触充電システムのイメージ(画像は「トヨタ自動車」リリースより)

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トヨタ自動車はプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の充電をケーブルなしで行える「非接触充電システム」を開発した。2014年2月下旬から愛知県内で実証実験を始め、数年内の実用化を目指すとしている。

トヨタの非接触充電システムは駐車場などの地面に設置したコイルに車両位置を合わせて駐車するだけで充電できるというものだ。

充電時間はケーブルを利用した場合と同じで約90分

トヨタの発表を受けた報道が相次ぐと、ネット上では「道路に埋め込めば充電しながら走れる」「ガソリン車は淘汰されそうだ」「インフラ整備に金がかかりそう」「体への影響が気になる」などと話題になっている。

この充電システムには「磁界共鳴方式」が採用され、地面に設置したコイル(送電側)と車両に取り付けたコイル(受電側)の間で磁界の共鳴現象を利用して車両に電力を供給する。使用周波数は85kHz、入力電圧はAC200V、充電電力は2kW、充電時間はケーブルを利用した場合と同じ約90分だという。

送電側と受電側のコイル位置がずれていたり、距離がある程度離れたりしても高い効率で電力を送れるという特徴がある。業界では「非接触充電の本命になりえる」と評価も高い。

トヨタは電磁波が周辺機器に及ぼす影響を抑制するとともに、送電側コイルは車両が乗り上げても耐えられる強度にするなど実用化を視野に入れて設計。また、正しい位置に駐車できるようにナビ画面上に地面のコイル位置を表示する駐車支援機能も新たに開発したという。

他社の開発も急ピッチで進み、競争はさらに過熱

実証実験は愛知県内のPHV保有者宅などで車両3台を使って1年間の予定で実施される。使い勝手や充電頻度、送受電コイルの位置ずれの許容範囲といった実験結果を検証して技術開発をさらに進め、数年内での実用化を目指す考えだ。

電動自動車の利用者にはケーブルを取り出したり、収納したりするのが面倒という不満が少なくない。ケーブルなしでの充電が可能になれば手間が省けることになり、電動自動車普及の強力な援軍になるとみられる。

国内外の自動車メーカーが開発を競っているが、現時点で市販化したメーカーはない。トヨタは2011年4月に、この分野で高い技術を持つ米WiTricity社と提携し共同開発を進めてきた。実証実験にたどり着いたことで他社に一歩先んじた形だが、他社の開発も急ピッチで進んでおり、実用化に向けた開発競争はさらに過熱しそうだ。