中村蒼主演『東京難民』が怖い!フツーの若者が半年でホームレスに…
「女性もね、若い頃は“落としどころ”があるけど、年を取ってくると、仕事も限られてくるからね。しかも今後はそうした仕事すら見つけるのが難しくなっていく」と語るのは、映画『東京難民』の原作となった同名小説を書かれた作家・福澤徹三さん。

『東京難民』では、普通の大学生が、父親の失踪によって学費の未納から大学を除籍になったことから始まり、坂道を転がり落ちるように、ネットカフェ難民、裏社会と繋がるホストクラブでの勤務、過酷な土木現場の日雇い、果てはホームレスになってしまう様が描かれます。

 主演は、「花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011」などで人気の中村蒼さん。中村さん演じる主人公の時枝修が、底なし沼のような格差社会の闇へと落ちていくのですが、これが他人事とは思えぬコワさ。しかも、たったの半年間の出来事なんです!

 冒頭の“落としどころ”というのは、修のように突然、お金も居場所もなくなった場合の身の置き方として、女性には水商売やフーゾクがあるということ。

 でも、女性にも最近はネットカフェ難民が増えてますよねと話題を振ると、「うーん、それよりもホームレスが増えている印象があるかな」という衝撃的なお答えが。

 これまで実際に数々の仕事を経験してきたという福澤さん。映画化に関しては、「単純にありがたいことでした。ただ小説で強調した、一回レールを外れちゃうと、抜けられない構造についてはきっちり描いてもらいたいとお願いした」とか。

 実は福澤さんは、専門学校で講師をされていたこともあるそうで、生徒たちが就職についてあまり深く考えないままに、そのまま卒業してフリーターになり、無職になっていく姿を多く見てきたんだそう。そこで「若者に向けて、小説という形で経済を伝えよう」との思いがあったといいます。

 でも、「今では仕事ありませんか?って言ってくる学生がいても、今度は本当に仕事がないんだよね」と、当時より、現状が悪化していると言います。さらに……。

「格差社会が本格化していくのは、今からでしょうね。ただ、表面上ではどんどん隠されていくと思うんですよ。特に東京オリンピックが待っていますから。社会の底辺を覗くことは、一種のタブーになっていく。表面上、見えないというのはもっと怖いこと。相互扶助ってのは望めない時代。でも、もう1回、そういうところに立ち返る、大きい枠組みや、発想を転換した荒治療が必要でしょうね」

 うう、確かに。東京オリンピックは華やかなイベントですが、一度、社会から追いやられた者は隠される状況が生み出されてもおかしくありません。

“東京難民”というタイトルに込めた想いを、「経済戦争ではみ出した難民なんじゃないのかなと。よく勝ち組、負け組っていいますけど、敗者というよりはじき出されちゃうんですよ。戦う間もなく。

 ホームレスって昔は怠け者がなるようなイメージを持たれていたけど、今は違う。逆にコツコツ真面目にやっていたら、大変なことになりますよっていう時代になっている」とお話しする福澤さん。

 怖くなる一方ですが(汗)、「長い小説を、映画はよくまとめていただいたなと思う。原作を読まずに映画の試写を観たという人も、十分に怖くなったと言っている。他人事とは思えないと。厳しい社会だし、もっと厳しくなっていくと思うけれど、若い人には真面目とはまた違う、自分なりの哲学や考えを持って欲しいね」とエールも。

 ちなみに主演の中村さんのことは「ものすごい好青年。いや、本当に。こんな人は転落しないと思うけど。まぁ、そこは映画ですからね」と笑っていました。

 中村さん大熱演の映画版。社会派の作品ですが、エンターテインメントとしても面白く作られていますし、ラストには(多少の)希望が感じられますので、その辺はご安心ください。

<PHOTO&TEXT/望月ふみ>

『東京難民』は2月22日(土)より全国公開
配給:ファントム・フィルム (R15+)
(C) 2014『東京難民』製作委員会

「東京難民」オフィシャルサイトhttp://tokyo-nanmin.com/