ほかの金融商品とはどう違う? 個人向け社債の賢い買い方、選び方
安全商品のイメージが強い個人向け社債だが、過去には元本が個人投資家に戻らなかった事例もある。金利先高観のある今、購入時に注意すべき点がいくつかあるので押さえておこう。

購入時のポイントは信用格付けと運用期間

そうはいっても、銀行の定期預金に比べれば、債券を組み入れることで、運用利回りは多少高くなる。現在のCPI(消費者物価指数)上昇率が0・8%程度なので、年率0・1%のネット銀行の定期預金1年物を組み入れても、預貯金だけでは資産が完全に目減りしてしまうことがわかる。だが、個人向け社債なら、発行体によっては年率1%超のものもあるので、ポートフォリオに組み入れていくのは賢い選択肢ということになる。

しかし、「1%を超えているからといって、油断は禁物」と忠告するのは前川さん。「金利先高観がある中で、たとえ利率が1%超でも、それが10年債ならば、手を出すべきではない」とも指摘する。

個人が社債を購入するときは、償還まで持つのが基本だ。債券は発行体が利子や額面金額の支払いをあらかじめ約束している商品。償還まで持てば、定期的に利子を受け取り、償還時には額面金額を受け取れる。しかし、途中で売却しようとすると、流動性が低く結局は証券会社に買い取ってもらうことになる場合が多い。そうなると、元本割れする可能性が高い。そもそも債券は、市場金利が上昇すれば価格が下落し、金利が低下すれば価格は上昇する。現在のように金利先高観が出ているタイミングでは途中売却すると、元本割れしてしまうわけだ。

また、金利先高観という面で見れば、10年債など中長期債を購入すると、途中で金利が上昇し、償還まで利率の変わらない社債を持っていると不利になる可能性もある。

「せいぜい期間が2〜3年程度の社債を保有するのが賢明」と前川さん。一方、「発行体の信用リスクを見るのも基本」とは久保田さん。

社債は償還まで保有すれば額面金額が返ってくるが、発行体が破綻してしまったら、元本が戻らない可能性がある。「過去にマイカル、武富士などが破綻した際、個人投資家にも被害がおよびました(下図参照)」(久保田さん)

信用リスクは格付けを見るのが基本。B格だとNGとは一概に言えないが、短期債で持つほうが無難だ。

特に格下げされた場合などは、元本が戻らないリスクが高まったという認識を持つ必要がある。

社債購入時はここに気をつけよう!

1.発行体の信用力を見る
利率だけで判断しない。格付けを一応見て、B格であればリスクへの認識を持って購入する。期間が1年ならあまり問題ないが、10年など長期のときは慎重に。

2.社債の価格変動リスクに注意
社債にも値動きのリスクがあり、市場金利が上がれば、価格が下がる要因に。基本的には満期まで持てる資金で購入を。

3.社債の流動性リスクを知る
社債は途中で売却したくても市場が小さく、売買しづらい。結局、証券会社の買い取りとなるので、流動性が低いことを認識。

前川 貢
前川FP事務所アドバンス代表

1961年、東京都生まれ。大和証券に入社し、主に債券部門に従事。2003年、独立。 著書に『いま債券投資が面白い』(近代セールス社)、『あなたの投資信託選びは間違ってないか』(日本経済新聞出版社)など。


久保田博幸
金融アナリスト

1958年、神奈川県生まれ。証券会社で国債を中心とする債券ディーリング業務に従事。日本アナリスト協会検定会員。著書に『最新債券の基本とカラクリがよーくわかる本』(秀和システム)など。



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。