[其ノ三 投信ファンダ編]新規設定が相次ぐMLPとは?
共同投資事業形態のひとつである「MLP」を投資対象としたファンドが米国発で人気だ。利回りは6%前後で、米国REITの時価総額を抜く日も近いと言われる理由とは?

エネルギー関連への投資促進を目的に米国で誕生

インフラ関連企業の株式を主要投資対象とする投信は、新興国を中心にこれまでも一定の周期で新ファンドが投入されてきました。しかし、ここ数年の間に新興国の成長鈍化が懸念されるようになり、また世界のエネルギー情勢にも変化が生じてきたことで、投信にも新たなトレンドが出てきました。

それが、昨年から相次いでいる「MLP」を投資対象としたファンドの設定です。

MLPとは、マスター・リミテッド・パートナーシップの略称で、米国で行なわれている共同投資事業形態のひとつです。エネルギー関連インフラへの投資促進を目的として1980年代に誕生し、その出資持ち分がナスダックやニューヨーク証券取引所など金融商品の取引所に上場して取引されています。

MLPの最大の特徴は、総収入の90%以上をエネルギー関連事業から得ていれば法人税が課されないという点です。さらに、その収入の多くは四半期ごとに投資家に分配されており、これまでも株式やREIT(不動産投信)よりも高い6%前後の配当利回りを確保してきました。

では、具体的に「エネルギー関連事業」とは何を指すのでしょうか。エネルギーに関わる事業は一般的に、生産や採掘の川上事業、貯蔵や輸送の川中事業、そして、販売や卸売りの川下事業に分けられます。

MLPはこの3事業の中でも、パイプラインに代表される川中事業に多く投資しています。パイプライン等の流通ビジネスは契約が長期にわたることが多く、相対的に収益は安定的です。インフラ設備と不動産という対象資産の違いこそあっても、MLPは法人税を払わない代わりに収益を投資家に分配する点でREITと似ています。

●最近設定されたMLPの概要

野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信
運用会社:野村アセットマネジメント
日本円、米ドル、豪ドル、ブラジルレアル、通貨セレクトの各コースが用意された通貨選択型。毎月・年2回決算コースあり。

野村高配当インフラ関連株プレミアム
運用会社:野村アセットマネジメント
日本円、通貨セレクトの各コースが用意された通貨選択型。毎月・年2回決算コースあり。

LM・アメリカ高配当株ファンド
運用会社:レッグ・メイソン・アセット・マネジメント
毎月・3カ月・年2回決算コースあり。

米国エネルギー革命関連ファンド
運用会社:野村アセットマネジメント
為替ヘッジあり・なし、毎月・年1回決算コースあり。

DIAMシェール株ファンド
運用会社:DIAMアセットマネジメント
年1回決算型。

三菱UFJ 米国高配当株式プラス
運用会社:三菱UFJ投信
為替ヘッジあり・なしの各コースあり。毎月決算型。

米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)
運用会社:国際投信
為替ヘッジあり・なしの各コースあり。

北米高配当株ファンド
運用会社:大和住銀投信投資顧問
毎月・年2回決算コースあり。

北米エネルギーファンド
運用会社:三井住友アセットマネジメント
毎月・年2回決算コースあり。

ニッセイアメリカ高配当株ファンド
運用会社:ニッセイアセットマネジメント
毎月・年2回決算コースあり。

米国・シェールMLP・高配当株ファンド
運用会社:日本アジア・アセット・マネジメント
年4回決算型。

MHAM米国好配当株式ファンド
運用会社:みずほ投信
為替ヘッジあり・なし、毎月・年1回決算コースあり。

ダイワ・インフラビジネス・ファンド
運用会社:大和投資信託
為替ヘッジあり・なしの各コースあり。

米国エネルギー・ハイインカム・ファンド
運用会社:リクソー投信
年4回決算型。

※データ提供:楽天証券経済研究所

米国REITを抜く日もやって来る? 昨年だけで10シリーズ誕生

こうした理由から、MLPは米国で個人を中心に支持を集め、一部では時価総額で米国REITを抜く日も近いとの見方がなされています。

MLPに投資する投信は、2013年だけで10シリーズ以上が設定され、ファンドの種類に厚みが出てきました。

大多数のファンドは、インフラ関連の株式を主要投資対象としており、一部をMLPに投資しています。ただし最近は、「米国エネルギー革命関連ファンド」(野村)や「米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)」(国際)、さらには「米国エネルギー・ハイインカム・ファンド」(リクソー)のように、MLPのみに投資を行なうファンドの設定も増えてきました。

どのファンドも設定から日が浅く、個々の運用成績については優劣をつけがたいですが、MLPのみに投資するファンドのほうがポートフォリオ全体の配当利回りがやや高いという印象を受けます。

毎月分配型以外の決算コースが用意されているシリーズもあるので、中長期的な保有を検討している方も選択肢のひとつとして考えてみてはどうでしょうか。

今月の海外投信ノ「値」約5兆円

中国の資産運用業界への資金流入見込み

ロイターによると、1月より中国でも確定拠出年金のように課税が繰り延べされる年金投資スキームが導入される方針とのことです。資本市場への新たな資金流入により、株式・債券市場のパフォーマンスの押し上げに期待が高まっています。

【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
楽天証券経済研究所ファンドアナリスト

慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。